あなたの花になれたら

翠晶 瓈李

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特別な感情

〈3〉

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(───私ってば、バカ!)


 なんであんなこと言っちゃうの!


 せっかく逢えたのに。


 また会えたらと、思っていたのに。

 あんな事を言ってしまって。

 きっと印象を悪くしたに違いない。


───でも。



 茉白は立ち止まって息を整えた。


 言わずにはいられなくて。

 聞いてほしくて。

 知ってほしくて。

 判ってほしくて。


 勝手な言い分だけれど。


 これがきっかけになるなら……。


 なんて、きっと都合よく物事は変わらないだろう。



「………ほんとバカみたい、私」



 せつなくて悔しくて、もどかしい想いが合わさって、悲しくなる。



 広場の件がなければ、きっと嬉しい再会だったかもしれない。


 でもそれも………きっと自分だけが嬉しいと思っている再会なのだ。


(そうだきっと………。これは私だけが望んでいた再会なのだ)


 ♢♢♢



【6月○✕日。


 今日気付いた。私、あの日………あの雨の日、初めて南條さんを見たときから………惹かれていた。


 心の隅にいつもチラついて、消えなくて。


 一目惚れって本当にあるんだ。】



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