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「どくみひめ」わたしは王宮でそう呼ばれていた……。
毒を視、毒を嗅ぎ、毒を解し、毒が効かない身体を持つ姫が主人公の物語。
リシュは十歳のとき、母と共に王宮を追放された。
遠く離れた西の辺境で暮らし始めて八年。
最愛の母親も二年前に亡くなった。
前王の実子ではないのに、未だ王家の姫として除籍されていないリシュのもとに、後見人である「おじ様」ことラスバートが二年振りに来訪しリシュに告げる。
「王が君を御所望だ、毒視姫……」
理由は多々ありながらも、半ば強引に、ラスバートはリシュを連れ王宮へ帰還する。
そこでリシュを待っていたのは、前王亡き後、十一歳で即位してから四年。十五歳になったばかりの少年王、ロキルトだった。
魔性王との異名を持つロキルトは、リシュに告げる。
「更なる魔性の力を、我に与えよ……」
伝説の魔花【サリュウス】に宿る魔性の力に繋がる体質を持つリシュを、自分の支配下に置きたがるロキルト。
最初は反感だらけだったリシュも、彼の意外な一面に触れ、王宮で亡き母の残した想いや真実に触れていくうちに、いつしかロキルトのことも気になり始めて……。
文字数 74,985
最終更新日 2024.08.28
登録日 2024.07.30
遥か昔より精霊を従え、大地を守護するという〈霊獣〉の血を継ぐ眷属が統治している大国〈彩陽国〉。
霊獣は選定の儀式を行い『選ばれし者』が決まる。
『選ばれし者』──それは霊獣と深い縁を結び、貴族と呼ばれる眷属の新たな一員となる者。
そして霊獣の伴侶という意味もあり、選定の儀式は『霊獣の嫁選び』とも呼ばれていた。
ある日、霊獣の呼び声に応えてしまった娘、美琴は『選ばれし者』となった。
『選ばれし者』には『霊獣の伴侶』という意味がある。
美琴を選んだ霊獣の名は紫珱(シオウ)。人の姿に変幻できるが、霊力は完全ではない。
伴侶と心を通わせることで本来の力を戻したいと言うのだが。
内向的な性格で恋愛経験などないお子さまな美琴に対し、やや強引に接する紫珱に戸惑うばかりの日々。
♢♢♢
狼のような霊獣って、なんだか怖い。
……わたし、本当にあなたのお嫁さんにならないといけないのですか⁉
文字数 103,547
最終更新日 2024.08.10
登録日 2024.07.10
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