悪役令嬢に転生したにしては、腕っぷしが強すぎます

雨谷雁

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「ねえ」

 真っ暗な意識の中、聞こえたのは少女の声。やけに聞き覚えはあるけれど、どこで聞いたんだか。

「ねえってば!」

 引っ叩くようなハリの強い声。思い出した、セラフィナだ。きっと私は夢でも見ているのだろう。

 なんとかまぶたを引き上げると、真っ暗な空間のどまんなかに彼女の姿が浮かんでいた。

「あんたが私を作った人間?」

 コマーシャルで何度となく聞いたその声は、目の前にしてみると結構力強い。

「そうだけど、何?」

 とりあえず会話を試みたが、あっちは黙ってしまった。なんだかもじもじしている。何か言いたいことがありそうなので、会話を急ぐことにした。

「なんか言ったらどうなの? 創造神様に失礼では?」

 煽るようなことを言えば絶対何か返してくるはず。この性格は私が一番よく知っている。

「うるさいわね! 神様気取りがしゃしゃり出ないでくれる!?」

 案の定だった。自分の作ったキャラクターとの会話、意外と楽しいかもしれない。

「で、何か言いたいことでもあんの?」

「じゃあ言ってやろうじゃないの」

 セラフィナはやけに長い溜めを作って言い放つ準備をした。きっとだいじなセリフってやつだ。

「あんた私のこと、めちゃくちゃにしたの許さないから!!」

「あー……」

 たしかにまあ、めちゃくちゃにしたか。

「何よその反応! 覚えてないっていうの!?」

「いや覚えてるけど、だってあれはストーリーってやつで……」

「ストーリーだからってあんな仕打ちないでしょ! 炎に対して溺れそうって思ったの初めてだったわ!」

「そりゃ大層災難でいらっしゃって」

「そうしたのはあんたでしょ!!」

「……ごめんじゃん」

「ごめんじゃ済まないわ! あんたにはね、私にした仕打ち、そっくりそのまんま返してやるから。覚悟してなさい!」

 言い切ると彼女ははらりと姿を消した。

 あちゃー、なるほど。これはもしや、とんでもないことに巻き込まれたかもしれない。

 セラフィナの残像が脳内をハウリングする。キンキンの金切り声でちょっと頭を痛めたかもしれない。
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