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母さん⑵
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今まで、母さんのことはあまり考えないようにしていたから、改めて聞かれると、少し悩んでしまう。
母さんは、調子の良いときは家事をしたり一緒に遊んでくれたけど、月の半分は調子が悪く、そうなると声をかけてもボーッとしていたり、寝ていることが多くなった。表情がよくコロコロと変わり、感情の起伏が激しくて、怒らせないように気を遣っていた記憶がある。母さんは怒るとよく「母さんを怒らせないで」と言っていた。
優しかった記憶もあったけど、なぜか怒られた記憶が鮮明に残っている。決して、叩かれたりとか暴力的な部分があったわけではないけど、急に怒り出して大きな声を出すことはよくあった。 逆にすごくテンションが高く、必要以上に料理や家事をやったり、いつもの寝る時間を過ぎてもしゃべり続けていることもあった。
そんな母さんに、オレも父さんも少し振り回されていた。
母さんは完璧を求めることが多くて、躾も厳しかったと思う。勇がいい子にこだわるのも、母さんの影響である事は、想像に難くなかった。特に、トイレの失敗には厳しく怒られ、母さんがいなくなる前は昼も夜も失敗することはまずなかったけど、あれは幼稚園の年中の頃、大きな失敗をしたことがあった。
その日は、母さんの調子も機嫌も良くて、久し振りに2人でお出かけをしていた。そういえば、さっき通ってきたショッピングモールだ。そこで映画を見たり、買い物したり、ご飯を食べたりすごく楽しい時間を過ごしていて、すっかりトイレに行くことを忘れていたんだ。母さんは、オレがトイレの失敗をほとんどしないから、促すこと自体していなかった。
母さんはだんだん疲れてくると、やや不機嫌になり始め、十分に日も暮れていて母さんに急かされるように、家路に向かう。お店を出る頃には、おしっこがしたかったけど、家まで我慢できると思っていたし、不機嫌になり始めている母さんに「トイレに行きたい」って言うことができなかった。
それでも、最寄りの駅までは何とか我慢ができて、あとは駅から家までの10分程の距離だった。
「ほら、幸、早く」
「まって……母さん」
早歩きの母さんの後を、足をモジモジさせながらついて行く。
どうしよう……漏れそう……でも漏らしたら怒られちゃう……
でも、そんな思いとは裏腹に、じょわっと少しずつパンツを濡らしていった。
何とか、家に着いて玄関に入ると家に着いたという気の緩みから、一気にパンツとズボンを濡らしていった。
「うわっ……」
じょわわわわわわ………
「えっ?幸、何してるの!何で早くトイレに行かなかったの!」
「うっ……うっ……ごめんなさい……」
「あーもう。赤ちゃんじゃないんだから、ちゃんとトイレに行けるでしょ」
その時、ガラッと戸が開いて父さんが帰ってきた。
「あれ?どうした」
「あ……おかえりなさい。幸が、ここで漏らして。本当にもう5歳なのに……」
「じゃあ、ここは僕がやっておくから、先に部屋に入ってていいよ。夕飯の準備もあるだろ」
「そうね……じゃあ、お願いするわ」
母さんが部屋に入っていくのを見届けて、父さんが声をかけてくる。
「幸、大丈夫か?一緒に風呂に入るか。さあ、もう泣かなくても大丈夫。失敗しちゃうことはあるから」
その後のことはあまり覚えてなかったけど、たぶん父さんが全部やってくれたと思う。 風呂から上がり、もう1度母さんに謝りに行くと、もっと早くトイレに行くようには言われたけど、もう怒ってなくてホッとした。
こんな感じで、母さんは熱しやすくて冷めやすい感じだった。
母さんは、調子の良いときは家事をしたり一緒に遊んでくれたけど、月の半分は調子が悪く、そうなると声をかけてもボーッとしていたり、寝ていることが多くなった。表情がよくコロコロと変わり、感情の起伏が激しくて、怒らせないように気を遣っていた記憶がある。母さんは怒るとよく「母さんを怒らせないで」と言っていた。
優しかった記憶もあったけど、なぜか怒られた記憶が鮮明に残っている。決して、叩かれたりとか暴力的な部分があったわけではないけど、急に怒り出して大きな声を出すことはよくあった。 逆にすごくテンションが高く、必要以上に料理や家事をやったり、いつもの寝る時間を過ぎてもしゃべり続けていることもあった。
そんな母さんに、オレも父さんも少し振り回されていた。
母さんは完璧を求めることが多くて、躾も厳しかったと思う。勇がいい子にこだわるのも、母さんの影響である事は、想像に難くなかった。特に、トイレの失敗には厳しく怒られ、母さんがいなくなる前は昼も夜も失敗することはまずなかったけど、あれは幼稚園の年中の頃、大きな失敗をしたことがあった。
その日は、母さんの調子も機嫌も良くて、久し振りに2人でお出かけをしていた。そういえば、さっき通ってきたショッピングモールだ。そこで映画を見たり、買い物したり、ご飯を食べたりすごく楽しい時間を過ごしていて、すっかりトイレに行くことを忘れていたんだ。母さんは、オレがトイレの失敗をほとんどしないから、促すこと自体していなかった。
母さんはだんだん疲れてくると、やや不機嫌になり始め、十分に日も暮れていて母さんに急かされるように、家路に向かう。お店を出る頃には、おしっこがしたかったけど、家まで我慢できると思っていたし、不機嫌になり始めている母さんに「トイレに行きたい」って言うことができなかった。
それでも、最寄りの駅までは何とか我慢ができて、あとは駅から家までの10分程の距離だった。
「ほら、幸、早く」
「まって……母さん」
早歩きの母さんの後を、足をモジモジさせながらついて行く。
どうしよう……漏れそう……でも漏らしたら怒られちゃう……
でも、そんな思いとは裏腹に、じょわっと少しずつパンツを濡らしていった。
何とか、家に着いて玄関に入ると家に着いたという気の緩みから、一気にパンツとズボンを濡らしていった。
「うわっ……」
じょわわわわわわ………
「えっ?幸、何してるの!何で早くトイレに行かなかったの!」
「うっ……うっ……ごめんなさい……」
「あーもう。赤ちゃんじゃないんだから、ちゃんとトイレに行けるでしょ」
その時、ガラッと戸が開いて父さんが帰ってきた。
「あれ?どうした」
「あ……おかえりなさい。幸が、ここで漏らして。本当にもう5歳なのに……」
「じゃあ、ここは僕がやっておくから、先に部屋に入ってていいよ。夕飯の準備もあるだろ」
「そうね……じゃあ、お願いするわ」
母さんが部屋に入っていくのを見届けて、父さんが声をかけてくる。
「幸、大丈夫か?一緒に風呂に入るか。さあ、もう泣かなくても大丈夫。失敗しちゃうことはあるから」
その後のことはあまり覚えてなかったけど、たぶん父さんが全部やってくれたと思う。 風呂から上がり、もう1度母さんに謝りに行くと、もっと早くトイレに行くようには言われたけど、もう怒ってなくてホッとした。
こんな感じで、母さんは熱しやすくて冷めやすい感じだった。
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