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第79話
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そんな話をしていると、執事が早歩きで食堂に入って来て、お義父様にそっと耳うちをした。
お義父様の視線が私の方へと注がれる。……嫌な予感……。
「何か……」
私が口を開きかけた時、
「ちょっと!!早く呼んできてよ!!」
と玄関ホールの方から大声で叫ぶ女性の声が聞こえた。しかも……その声に聞き覚えがある私は、
「……ナタリーが来たんですね……」
とその声の主の名前を口にした。
「ああ、そのようだ。……君に会いたいそうだよ。エリン、どうするかい?このまま追い返すより、ここに留まらせて兄上に連絡を差し上げた方が良いのではないか?」
「そうさせていただけると助かります。こちらにご迷惑でなければ、今日は此方に泊めてもよろしいでしょうか?」
私が申し訳なさそうにすれば、お義父様は
「今日と言わずにいつまででも……と言いたいが結婚式まではもう一週間を切っているのだったな」
と顎をさすった。
「そうなんです……。私が王都に行く予定日より少し早いですが、明日には王都に向かう馬車で一緒に連れ帰ります」
と言う私の言葉に、
「!!では、俺も一緒に行こう」
とレナード様は慌てるのだった。
食事を中座する事を皆に詫びて、私は執事と共に玄関ホールへと向かう。私の少し前を歩く執事の背中に、
「客間を用意して貰えるかしら?」
と声を掛けると、
「既に手配済みです。ご安心下さい」
という答えが返ってきて、私は何だか申し訳ない気分になった。
こんな時間に訪ねてくるなんて……相変わらずのナタリーの常識の無さに頭が痛くなった。
「お姉様!!遅いわ!随分待ったじゃない!」
私の顔を見た途端にそう喚くナタリーにますます頭が痛くなる。
「ナタリー……。貴女どうして此処へ?もう五日後には結婚式でしょう?」
ナタリーの不満に答えるつもりはない。それよりも何故此処に居るのかをまず訊きたい。
「私、結婚辞めるわ!」
……また意味不明な事を……。
「何を言ってるの。そんな事許される訳ないでしょう?」
「嫌よ!私はハロルドとは結婚しないから!!それより、私、お腹すいちゃった!!今日は朝から何も食べてないのよ」
とわざとらしくお腹を擦るナタリーに、ため息しか出てこない。
そのやり取りを見ていた執事が
「此処で立ち話もなんですから、奥様、夕食をご一緒していただいては?直ぐに準備させますので」
と私に微笑んだ。……あぁ、ますます申し訳ない。
お義父様の視線が私の方へと注がれる。……嫌な予感……。
「何か……」
私が口を開きかけた時、
「ちょっと!!早く呼んできてよ!!」
と玄関ホールの方から大声で叫ぶ女性の声が聞こえた。しかも……その声に聞き覚えがある私は、
「……ナタリーが来たんですね……」
とその声の主の名前を口にした。
「ああ、そのようだ。……君に会いたいそうだよ。エリン、どうするかい?このまま追い返すより、ここに留まらせて兄上に連絡を差し上げた方が良いのではないか?」
「そうさせていただけると助かります。こちらにご迷惑でなければ、今日は此方に泊めてもよろしいでしょうか?」
私が申し訳なさそうにすれば、お義父様は
「今日と言わずにいつまででも……と言いたいが結婚式まではもう一週間を切っているのだったな」
と顎をさすった。
「そうなんです……。私が王都に行く予定日より少し早いですが、明日には王都に向かう馬車で一緒に連れ帰ります」
と言う私の言葉に、
「!!では、俺も一緒に行こう」
とレナード様は慌てるのだった。
食事を中座する事を皆に詫びて、私は執事と共に玄関ホールへと向かう。私の少し前を歩く執事の背中に、
「客間を用意して貰えるかしら?」
と声を掛けると、
「既に手配済みです。ご安心下さい」
という答えが返ってきて、私は何だか申し訳ない気分になった。
こんな時間に訪ねてくるなんて……相変わらずのナタリーの常識の無さに頭が痛くなった。
「お姉様!!遅いわ!随分待ったじゃない!」
私の顔を見た途端にそう喚くナタリーにますます頭が痛くなる。
「ナタリー……。貴女どうして此処へ?もう五日後には結婚式でしょう?」
ナタリーの不満に答えるつもりはない。それよりも何故此処に居るのかをまず訊きたい。
「私、結婚辞めるわ!」
……また意味不明な事を……。
「何を言ってるの。そんな事許される訳ないでしょう?」
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とわざとらしくお腹を擦るナタリーに、ため息しか出てこない。
そのやり取りを見ていた執事が
「此処で立ち話もなんですから、奥様、夕食をご一緒していただいては?直ぐに準備させますので」
と私に微笑んだ。……あぁ、ますます申し訳ない。
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