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第89話
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「とにかく。私はハロルドとの結婚は辞めるわ!」
「無理よ。貴女……ハロルド様に体を許したのでしょう?あの時……貴女が侍女に怪我をさせたからと向こうから婚約解消の申し出があった時、貴女がそれを皆の前で告白したのでしょう?貴女が純潔でなくなった事は皆が知るところになってるのよ?そんなの無理に決まっているでしょう?」
私の言葉にナタリーはグッと言葉に詰まった。
ハロルドの浮気疑惑に、頭に血が上って家を飛び出したのかもしれないが、そこを無視してこの結婚を無かった事になど出来ない。
私はナタリーの返事を待たずに
「いい?良く聞いてね。貴女がこの結婚をどうしても嫌だと言うなら、ストーン伯爵家と縁を切ってから家を出て行きなさい。貴族は家の繁栄を願って縁談を決めるのよ?貴女のわがままでストーン家に泥を塗る事は許されない」
そう念を押した。
しかしナタリーは私を睨んで、
「お姉様のせいよ!!お姉様がハロルドと婚約なんてするからこんな事になったの!」
と叫んだ。
???
私の頭の中は疑問符だらけだ。
「貴女の言ってる意味が分からないのだけれど」
「だって……ハロルドって美丈夫で有名だったのに、冴えないお姉様なんかと婚約するって言うんだもの。私の方がお姉様より数倍可愛いのに、何で?!って思っちゃうじゃない」
「……………」
こんなにはっきりと悪口を言われるなんて……昨日から思っていたけど、私、ナタリーに嫌われてるの?
私の隣のバーバラも口をあんぐりと開けている。分かる。分かるわ……私も何も言えないもの。
「でもお姉様って不思議とモテるのよね。地味なくせに。良妻賢母?って言うの?お姉様と結婚すると幸せになれそうとか、何とか言っちゃって。子どもの頃から、男の子に人気があったのよね。本当に不思議だった」
「……私、モテた覚えなんかないわ。男の子に囲まれていたのは貴女でしょう?」
「お姉様ってお高くとまってたから。でも、結局は皆、私が好意を見せればホイホイと私に乗り換えてたけど。まぁ、男なんて単純だもの。自分を好きだと言ってくれる女が好きなんだし」
「何でそんな事を……?」
ナタリーの言葉をそのまま受け取るなら、私に好意的だった男性を誘惑していた……という風に聞こえるのだけど……?
「だって……私、お姉様が嫌いだもの。ずっと、子どもの頃から。真面目ぶってて、私の事をいつも馬鹿にして見下してたでしょう?
大して可愛くもないくせに、高嶺の花みたいに扱われちゃって。だから、お姉様に好意を持つ男性はぜーんぶ私が獲っちゃおうと思って。私が色目を使えば、結局皆鼻の下を伸ばして、私に愛を囁いて来たの。それを見ると本当にスカッとしたわ。その中で一番良かったのが、ハロルドだった筈なのに……。私みたいに可愛い婚約者がいながら、浮気するなんて……本当に最低!あ~あ、失敗しちゃった」
ナタリーはそう言ってふくれっ面をしてみせた。
そんな顔もいつもなら可愛く見えるはずなのに、今の私には恐ろしいものに思えてならなかった。
「無理よ。貴女……ハロルド様に体を許したのでしょう?あの時……貴女が侍女に怪我をさせたからと向こうから婚約解消の申し出があった時、貴女がそれを皆の前で告白したのでしょう?貴女が純潔でなくなった事は皆が知るところになってるのよ?そんなの無理に決まっているでしょう?」
私の言葉にナタリーはグッと言葉に詰まった。
ハロルドの浮気疑惑に、頭に血が上って家を飛び出したのかもしれないが、そこを無視してこの結婚を無かった事になど出来ない。
私はナタリーの返事を待たずに
「いい?良く聞いてね。貴女がこの結婚をどうしても嫌だと言うなら、ストーン伯爵家と縁を切ってから家を出て行きなさい。貴族は家の繁栄を願って縁談を決めるのよ?貴女のわがままでストーン家に泥を塗る事は許されない」
そう念を押した。
しかしナタリーは私を睨んで、
「お姉様のせいよ!!お姉様がハロルドと婚約なんてするからこんな事になったの!」
と叫んだ。
???
私の頭の中は疑問符だらけだ。
「貴女の言ってる意味が分からないのだけれど」
「だって……ハロルドって美丈夫で有名だったのに、冴えないお姉様なんかと婚約するって言うんだもの。私の方がお姉様より数倍可愛いのに、何で?!って思っちゃうじゃない」
「……………」
こんなにはっきりと悪口を言われるなんて……昨日から思っていたけど、私、ナタリーに嫌われてるの?
私の隣のバーバラも口をあんぐりと開けている。分かる。分かるわ……私も何も言えないもの。
「でもお姉様って不思議とモテるのよね。地味なくせに。良妻賢母?って言うの?お姉様と結婚すると幸せになれそうとか、何とか言っちゃって。子どもの頃から、男の子に人気があったのよね。本当に不思議だった」
「……私、モテた覚えなんかないわ。男の子に囲まれていたのは貴女でしょう?」
「お姉様ってお高くとまってたから。でも、結局は皆、私が好意を見せればホイホイと私に乗り換えてたけど。まぁ、男なんて単純だもの。自分を好きだと言ってくれる女が好きなんだし」
「何でそんな事を……?」
ナタリーの言葉をそのまま受け取るなら、私に好意的だった男性を誘惑していた……という風に聞こえるのだけど……?
「だって……私、お姉様が嫌いだもの。ずっと、子どもの頃から。真面目ぶってて、私の事をいつも馬鹿にして見下してたでしょう?
大して可愛くもないくせに、高嶺の花みたいに扱われちゃって。だから、お姉様に好意を持つ男性はぜーんぶ私が獲っちゃおうと思って。私が色目を使えば、結局皆鼻の下を伸ばして、私に愛を囁いて来たの。それを見ると本当にスカッとしたわ。その中で一番良かったのが、ハロルドだった筈なのに……。私みたいに可愛い婚約者がいながら、浮気するなんて……本当に最低!あ~あ、失敗しちゃった」
ナタリーはそう言ってふくれっ面をしてみせた。
そんな顔もいつもなら可愛く見えるはずなのに、今の私には恐ろしいものに思えてならなかった。
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