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第107話
「え?どういう事?」
たっぷりの沈黙の後に、何とか私は問い返した。
「うちの弟が商会の経理部門で働いているのは知ってますよね?」
「え……えぇ。とても優秀な弟さんだもの。王都でも五本の指に入る程の商会よね。知っているわ」
「パトリック伯爵家もご贔屓さんなんですよ。ハロルド様から聞いたそうです。『伯爵夫人としての務めが果たせないから離縁する事にした』と。前パトリック伯爵夫人が失踪してからというもの、なかなかあの家も厳しいようです。急にパトリック伯爵を継いだハロルド様は大忙し。領地と王都を行ったり来たりの毎日。しかしナタリー様はあの時のまま……へそを曲げたまま、家政も全く手付かずだった様で」
「ナタリー……。それで離縁されてしまっては自分にとって都合が悪くなるだけなのに」
そう言った私の言葉にバーバラも頷いた。
「だが……君のご実家から連絡がないのはおかしいな」
黙って話を聞いていたレナード様がポツリとそう言った。
「そうですね……。兄に手紙を書いてみようと思います」
せっかくの幸せな気分がパチンと弾けて消えていく。
私はまたもやナタリーの事で頭を悩ます事になるのだった。
翌日、早速私は兄に手紙を書いた。
レナード様には『あまり気に病む事はない』と言われたが、ナタリーの事より母や兄の事が気になって仕方ない。
じっとしていると悶々と考えてしまうので、気分転換に街へ買い物に行く事にした。
やっと、領地での買い物にも慣れて来た。
レナード様の為人のお陰で、街の人にも受け入れて貰えて嬉しい。
「伯爵夫人!どうですこの林檎!凄く美味しいですよ」
「夫人!焼き立てのパンはいかがです?」
少し歩いただけで、皆から声を掛けられる。ありがたい事だ。
「奥様、そろそろ少し休みませんか?」
バーバラにそう言われて、
「そうね。あそこにカフェがあるわ。少し休憩して行きましょう」
と答える。護衛にも声を掛け、そのカフェへ向かう途中、後ろから声を掛けられた。
「エリン……いえ、グレイグ辺境伯夫人」
静かなその声に聞き覚えがある。私が振り返るとそこには微笑んだ前パトリック伯爵夫人……ハロルドのお母様が居た。
たっぷりの沈黙の後に、何とか私は問い返した。
「うちの弟が商会の経理部門で働いているのは知ってますよね?」
「え……えぇ。とても優秀な弟さんだもの。王都でも五本の指に入る程の商会よね。知っているわ」
「パトリック伯爵家もご贔屓さんなんですよ。ハロルド様から聞いたそうです。『伯爵夫人としての務めが果たせないから離縁する事にした』と。前パトリック伯爵夫人が失踪してからというもの、なかなかあの家も厳しいようです。急にパトリック伯爵を継いだハロルド様は大忙し。領地と王都を行ったり来たりの毎日。しかしナタリー様はあの時のまま……へそを曲げたまま、家政も全く手付かずだった様で」
「ナタリー……。それで離縁されてしまっては自分にとって都合が悪くなるだけなのに」
そう言った私の言葉にバーバラも頷いた。
「だが……君のご実家から連絡がないのはおかしいな」
黙って話を聞いていたレナード様がポツリとそう言った。
「そうですね……。兄に手紙を書いてみようと思います」
せっかくの幸せな気分がパチンと弾けて消えていく。
私はまたもやナタリーの事で頭を悩ます事になるのだった。
翌日、早速私は兄に手紙を書いた。
レナード様には『あまり気に病む事はない』と言われたが、ナタリーの事より母や兄の事が気になって仕方ない。
じっとしていると悶々と考えてしまうので、気分転換に街へ買い物に行く事にした。
やっと、領地での買い物にも慣れて来た。
レナード様の為人のお陰で、街の人にも受け入れて貰えて嬉しい。
「伯爵夫人!どうですこの林檎!凄く美味しいですよ」
「夫人!焼き立てのパンはいかがです?」
少し歩いただけで、皆から声を掛けられる。ありがたい事だ。
「奥様、そろそろ少し休みませんか?」
バーバラにそう言われて、
「そうね。あそこにカフェがあるわ。少し休憩して行きましょう」
と答える。護衛にも声を掛け、そのカフェへ向かう途中、後ろから声を掛けられた。
「エリン……いえ、グレイグ辺境伯夫人」
静かなその声に聞き覚えがある。私が振り返るとそこには微笑んだ前パトリック伯爵夫人……ハロルドのお母様が居た。
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