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第28話
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私は昔、1度公爵様に尋ねた事がある。
「何故私をお選びになったのですか?」と。
公爵様は一言。
「私が選んだ訳ではない。ギルバートが選んだんだ」
と言った。
ギルバートと言えば、私が嫁いだその日から、私に対して良い感情を持っていない事を露にしてきた人物。その彼が私を選んだ?俄には信じがたい。
私は好奇心からギルバートに、
「何故私だったの?」
とこれまた尋ねた事がある。
「ご主人様から適当なご令嬢を見繕ってくれと言われましたので」
とギルバートは答えたが、それでは私の質問の答えにはなっていない。
「『適当なご令嬢』ならまだ他にたくさん居たでしょう?私が知りたいのは……そうねぇ。選考基準……とでも言うのかしら?何故『私』が1番適当だと思われたのか、なんだけど」
「では、正直に。まずこのオーネット公爵家に相応しい家柄で選ぶのであれば、侯爵家以上のご令嬢を選ぶのが筋でしょうが、ご主人様は結婚はしても子作りをするつもりはないとのご希望がありましたので、あまりに高貴な血筋の者では、後々面倒な事になります。
かと言って男爵や子爵では釣り合わない。伯爵で尚且つあまり野心的でない家……というのはそうそう多くはありませんでした。
それに直ぐ様結婚しなければならない事を考えるとすでに成人したご令嬢が望ましい。となれば自ずと絞られて参ります」
とギルバートは涼しげな顔で言った。
…ちょっと待て。この結婚が最初から『白い結婚』になる事をこの男も知っていたという事か。
確かに、この屋敷の者から子どもを望む発言など聞いた事がない。それは……ソニアも同じ。
って事はみーんな最初から私がお飾り公爵夫人になる事は承知していたと言う訳ね。そう、私以外は。
私はそれを知った時、少しだけショックを受けたのだが、それは今ではどうでも良い話だ。
それに続けてギルバートはこうも言った。
「行き遅れのご令嬢であれば、ある程度無理を押し通しても了承すると思いましたので、あの時は奥様が丁度良かったのです」
と。
結婚式をしないとか、1週間で嫁げとか、普通の結婚ではあり得ない。行き遅れであれば、それら全てを飲み込むと思われていたと言うことか。……実際飲み込んだ訳だけど。
でも酷くない?私ってそんな事で選ばれたの?そう内心もやもやしていると、ギルバートは、
「しかし……こんな性格だと分かっていたら……選ばなかったかもしれませんねぇ」
と一言余計な事を付け加えた。
私は机をひっくり返したい程の衝動に駆られたが、我慢した。
今では、それも遠い思い出だ。
「何故私をお選びになったのですか?」と。
公爵様は一言。
「私が選んだ訳ではない。ギルバートが選んだんだ」
と言った。
ギルバートと言えば、私が嫁いだその日から、私に対して良い感情を持っていない事を露にしてきた人物。その彼が私を選んだ?俄には信じがたい。
私は好奇心からギルバートに、
「何故私だったの?」
とこれまた尋ねた事がある。
「ご主人様から適当なご令嬢を見繕ってくれと言われましたので」
とギルバートは答えたが、それでは私の質問の答えにはなっていない。
「『適当なご令嬢』ならまだ他にたくさん居たでしょう?私が知りたいのは……そうねぇ。選考基準……とでも言うのかしら?何故『私』が1番適当だと思われたのか、なんだけど」
「では、正直に。まずこのオーネット公爵家に相応しい家柄で選ぶのであれば、侯爵家以上のご令嬢を選ぶのが筋でしょうが、ご主人様は結婚はしても子作りをするつもりはないとのご希望がありましたので、あまりに高貴な血筋の者では、後々面倒な事になります。
かと言って男爵や子爵では釣り合わない。伯爵で尚且つあまり野心的でない家……というのはそうそう多くはありませんでした。
それに直ぐ様結婚しなければならない事を考えるとすでに成人したご令嬢が望ましい。となれば自ずと絞られて参ります」
とギルバートは涼しげな顔で言った。
…ちょっと待て。この結婚が最初から『白い結婚』になる事をこの男も知っていたという事か。
確かに、この屋敷の者から子どもを望む発言など聞いた事がない。それは……ソニアも同じ。
って事はみーんな最初から私がお飾り公爵夫人になる事は承知していたと言う訳ね。そう、私以外は。
私はそれを知った時、少しだけショックを受けたのだが、それは今ではどうでも良い話だ。
それに続けてギルバートはこうも言った。
「行き遅れのご令嬢であれば、ある程度無理を押し通しても了承すると思いましたので、あの時は奥様が丁度良かったのです」
と。
結婚式をしないとか、1週間で嫁げとか、普通の結婚ではあり得ない。行き遅れであれば、それら全てを飲み込むと思われていたと言うことか。……実際飲み込んだ訳だけど。
でも酷くない?私ってそんな事で選ばれたの?そう内心もやもやしていると、ギルバートは、
「しかし……こんな性格だと分かっていたら……選ばなかったかもしれませんねぇ」
と一言余計な事を付け加えた。
私は机をひっくり返したい程の衝動に駆られたが、我慢した。
今では、それも遠い思い出だ。
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