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第79話
しおりを挟む「し、知らん、知らん!私は知らん!」
と学園長は取り乱したように大声を出しましたが、バジル男爵は落ち着いた声で、
「じゃあ、この手紙はなんだ?『再婚したのだから、養育費の支払いを減額してくれないか?』
と書いてあるな。自分の子どもでもないのに貴方は養育費を支払うのか?
それと…こちらの手紙には、こう書いてあるな『頼むから妻には言わないでくれ。悪かった。養育費は今まで通り支払う。すまない』
そして、こちらの手紙には、『学年トップの成績に差し替えた。これで生徒会には選ばれる筈だ。出来る限りの便宜を図る事を約束する。妻には言わないでくれ』か。
随分とそこの女の言いなりだったようだ。脅迫されていたと見て間違いなさそうだ」
それを聞いた学園長は真っ青ですわ。
今まで成り行きを見守っていた殿下が、
「夫人。これで証拠として十分だろう。貴女には脅迫罪が適応されるだろうな」
と言うと、その言葉を聞いた護衛達が、彼女の捕縛に動き始めました。急いで夫人も逃げようとしていますが…足掻いても無駄な様子。
彼女はあっさりと捕まり、会場から引きずられるように連れて行かれました。
殿下は残った学園長に、
「あの手紙にもあるように、成績の差し替えは、貴方の手によって行われたものですね。バジル男爵令嬢が我が物顔で振る舞っていたのを見過ごすように言ったのも貴方だ」
と静かに語りかけました。
学園長は、
「し、仕方なかったんだ。あの女に脅されて…。自分達の事を妻にばらすと…」
と言って、学園長は泣き崩れましたが、彼もまた護衛に無理矢理立たされると、会場から連れ出されました。
学園長の罪はそこまで重くないかもしれなませんが、公爵家に婿入りした立場では、離縁をされると、困る事になるだろうな…と私は会場から去る護衛と共に項垂れたままの学園長の背中を見ながら思うのでした。
残されたバジル男爵が、殿下に向き直ると、殿下は発言を許可しました。
「殿下のご指摘のお陰で、あの女の嘘に気付く事が出来ました。まさか、学園長と不貞関係にあり、今だに金をむしり取っているとは…呆れましたよ。不貞が昔の事であったとしても、私としては許すつもりはありません。あの女とは離縁します」
「こちらこそ、協力をありがとう。
メリッサ嬢が学力優秀だとはどうしても思えず、学園長を探った時にあの改ざん前のビリビリに破れた成績表を見つけたんだ。
何故か学園長はメリッサ嬢の言動に目を瞑っているようだし、何かあると思えば…こんな事だ。彼は学園を去る事になるだろう。下手をすれば公爵家からもな」
と殿下は男爵に礼を言っておりました。
すると、今までの話しを唖然として聞いていたバジル男爵令嬢…いえ、もしかしたら、こう呼ぶ事はもう2度となくなるかもしれませんが…メリッサ嬢は、
「ちょ、ちょっと!私はどうなるの?!」
と叫びました。
……どうなるんでしょうね?
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