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その47

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それから1週間程した頃に、私は侍女長のマリエル様に呼び出された。

殿下は今はフェルト女史と勉強中。
少しの間なら、席を外しても問題ないだろう。



「失礼いたします。シビルでございます」

と私が侍女長の部屋の前で声をかけると、中から返答があり、部屋へ通された。


そこには、2人の侍女が居たのだが……獣の耳も尻尾もない…人間だった。

マリエル様は私に、

「この2人を新たにミシェル殿下にお付けしようと思うの。2人は人間だから、殿下も拒絶はなさらないでしょう」
と静かに言った。

「わざわざミシェル殿下の為に…。本当にありがとうございます。そして…色々と申し訳ありません」

「お礼なら、王太子殿下に。この者達を見つけて来たのは、クリスティアーノ殿下です。
2人は侍女の経験が無かったから、教育に2週間程かかってしまったけど…。
ミシェル殿下の元に付くのだから、後の細かい所は貴女が教えてあげて。
じゃあ、2人とも自己紹介を」
と、マリエル様が2人に促すと、

赤毛で茶色い瞳の女性が、

「私の名前はレジーです。よろしくお願いいたします」
と頭を下げた。

そして、茶色の髪に黒い瞳の女性が、

「私の名前はユリアです。よろしくお願いいたします」
とそれぞれが挨拶をしてくれた。

私も、
「私はシビルです。ミシェル殿下の専属侍女として、アルティア王国から来ました。これから、よろしくお願いいたします」
と挨拶をした。


もしかしたら、この2人が、クリス様の言っていたなのだろうか。

私が何度も侍女が1人だと言ったから。
それにクリス様はミシェル殿下が獣人嫌いなのを分かってるから。

きっと、私しか侍女が居ないミシェル殿下に気を配って下さったのだろう。
私は素直にクリス様に感謝した。


ミシェル殿下に付いてベルガ王国に来る事が決まってから約2ヶ月半。
私には1日たりとも休みはなかった。

体力に自信のある私でも、流石に疲労は蓄積されていた。
本当にこの申し出はありがたい。
殿下が何と言おうと、私は2人と一緒に働くぞ !と決意を新たにした。


そして私は2人に1番訊きたかった事を訊ねる。


「あの……つかぬ事をお伺いしますが…反射神経は良い方ですか?」
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