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第2話 絶体絶命
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「おい!聞いているのか!」
目の前の金髪イケメンの声に私は我に返った。
「は、はい。聞いております」
今日は学園の卒業式。── 断罪現場にもってこいだ。うん、テンプレ。
「君はロッテに嫉妬し、彼女を虐めたな?」
どう答えるのが正解?小説では主人公の悪役令嬢らしく、堂々と否定してたけど……。正直主人公って立場も荷が重い。前世の私は至って平凡なOLだったのだから。
「虐めた……かなぁ?」
私は曖昧に首を傾げた。
「君は自分のやったことも覚えていないのか?」
「覚えていない……かもしれませんねぇ」
私はそう言って曖昧に微笑んだ。はっきり白黒つけたくない!だってここで全てを認めて最悪処刑でもされてしまったら?それだけは避けなければならない。
目の前のシャルロッテも訝しげに眉を潜めた。きっと私がはっきり否定すると思っていたのだろうなと推測する。
私だってまだ、ここからどうすればいいのか、はっきりとは分かっていないのだから仕方ない。真っ暗闇の手探り状態だ。
ユリウスは指を下げ、心配そうに私を見つめた。
「ロザリンド……君、大丈夫かい?いつもと様子が違うけど、熱でもあるんじゃ── 」
さっきまでの横柄な態度は鳴りを潜め、ユリウスはそっとシャルロッテを離し、一歩私に近づいた。ゆっくりと彼の手が私の額に近づいた── その時。
「痛い!」
そう言ってシャルロッテはしゃがみ込んだ。ユリウスは直ぐ様振り返ってシャルロッテに近付く。
「大丈夫かい?」
ユリウスも同じようにしゃがみ込んで、今にも泣き出しそうなシャルロッテの顔をのぞき込んだ。
「ユリウス……前にロザリンド様に足を引っ掛けられた所がまた痛みだしたみたい。……骨には異常はないってお医者様は言ってくださったんだけど……」
彼女のピンク色の瞳に涙がぷっくりと浮かんだ。
……器用なものだと感心する。
もちろん私が足を引っ掛けたなんて事実はない。彼女が私の目の前て派手に転んだだけだ。それも既に一ヶ月以上前に。いつまで痛むんだよ!とツッコミを入れることが出来たなら気が楽なのに……と思うが我慢だ。
だが今は逆に彼女にお礼を言いたい気分だ。さすがにイケメンが顔に触れるなんてイベントは涼しい顔でやり過ごせない。たとえ私が前世干物女でも。
「ユリウス殿下、シャルロッテ様をお医者様に診せた方が良いのでは?」
私は早くこの場を退場したいばかりだ。何ならこのまま何事もなく婚約破棄だけしてもらいたい。
「そ、そうだな」
イケメンユリウスはそう言うと、シャルロッテを優しく立ち上がらせようとするが── 。
「な、治りました!」
シャルロッテは泣き真似を止めてすっくと立ち上がった。目を白黒させるユリウス。
「え?だ、大丈夫なのかい?」
「ええ、すっかり。それよりもユリウス。私を虐めたロザリンド様とは婚約破棄するだけ?この国の公爵令嬢が皆の模範にならないようなことをしたのに?それでは示しがつかないんじゃ……。それに私、同じ王都にロザリンド様が居ると思うだけで怖くて……」
彼女は小さく震えながら、ユリウスの胸に縋る。どうやってもシャルロッテは私を辺境の田舎町に引っ込ませたいらしい。これが物語の強制力というやつだろうか?何とも恐ろしい。
このまま強制力に流されてしまえば、問題の多い田舎町へ連れて行かれてしまう。
そこで問題を解決しなきゃならないなんて……その上ユリウスから復縁を迫られるなんて、絶対に嫌!
どうすれば……どうすればいいのだろう。
私は焦っていた。そんな私に一つの考えが浮かぶ。
それが私のこれからの運命を変えるとも知らずに。私はそれを口にした。
目の前の金髪イケメンの声に私は我に返った。
「は、はい。聞いております」
今日は学園の卒業式。── 断罪現場にもってこいだ。うん、テンプレ。
「君はロッテに嫉妬し、彼女を虐めたな?」
どう答えるのが正解?小説では主人公の悪役令嬢らしく、堂々と否定してたけど……。正直主人公って立場も荷が重い。前世の私は至って平凡なOLだったのだから。
「虐めた……かなぁ?」
私は曖昧に首を傾げた。
「君は自分のやったことも覚えていないのか?」
「覚えていない……かもしれませんねぇ」
私はそう言って曖昧に微笑んだ。はっきり白黒つけたくない!だってここで全てを認めて最悪処刑でもされてしまったら?それだけは避けなければならない。
目の前のシャルロッテも訝しげに眉を潜めた。きっと私がはっきり否定すると思っていたのだろうなと推測する。
私だってまだ、ここからどうすればいいのか、はっきりとは分かっていないのだから仕方ない。真っ暗闇の手探り状態だ。
ユリウスは指を下げ、心配そうに私を見つめた。
「ロザリンド……君、大丈夫かい?いつもと様子が違うけど、熱でもあるんじゃ── 」
さっきまでの横柄な態度は鳴りを潜め、ユリウスはそっとシャルロッテを離し、一歩私に近づいた。ゆっくりと彼の手が私の額に近づいた── その時。
「痛い!」
そう言ってシャルロッテはしゃがみ込んだ。ユリウスは直ぐ様振り返ってシャルロッテに近付く。
「大丈夫かい?」
ユリウスも同じようにしゃがみ込んで、今にも泣き出しそうなシャルロッテの顔をのぞき込んだ。
「ユリウス……前にロザリンド様に足を引っ掛けられた所がまた痛みだしたみたい。……骨には異常はないってお医者様は言ってくださったんだけど……」
彼女のピンク色の瞳に涙がぷっくりと浮かんだ。
……器用なものだと感心する。
もちろん私が足を引っ掛けたなんて事実はない。彼女が私の目の前て派手に転んだだけだ。それも既に一ヶ月以上前に。いつまで痛むんだよ!とツッコミを入れることが出来たなら気が楽なのに……と思うが我慢だ。
だが今は逆に彼女にお礼を言いたい気分だ。さすがにイケメンが顔に触れるなんてイベントは涼しい顔でやり過ごせない。たとえ私が前世干物女でも。
「ユリウス殿下、シャルロッテ様をお医者様に診せた方が良いのでは?」
私は早くこの場を退場したいばかりだ。何ならこのまま何事もなく婚約破棄だけしてもらいたい。
「そ、そうだな」
イケメンユリウスはそう言うと、シャルロッテを優しく立ち上がらせようとするが── 。
「な、治りました!」
シャルロッテは泣き真似を止めてすっくと立ち上がった。目を白黒させるユリウス。
「え?だ、大丈夫なのかい?」
「ええ、すっかり。それよりもユリウス。私を虐めたロザリンド様とは婚約破棄するだけ?この国の公爵令嬢が皆の模範にならないようなことをしたのに?それでは示しがつかないんじゃ……。それに私、同じ王都にロザリンド様が居ると思うだけで怖くて……」
彼女は小さく震えながら、ユリウスの胸に縋る。どうやってもシャルロッテは私を辺境の田舎町に引っ込ませたいらしい。これが物語の強制力というやつだろうか?何とも恐ろしい。
このまま強制力に流されてしまえば、問題の多い田舎町へ連れて行かれてしまう。
そこで問題を解決しなきゃならないなんて……その上ユリウスから復縁を迫られるなんて、絶対に嫌!
どうすれば……どうすればいいのだろう。
私は焦っていた。そんな私に一つの考えが浮かぶ。
それが私のこれからの運命を変えるとも知らずに。私はそれを口にした。
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