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7話
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私が唖然として固まっていると、
「驚くのは当然だろうな。エレーヌはハロルドに送り込まれた刺殺って所だな、あいつは…」
と殿下が淡々と話す口元を見ながら私は、
「あの…もっとショックを受けたりしないのですか?」
とつい疑問を口にしていた。
貴方の愛した女性が、貴方を殺すのですよね?それに、その女性…他の方の愛人なんですよね?
「ショック?ショックならこの1週間、十分に受けたさ。想像出来るか?自分が他人の体に入ってるって」
「すみませんが、全然想像出来ませんし、それ事態、まだ信用しておりません」
というか、それ、どうやって信用しろと?
「…じゃあ、これから起こる事を俺が当ててやる。それが現実になったら、俺を信用するか?」
「…内容によりますわ。明日晴れるとか、夕食のスープがトマトであるとかなら信用出来ません」
「当たり前だろ。そんなの予想でしかない。今から…1週間以内にお前の父親がある罪で捕まる」
私はそれを聞いて思わず立ち上がっていた。
「そんな!父が何をすると言うのですか!!!」
「まぁ、待て。これもハロルドに仕組まれた事だ。君の父親であるリバレイン公爵は貿易商だな。罪状は密輸だ」
「密輸?!父はそんな事いたしません!!」
「分かってるって。多分…ここ1週間以内にセンターザルトからの輸入品が届く筈だ」
「それは父が輸入する物…という事ですね」
「そうだ。その中に禁止薬物が含まれている…という密告があったという体でハロルドの部隊がその荷を調査すると言い出す」
「そこで…禁止薬物が見つかる…というのですね。それには、ハロルド様が関わっている…と、そう言う事なんですね」
「流石マイラだな。君が言う通りだ」
…そんな…まさか。何故父がそんな目に?
「俺は君を嫌っていて、ある人物に唆されて君の父親の悪事を暴くべく、ハロルドに密告するわけだが…」
と言葉を切った殿下に、
「もしや唆す人物と言うのが…エレーヌ様だと言うのでは?」
と私が口を挟めば、
「その通り!エレーヌは常々、君に虐められていると、俺に訴えている。まぁ、俺としては愛しのエレーヌに言われれば、かっこ良い所を見せたくて、君の父親を密告するって訳だが…それは、あくまで、俺と入れ替わる前のフェルナンドだった場合だ」
頭の中がごちゃごちゃしてきた。この人は『俺』であってフェルナンド殿下ではないと言う。
全くもって理解が追い付かない。
「すみません…もう何が何だか…」
と私が素直に言えば、
「そうだよな。とにかく俺は君の父親を密告するつもりはない。エレーヌに何と言われてもだ。だが…それだけで君の父親を助ける事が出来るのか…心配ではある。…そこでだ。今回、積み荷の点検に俺が同行する事にしようと思うんだ」
「今まで殿下はそんな事なさった事はありません…不自然ではないでしょうか?」
この男、エレーヌ様と一緒に居たいが為に、視察などの面倒な外回りを全部私に押し付けてきていた。
そんな事をしたら、不自然さが目立つのではないか?
「今はそんな事を言ってる場合じゃないだろ?俺は君の父親を絶対に助ける。だから…その時は俺の言う事を信じてくれないか?」
この荒唐無稽な話を信じろと言うのか…。でも、もし本当だったら?本当に父が窮地に陥ってしまう事を阻止出来るのだとしたら?
私は意を決すると、
「わかりました。殿下がそれを証明して下さるなら…私は殿下の話を信用する事に致します」
と、そう答えていた。
「驚くのは当然だろうな。エレーヌはハロルドに送り込まれた刺殺って所だな、あいつは…」
と殿下が淡々と話す口元を見ながら私は、
「あの…もっとショックを受けたりしないのですか?」
とつい疑問を口にしていた。
貴方の愛した女性が、貴方を殺すのですよね?それに、その女性…他の方の愛人なんですよね?
「ショック?ショックならこの1週間、十分に受けたさ。想像出来るか?自分が他人の体に入ってるって」
「すみませんが、全然想像出来ませんし、それ事態、まだ信用しておりません」
というか、それ、どうやって信用しろと?
「…じゃあ、これから起こる事を俺が当ててやる。それが現実になったら、俺を信用するか?」
「…内容によりますわ。明日晴れるとか、夕食のスープがトマトであるとかなら信用出来ません」
「当たり前だろ。そんなの予想でしかない。今から…1週間以内にお前の父親がある罪で捕まる」
私はそれを聞いて思わず立ち上がっていた。
「そんな!父が何をすると言うのですか!!!」
「まぁ、待て。これもハロルドに仕組まれた事だ。君の父親であるリバレイン公爵は貿易商だな。罪状は密輸だ」
「密輸?!父はそんな事いたしません!!」
「分かってるって。多分…ここ1週間以内にセンターザルトからの輸入品が届く筈だ」
「それは父が輸入する物…という事ですね」
「そうだ。その中に禁止薬物が含まれている…という密告があったという体でハロルドの部隊がその荷を調査すると言い出す」
「そこで…禁止薬物が見つかる…というのですね。それには、ハロルド様が関わっている…と、そう言う事なんですね」
「流石マイラだな。君が言う通りだ」
…そんな…まさか。何故父がそんな目に?
「俺は君を嫌っていて、ある人物に唆されて君の父親の悪事を暴くべく、ハロルドに密告するわけだが…」
と言葉を切った殿下に、
「もしや唆す人物と言うのが…エレーヌ様だと言うのでは?」
と私が口を挟めば、
「その通り!エレーヌは常々、君に虐められていると、俺に訴えている。まぁ、俺としては愛しのエレーヌに言われれば、かっこ良い所を見せたくて、君の父親を密告するって訳だが…それは、あくまで、俺と入れ替わる前のフェルナンドだった場合だ」
頭の中がごちゃごちゃしてきた。この人は『俺』であってフェルナンド殿下ではないと言う。
全くもって理解が追い付かない。
「すみません…もう何が何だか…」
と私が素直に言えば、
「そうだよな。とにかく俺は君の父親を密告するつもりはない。エレーヌに何と言われてもだ。だが…それだけで君の父親を助ける事が出来るのか…心配ではある。…そこでだ。今回、積み荷の点検に俺が同行する事にしようと思うんだ」
「今まで殿下はそんな事なさった事はありません…不自然ではないでしょうか?」
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そんな事をしたら、不自然さが目立つのではないか?
「今はそんな事を言ってる場合じゃないだろ?俺は君の父親を絶対に助ける。だから…その時は俺の言う事を信じてくれないか?」
この荒唐無稽な話を信じろと言うのか…。でも、もし本当だったら?本当に父が窮地に陥ってしまう事を阻止出来るのだとしたら?
私は意を決すると、
「わかりました。殿下がそれを証明して下さるなら…私は殿下の話を信用する事に致します」
と、そう答えていた。
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