旦那様は転生者!

初瀬 叶

文字の大きさ
30 / 75

30話


少し時間が経つと、先程部屋へ入った護衛が出てきた。

「殿下は?」
私は気になり、すぐに訊ねる。

「殿下は蛇の亡骸をご自分で調べたいからと仰って…こちらには渡して下さいませんでした。
死んでいるとはいえ、毒でもあれば危険です。妃殿下からも私達に始末させるよう頼んで下さい」
と護衛は困ったように答えた。

「そう…一応言ってみるわ。でも期待しないで」
と私は言うと、部屋へ戻る。

「殿下?」
と私が声を掛けると、

「あぁ。マイラ。大丈夫だった?噛まれてない?」
と私に訊ねるハヤト。

「ええ。貴方のお陰で無事よ?蛇…どうなった?」

「大丈夫。もう死んでるよ。見たくないだろ?ちゃんと袋に入れてる」
と麻袋の様な物をハヤトは持ち上げた。

「危なくないの?」
と私が恐々訊けば、

「これ…多分クサリヘビじゃないかな?毒はあるよ。だけど即死する程じゃない。
バルコニーの窓が開いてた。そこから入ったんだろうって護衛は言うんだが…。
まぁ、誰かが入れたんだろうな。脅しかなぁ…意図が読めない」
とハヤトは首を傾げた。

「ハヤト…蛇に詳しいの?」
と私が訊ねれば、

「いや。友達に爬虫類好きな奴がいてさ。
なんかやたらと熱く語られた事があるんだよ。何となく覚えてただけ。
あいつらは信用出来ないから、俺が亡骸を預かったんだ。何処かに埋めて来るよ」
とハヤトは護衛を批難する様に言うと、麻袋を持って部屋を出て行った。

少し経って、ハヤトが戻ってきた。

「ねぇ、私考えたんだけど…もしかしたら私も狙われているのかしら?」
と私が自分の考えを言えば、

「何てったって此処は漫画の世界。あの蛇だって俺の知ってる蛇じゃなくて、猛毒を持っていたのかもしれないって考えると、マイラ自身を狙ってるとも考えられるな」
とハヤトは考え込んだ。

そして、ハヤトは何かを決心したような顔をすると、

「マイラ…俺達、離れた方が良い」
と私の目を見て言った。

「どうして?!私達…唯一の味方でしょう?」
ハヤトと離れなければならないのかもと考えただけで私の心はギュッとなった。

「そうだけど…。俺のせいでマイラが死ぬの…嫌だから」
とハヤトは少し俯いた。

私はその顔を下から覗き込むようにして、

「でも…ハヤトが殺されても…私は処刑されるのよ?ならば今、2人で協力して生き抜いた方が良いわ」
と私は言った。

嫌だ…ハヤトの側に居れなくなるのは。
私は必死でハヤトに訴えかける。

「ね?2人でなら、なんとかなるわ。
今日だって、ハヤトが助けてくれたし、次は私がハヤトを助けられるかもしれない。だから…側に居ましょう」
私の願いが通じたのか、ハヤトは重い口を開いた。

「マイラ…なら約束して。危ないと思ったら…自分の命を優先して」
とハヤトは私の肩を掴む。

「約束する。その時はハヤトを置いて逃げちゃうんだから」
と私はぎこちなく笑った。

数日後、この約束を破る事になるとは…この時の私はまだ知らなかった。


あなたにおすすめの小説

裏切り者として死んで転生したら、私を憎んでいるはずの王太子殿下がなぜか優しくしてくるので、勘違いしないよう気を付けます

みゅー
恋愛
ジェイドは幼いころ会った王太子殿下であるカーレルのことを忘れたことはなかった。だが魔法学校で再会したカーレルはジェイドのことを覚えていなかった。 それでもジェイドはカーレルを想っていた。 学校の卒業式の日、貴族令嬢と親しくしているカーレルを見て元々身分差もあり儚い恋だと潔く身を引いたジェイド。 赴任先でモンスターの襲撃に会い、療養で故郷にもどった先で驚きの事実を知る。自分はこの宇宙を作るための機械『ジェイド』のシステムの一つだった。 それからは『ジェイド』に従い動くことになるが、それは国を裏切ることにもなりジェイドは最終的に殺されてしまう。 ところがその後ジェイドの記憶を持ったまま翡翠として他の世界に転生し元の世界に召喚され…… ジェイドは王太子殿下のカーレルを愛していた。 だが、自分が裏切り者と思われてもやらなければならないことができ、それを果たした。 そして、死んで翡翠として他の世界で生まれ変わったが、ものと世界に呼び戻される。 そして、戻った世界ではカーレルは聖女と呼ばれる令嬢と恋人になっていた。 だが、裏切り者のジェイドの生まれ変わりと知っていて、恋人がいるはずのカーレルはなぜか翡翠に優しくしてきて……

聖女様と間違って召喚された腐女子ですが、申し訳ないので仕事します!

碧桜
恋愛
私は花園美月。20歳。派遣期間が終わり無職となった日、馴染の古書店で顔面偏差値高スペックなイケメンに出会う。さらに、そこで美少女が穴に吸い込まれそうになっていたのを助けようとして、私は古書店のイケメンと共に穴に落ちてしまい、異世界へ―。実は、聖女様として召喚されようとしてた美少女の代わりに、地味でオタクな私が間違って来てしまった! 落ちたその先の世界で出会ったのは、私の推しキャラと見た目だけそっくりな王(仮)や美貌の側近、そして古書店から一緒に穴に落ちたイケメンの彼は、騎士様だった。3人ともすごい美形なのに、みな癖強すぎ難ありなイケメンばかり。 オタクで人見知りしてしまう私だけど、元の世界へ戻れるまで2週間、タダでお世話になるのは申し訳ないから、お城でメイドさんをすることにした。平和にお給料分の仕事をして、異世界観光して、2週間後自分の家へ帰るつもりだったのに、ドラゴンや悪い魔法使いとか出てきて、異能を使うイケメンの彼らとともに戦うはめに。聖女様の召喚の邪魔をしてしまったので、美少女ではありませんが、地味で腐女子ですが出来る限り、精一杯頑張ります。 ついでに無愛想で苦手と思っていた彼は、なかなかいい奴だったみたい。これは、恋など始まってしまう予感でしょうか!? *カクヨムにて先に連載しているものを加筆・修正をおこなって掲載しております

ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん
恋愛
   アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。  何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。  何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。  「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…

お姉様優先な我が家は、このままでは破産です

編端みどり
恋愛
我が家では、なんでも姉が優先。 経費を全て公開しないといけない国で良かったわ。なんとか体裁を保てる予算をわたくしにも回して貰える。 だけどお姉様、どうしてそんな地雷男を選ぶんですか?! 結婚前から愛人ですって?!  愛人の予算もうちが出すのよ?! わかってる?! このままでは更にわたくしの予算は減ってしまうわ。そもそも愛人5人いる男と同居なんて無理! 姉の結婚までにこの家から逃げたい! 相談した親友にセッティングされた辺境伯とのお見合いは、理想の殿方との出会いだった。

【コミカライズ決定】魔力ゼロの子爵令嬢は王太子殿下のキス係

ayame@アンジェリカ書籍化決定
恋愛
【ネトコン12受賞&コミカライズ決定です!】私、ユーファミア・リブレは、魔力が溢れるこの世界で、子爵家という貴族の一員でありながら魔力を持たずに生まれた。平民でも貴族でも、程度の差はあれど、誰もが有しているはずの魔力がゼロ。けれど優しい両親と歳の離れた後継ぎの弟に囲まれ、贅沢ではないものの、それなりに幸せな暮らしを送っていた。そんなささやかな生活も、12歳のとき父が災害に巻き込まれて亡くなったことで一変する。領地を復興させるにも先立つものがなく、没落を覚悟したそのとき、王家から思わぬ打診を受けた。高すぎる魔力のせいで身体に異常をきたしているカーティス王太子殿下の治療に協力してほしいというものだ。魔力ゼロの自分は役立たずでこのまま穀潰し生活を送るか修道院にでも入るしかない立場。家族と領民を守れるならと申し出を受け、王宮に伺候した私。そして告げられた仕事内容は、カーティス王太子殿下の体内で暴走する魔力をキスを通して吸収する役目だったーーー。_______________

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ

⚪︎
恋愛
 公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。  待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。  ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……

成功条件は、まさかの婚約破棄!?

たぬきち25番
恋愛
「アリエッタ、あなたとの婚約を破棄する……」 王太子のアルベルト殿下は、そう告げた。 王妃教育に懸命に取り組んでいたアリエッタだったが、 それを聞いた彼女は……? ※他サイト様にも公開始めました!