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元カレ side千秋
しおりを挟む今日は休みだったから、朝、奏さんを職場に車で送る。
(ガチャに免許証あったから、運転してみたらあっさり出来た。)
1人で家に帰って、掃除した。
洗濯は朝、奏さんがやってくれてたから、乾いたら取り込んどこうかな。
奏さんの家に1人(と1匹)やっぱり寂しい。
俺の仕事がホテルだから、土日が休みじゃない。
奏さんは土日が基本的にお休み。
休みが合わない。
違う仕事に就けば良かったと後悔する。
もなかと遊びながら、時間を潰す。奏さんが側に居てくれたら、なんにもしてなくても楽しいのにな。
いつもは、夕飯は奏さんの当番だけど、今日は俺が作る。
レシピサイト見ながらだけど、結構いい感じ。
奏さんの就業時間が近づいてきたから、待ち合わせのコンビニに車で向かう。
本当は、職場で堂々と待ってたいけど、奏さんが嫌がった。
コンビニに着いて時間を確認すると、待ち合わせ時間まで後少しある。
俺はコンビニに入って、奏さんの好きなスイーツを物色する。
今日の夕食後のデザートにしようかな~なんて考えながら。
レジで会計をして外に出ようとしたら、コンビニの駐車場に奏さんが入ってきた。
なんか顔が険しいなって思ってたら、後ろから男がついてくる。
…誰だ?そう思ってたら、男が奏さんの腕を掴んだ。
頭に血が昇る。なんで、あの男が
俺の奏さんに触ってるのか、わからない。
咄嗟に、駆け出して男の手を掴んで、奏さんの腕から引き剥がす。
「ちょっと、手ぇ離してくんないかな?
俺以外が奏さんに触れるとか、ありえないんだけど。」
そう言いながら。
男は「なんだよ、君は。俺は奏に話があるんだ、どいてくれ」って言った。
は?奏?何それ。めちゃくちゃムカつく。
「…呼び捨てしないでくれる?マジでムカつくんだけど。」
もう、殴っちゃっていいかな?
「千秋くん、ありがとう。もう帰ろ。その人はもう無視していいから。」
そう言って奏さんが俺を引っ張る。
俺は最後に
「あんたが誰かは知らないけど、奏さんに近づかないで。奏さんは俺のだから。」
と男に言って、奏さんの手を握って車へ急いだ。
さっきの光景が頭にちらついて、何を話したら良いかわからない。
奏さんが、お迎えのお礼を言ってくれてるのに、俺はそれについては答えず、
「……あれ、誰?」
と、ずっとモヤモヤしてる事を聞いた。
業者の人って言うけど、それだけじゃない事は、俺が外に出た時に聞こえたあの男の言葉でわかってた。
「…やり直そうって何?」
結局、誤魔化されたくなくて聞いてしまう。
「昔、ちょっと付き合ってたから。」
そう答えた奏さんは、少し気まずそうにしてる。
…やっぱり。元カレ。…だと思った。
今、口を開くと、色々聞いちゃいそうで。聞きたくないくせに、気になるし、もしかしたら、嫉妬で良くない言葉を口走りそうになるから、家に着くまで俺はその後、喋る事が出来なかった。
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