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病院
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病院に着き、受付へ向かう
「すみません!先程連絡を頂いた、橘 千秋のか…家の者です」
そう受付で話している私に警察官が
「佐久間 奏さんですか?」
と声を掛けてくれた。
「はい。あの…千秋くんは…」
「こちらです。怪我は右手首にヒビが入った程度です。しかし頭を打っているようなので、検査をして念のため1日入院してもらう事になりました」
そう言った警察官に連れられて病室へ入る。
「千秋くん!」
「あ、奏さん。ごめん、心配かけちゃって」
「大丈夫?」
私はベッドに横になっている千秋くんに近づく。
手首にはギブス、頭には包帯を巻いているが、顔色は悪くない。
「相手の方も事故の後、きちんと対応されてましたし、保険会社とも連絡はとってるようです。連絡先は橘さんが知ってますので。
向こうの一時停止無視での事故になりますので、橘さんの過失割合は低いと思います。
また改めて警察に出向いて頂く事になるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。後は、看護師に聞いて下さい。では、私はこれで失礼します」
私を案内してくれた警官にお礼を言って、千秋くんに振り返る。
「びっくりしたけど、無事で良かった。無事…とは言えないかもしれないけど」
「俺も少しボーッとしてたから、気づくの遅れちゃって。見た目は派手だけど、そこまで大した怪我じゃないよ。痛みもほんのちょっとだし」
「でも頭打ってるから、気分が悪いとか吐き気がするとか、少しでもおかしいと思ったら、すぐに言ってね。頭は本当に怖いから」
「うん…わかった。心配かけてごめん」
「千秋くんが悪いんじゃないから、謝らないで。
私、パニックになって何にも持ってきてないの。
1泊だけでも、歯ブラシとか必要な物、ちょっとコンビニで買ってくるね。後、看護師さんと話してくるから」
私は看護師に話を聞いて、必要最低限の物をコンビニで買って再度病室へ向かう。
病院側には事情を説明している為、面会時間は過ぎていたが、許可を貰っていた。
「千秋くん、一応、必要かな?って思える物は買ってきた。喉乾いたりしてない?水も冷蔵庫に入れとくね。」
そう言って、ペットボトルを冷蔵庫に仕舞う。そして、私はベッドの横に椅子を持ってきて座った。
「でも、顔色は悪くなさそうで安心した。こうやって病院のベッドに居る千秋くん見ると、なんか…本当に人間なんだなって思うね」
そう言って私が笑うと
「そうだよ。奏さんが俺を人間にしてくれたの」
千秋くんはそう言うと、少し辛そうな顔をした。
「?具合悪い?大丈夫?」
そう私が聞くと、千秋くんは緩く首を横に振る
「あのね…俺、奏さんに嘘って言うか、ちゃんと言ってない事があって…」
「嘘?」
「う、ん。前にさ、俺帰れないって言ったけど、俺が強く望めば、またガチャの中に戻る事は出来るんだ」
「そうなの?」
そう言えばそんな事言ってたな。
「うん。やっぱりさ、例えその人にとって『理想のオトコ』でも好きになるかどうかは別じゃん。
そんな時はさ、返品って言うか、捨てられちゃってさ。
行くとこなくなった奴が、たまに帰ってきてたんだ」
…確かに、理想と現実は違うけど、そっかそんな事もあるんだね…
「俺、奏さんの側に居たくて、嘘ついちゃったんだ。
それとね、奏さんの理想の『犬みたいな人』っていうアレね。犬みたいに従順っていう事じゃなくて、本当は…」
「『犬がご主人を好きになるような、無償の愛が欲しい』とかでしよ?」
千秋くんの言いかけた言葉の続きを私が言う
「…奏さん、気づいてたの?」
「うん。でも、千秋くんに言われるまでは、本当に忘れてたの。
だってそんな人居るわけないじゃん!って思うぐらいには、男に裏切られてきたからね。
私、自分が恋愛すると、ちょっと重たい女になっちゃう自覚があるからさ。
裏切られて傷つくのが嫌だったんだろうね。だから、そんな風に愛されてみたいって思ってたんだと思う。
まさか今だに自分がそれを理想にしているとは思ってなかったけどね」
私はそう言って笑った。
「俺って奏さんの理想のオトコなんだよね。
だから、俺は盲目的に奏さんの事が好きなんだ。
だけど、出会ってすぐそんな事言われても重いだけでしょ?
だから、従順なワンコみたいな彼氏になるよ!って言っちゃったんだ」
「確かに、重いと言うよりは信じられなかっただろうね。
そんな風に言われても。
でも、なんで?
私とは面識もないのに」
「奏さんがあそこで他のガチャ引いてるの、ずっと見てた。それで、好きになったの。でもあのガチャは必要になった時じゃないと見えるようにならないんだ。
だから、いつも早く気づいて!って願ってた」
私はそんな時から?とびっくりした。
「そうなの?」
「うん。もう何年も片思いしてる」
「びっくり」
「だよね。最近、奏さんも俺と居る事、嫌じゃなさそうにしてくれてると思ってて…凄く嬉しかったんだけど…他の男が…元彼が…奏さんと一緒に居る所みて、不安になったんだ。
もしかしたら他の奴みたいに俺も捨てられて、またガチャに戻らなきゃいけなくなるのかな?って。
でも、俺は奏さんしか好きになれない。
奏さんじゃなきゃダメなのに、ガチャに例え戻っても、もう2度と誰からも選ばれないし、選ばれたくないから。
奏さんの口から『あの人の方が好き』って誰か俺じゃない人を選ばれる言葉を聞きたくなくて、ちょっと奏さんの事、避けたりして…」
やっぱり、避けてたんだな。気のせいじゃなかった。
「私さぁ、誰と付き合っても上手くいかなくて。
男運が悪い~なんて他人のせいにしちゃってたけど、心の何処かで、私は本当は誰にも必要とされてないんじゃないかって思ってたの。
本当は上手くいかないのも自分のせいなんだって思ってて。
だから、一生懸命、相手に合わせるんだけど、それでも上手くいかなくて。
こんな疲れるなら、もう男なんていらない!って思ってたくせにね。
千秋くんとの暮らしが気づいたら手離せなくなってた」
「……奏さん、本当に?」
そう言って千秋くんは起き上がった。
「うん。本当なら、千秋くんの好きなちらし寿司を食べて、ゆっくりしてる時に気持ち伝えちゃおうかなって思ってたんだけど…病室じゃムードでないね」
「奏さんの気持ちって…」
「私ね、千秋くんが好きだよ。出会ってそんな経ってないけど、好き」
「…奏さん……」
千秋くんが泣いてる。そんな喜んでもらえるのか…素直になって良かった。
「さっきね、病院に着いて、自分の事千秋くんの家族って言えない事が悲しかったの。
私って千秋くんにとって何の肩書きもないんだなって。強いていうなら、同居人じゃん?」
「肩書き?」
ベソベソ泣きながら私を見る千秋くんが可愛い。
「そう。肩書き。だからさ、千秋くん、私と結婚しない?」
「?!それって…」
「ウフフ。プロポーズ」
「奏さん。男前過ぎるよ~。それは俺が言う事じゃんかぁ」
とますます泣き出した。
「まぁ、どっちからでもいいじゃん。で、答えは?ここで断られるのカッコ悪いんだけど…」
と言う私に被せ気味に
「YES!YESだよ!絶対にYES!」
そう千秋くんが叫んだ。
「シーッ!病院なんだから静かにしなきゃ。でも、ありがとう」
そう言って私は椅子から立ち上がり、泣いている千秋くんを抱き締めた。
「奏さん…俺の方こそありがとう。でもプロポーズは改めて俺からさせてね」
「うん。楽しみにしとくね。
じゃあ私は帰るよ」
「え?帰っちゃうの?」
「もう、面会時間過ぎちゃってるから。明日、検査で異常なければ帰れるって言われたし、迎えに来るね」
そう言って、私は抱き締めていた腕を離し、病室を出る。
廊下に出る前に振り返ると、泣き笑いの千秋くんの顔が見えた。
「すみません!先程連絡を頂いた、橘 千秋のか…家の者です」
そう受付で話している私に警察官が
「佐久間 奏さんですか?」
と声を掛けてくれた。
「はい。あの…千秋くんは…」
「こちらです。怪我は右手首にヒビが入った程度です。しかし頭を打っているようなので、検査をして念のため1日入院してもらう事になりました」
そう言った警察官に連れられて病室へ入る。
「千秋くん!」
「あ、奏さん。ごめん、心配かけちゃって」
「大丈夫?」
私はベッドに横になっている千秋くんに近づく。
手首にはギブス、頭には包帯を巻いているが、顔色は悪くない。
「相手の方も事故の後、きちんと対応されてましたし、保険会社とも連絡はとってるようです。連絡先は橘さんが知ってますので。
向こうの一時停止無視での事故になりますので、橘さんの過失割合は低いと思います。
また改めて警察に出向いて頂く事になるかもしれませんが、その時はよろしくお願いします。後は、看護師に聞いて下さい。では、私はこれで失礼します」
私を案内してくれた警官にお礼を言って、千秋くんに振り返る。
「びっくりしたけど、無事で良かった。無事…とは言えないかもしれないけど」
「俺も少しボーッとしてたから、気づくの遅れちゃって。見た目は派手だけど、そこまで大した怪我じゃないよ。痛みもほんのちょっとだし」
「でも頭打ってるから、気分が悪いとか吐き気がするとか、少しでもおかしいと思ったら、すぐに言ってね。頭は本当に怖いから」
「うん…わかった。心配かけてごめん」
「千秋くんが悪いんじゃないから、謝らないで。
私、パニックになって何にも持ってきてないの。
1泊だけでも、歯ブラシとか必要な物、ちょっとコンビニで買ってくるね。後、看護師さんと話してくるから」
私は看護師に話を聞いて、必要最低限の物をコンビニで買って再度病室へ向かう。
病院側には事情を説明している為、面会時間は過ぎていたが、許可を貰っていた。
「千秋くん、一応、必要かな?って思える物は買ってきた。喉乾いたりしてない?水も冷蔵庫に入れとくね。」
そう言って、ペットボトルを冷蔵庫に仕舞う。そして、私はベッドの横に椅子を持ってきて座った。
「でも、顔色は悪くなさそうで安心した。こうやって病院のベッドに居る千秋くん見ると、なんか…本当に人間なんだなって思うね」
そう言って私が笑うと
「そうだよ。奏さんが俺を人間にしてくれたの」
千秋くんはそう言うと、少し辛そうな顔をした。
「?具合悪い?大丈夫?」
そう私が聞くと、千秋くんは緩く首を横に振る
「あのね…俺、奏さんに嘘って言うか、ちゃんと言ってない事があって…」
「嘘?」
「う、ん。前にさ、俺帰れないって言ったけど、俺が強く望めば、またガチャの中に戻る事は出来るんだ」
「そうなの?」
そう言えばそんな事言ってたな。
「うん。やっぱりさ、例えその人にとって『理想のオトコ』でも好きになるかどうかは別じゃん。
そんな時はさ、返品って言うか、捨てられちゃってさ。
行くとこなくなった奴が、たまに帰ってきてたんだ」
…確かに、理想と現実は違うけど、そっかそんな事もあるんだね…
「俺、奏さんの側に居たくて、嘘ついちゃったんだ。
それとね、奏さんの理想の『犬みたいな人』っていうアレね。犬みたいに従順っていう事じゃなくて、本当は…」
「『犬がご主人を好きになるような、無償の愛が欲しい』とかでしよ?」
千秋くんの言いかけた言葉の続きを私が言う
「…奏さん、気づいてたの?」
「うん。でも、千秋くんに言われるまでは、本当に忘れてたの。
だってそんな人居るわけないじゃん!って思うぐらいには、男に裏切られてきたからね。
私、自分が恋愛すると、ちょっと重たい女になっちゃう自覚があるからさ。
裏切られて傷つくのが嫌だったんだろうね。だから、そんな風に愛されてみたいって思ってたんだと思う。
まさか今だに自分がそれを理想にしているとは思ってなかったけどね」
私はそう言って笑った。
「俺って奏さんの理想のオトコなんだよね。
だから、俺は盲目的に奏さんの事が好きなんだ。
だけど、出会ってすぐそんな事言われても重いだけでしょ?
だから、従順なワンコみたいな彼氏になるよ!って言っちゃったんだ」
「確かに、重いと言うよりは信じられなかっただろうね。
そんな風に言われても。
でも、なんで?
私とは面識もないのに」
「奏さんがあそこで他のガチャ引いてるの、ずっと見てた。それで、好きになったの。でもあのガチャは必要になった時じゃないと見えるようにならないんだ。
だから、いつも早く気づいて!って願ってた」
私はそんな時から?とびっくりした。
「そうなの?」
「うん。もう何年も片思いしてる」
「びっくり」
「だよね。最近、奏さんも俺と居る事、嫌じゃなさそうにしてくれてると思ってて…凄く嬉しかったんだけど…他の男が…元彼が…奏さんと一緒に居る所みて、不安になったんだ。
もしかしたら他の奴みたいに俺も捨てられて、またガチャに戻らなきゃいけなくなるのかな?って。
でも、俺は奏さんしか好きになれない。
奏さんじゃなきゃダメなのに、ガチャに例え戻っても、もう2度と誰からも選ばれないし、選ばれたくないから。
奏さんの口から『あの人の方が好き』って誰か俺じゃない人を選ばれる言葉を聞きたくなくて、ちょっと奏さんの事、避けたりして…」
やっぱり、避けてたんだな。気のせいじゃなかった。
「私さぁ、誰と付き合っても上手くいかなくて。
男運が悪い~なんて他人のせいにしちゃってたけど、心の何処かで、私は本当は誰にも必要とされてないんじゃないかって思ってたの。
本当は上手くいかないのも自分のせいなんだって思ってて。
だから、一生懸命、相手に合わせるんだけど、それでも上手くいかなくて。
こんな疲れるなら、もう男なんていらない!って思ってたくせにね。
千秋くんとの暮らしが気づいたら手離せなくなってた」
「……奏さん、本当に?」
そう言って千秋くんは起き上がった。
「うん。本当なら、千秋くんの好きなちらし寿司を食べて、ゆっくりしてる時に気持ち伝えちゃおうかなって思ってたんだけど…病室じゃムードでないね」
「奏さんの気持ちって…」
「私ね、千秋くんが好きだよ。出会ってそんな経ってないけど、好き」
「…奏さん……」
千秋くんが泣いてる。そんな喜んでもらえるのか…素直になって良かった。
「さっきね、病院に着いて、自分の事千秋くんの家族って言えない事が悲しかったの。
私って千秋くんにとって何の肩書きもないんだなって。強いていうなら、同居人じゃん?」
「肩書き?」
ベソベソ泣きながら私を見る千秋くんが可愛い。
「そう。肩書き。だからさ、千秋くん、私と結婚しない?」
「?!それって…」
「ウフフ。プロポーズ」
「奏さん。男前過ぎるよ~。それは俺が言う事じゃんかぁ」
とますます泣き出した。
「まぁ、どっちからでもいいじゃん。で、答えは?ここで断られるのカッコ悪いんだけど…」
と言う私に被せ気味に
「YES!YESだよ!絶対にYES!」
そう千秋くんが叫んだ。
「シーッ!病院なんだから静かにしなきゃ。でも、ありがとう」
そう言って私は椅子から立ち上がり、泣いている千秋くんを抱き締めた。
「奏さん…俺の方こそありがとう。でもプロポーズは改めて俺からさせてね」
「うん。楽しみにしとくね。
じゃあ私は帰るよ」
「え?帰っちゃうの?」
「もう、面会時間過ぎちゃってるから。明日、検査で異常なければ帰れるって言われたし、迎えに来るね」
そう言って、私は抱き締めていた腕を離し、病室を出る。
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