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第42話
私はジェシカ王女に駆け寄った。
「ジェ、ジェシカ様、もしや私のネルが何か粗相を……?」
私の言葉に項垂れていた旦那様が顔を上げた。『粗相』という言葉に反応したのかと思いきや、その目は私に助けを求めているようだ。
「ネル?お前ネルっいう名前なの?」
ジェシカ王女は旦那様を高々と自分の頭より上に掲げ、下から顔を覗き込む。
「そ、そうなんです。すみません……この子甘えん坊で、王宮に連れてきているんですけど……ちょっと中庭を散歩させてて……」
こんな所に犬なんて……そう怒られると思ったが、ジェシカ王女は嬉しそうな声で言った。
「お前、甘えん坊なのね?大丈夫よ、私がずっとそばに居てあげるからね」
「え??」
私は王女の言っている意味が分からず、聞き返した。旦那様はジェシカ王女の手から離れたくて、脚をジタバタさせている。
「この子、気に入ったわ!連れて帰るから!」
王女は笑顔でそう言うと、ジタバタしている旦那様をまたもやギュッと抱きしめた。
「そ、それは!ジェシカ様、ネルは私の……」
「ペットだって言うんでしょう?でも私気に入ってしまったんだもの。貴女には他の犬を買ってあげる!だからこの子を譲ってちょうだい」
『私の旦那様です』とは言えず、私はオロオロしてしまう。
「そ、その子はもうあの……家族同然でして」
『家族同然というより家族なんです!』と言えたら良いのだと思うが、相手は隣国の王女。しかも殿下の婚約者候補。失礼があってはいけないので、なんとももどかしい。
「大丈夫!私も家族と同じように大切にするから!それに、うちにもたくさんの動物達がいるの。だからきっとこの子も寂しくないわ」
「へ、へぇ~それは凄いですね。で、でもネルだけは譲るわけにはいかなくて……申し訳ありません」
私は勢い良く頭を下げた。
「えーっ!!それは困るわ。だってもう一目ぼれしてしまったんですもの。この美しい銀色の毛並みが珍しいし。ねぇ、ヴィヴィ、いいでしょう?」
「いえ……あの、その子だけは!その子だけはダメなんです。さ、探してみます!他の銀色の毛並みの子犬を!ですからっ!」
いつもはヘラヘラと笑っているだけの私の真剣な様子に王女は少し面食らっていたが、直ぐに口を尖らせて言った。
「ヴィヴィ……私は王女よ?欲しいものは必ず手に入れるの。でも私、貴女のことも好きだから、猶予をあげる。私は明日の昼に此処を発つわ。それまでに代わりの犬を探せるなら……考えてもいいわよ?」
「明日の昼?」
もうすでに日が傾き始めている。
「そうよ。それまでこの子は私が預かっておくから。じゃあね~」
「ちょ……ま、待ってください!」
そんな私など無視して、ジェシカ王女は旦那様を抱っこしたまま、私に背を向けた。旦那様もジタバタはしているが、相手が王女ということもあり、怪我をさせない程度に手加減しているようだ。王女の肩越しに情けない顔をする旦那様。
「絶対代わりを見つけてくるから!」
私は不安そうな旦那様に向かって大声で叫んだ。
「ジェ、ジェシカ様、もしや私のネルが何か粗相を……?」
私の言葉に項垂れていた旦那様が顔を上げた。『粗相』という言葉に反応したのかと思いきや、その目は私に助けを求めているようだ。
「ネル?お前ネルっいう名前なの?」
ジェシカ王女は旦那様を高々と自分の頭より上に掲げ、下から顔を覗き込む。
「そ、そうなんです。すみません……この子甘えん坊で、王宮に連れてきているんですけど……ちょっと中庭を散歩させてて……」
こんな所に犬なんて……そう怒られると思ったが、ジェシカ王女は嬉しそうな声で言った。
「お前、甘えん坊なのね?大丈夫よ、私がずっとそばに居てあげるからね」
「え??」
私は王女の言っている意味が分からず、聞き返した。旦那様はジェシカ王女の手から離れたくて、脚をジタバタさせている。
「この子、気に入ったわ!連れて帰るから!」
王女は笑顔でそう言うと、ジタバタしている旦那様をまたもやギュッと抱きしめた。
「そ、それは!ジェシカ様、ネルは私の……」
「ペットだって言うんでしょう?でも私気に入ってしまったんだもの。貴女には他の犬を買ってあげる!だからこの子を譲ってちょうだい」
『私の旦那様です』とは言えず、私はオロオロしてしまう。
「そ、その子はもうあの……家族同然でして」
『家族同然というより家族なんです!』と言えたら良いのだと思うが、相手は隣国の王女。しかも殿下の婚約者候補。失礼があってはいけないので、なんとももどかしい。
「大丈夫!私も家族と同じように大切にするから!それに、うちにもたくさんの動物達がいるの。だからきっとこの子も寂しくないわ」
「へ、へぇ~それは凄いですね。で、でもネルだけは譲るわけにはいかなくて……申し訳ありません」
私は勢い良く頭を下げた。
「えーっ!!それは困るわ。だってもう一目ぼれしてしまったんですもの。この美しい銀色の毛並みが珍しいし。ねぇ、ヴィヴィ、いいでしょう?」
「いえ……あの、その子だけは!その子だけはダメなんです。さ、探してみます!他の銀色の毛並みの子犬を!ですからっ!」
いつもはヘラヘラと笑っているだけの私の真剣な様子に王女は少し面食らっていたが、直ぐに口を尖らせて言った。
「ヴィヴィ……私は王女よ?欲しいものは必ず手に入れるの。でも私、貴女のことも好きだから、猶予をあげる。私は明日の昼に此処を発つわ。それまでに代わりの犬を探せるなら……考えてもいいわよ?」
「明日の昼?」
もうすでに日が傾き始めている。
「そうよ。それまでこの子は私が預かっておくから。じゃあね~」
「ちょ……ま、待ってください!」
そんな私など無視して、ジェシカ王女は旦那様を抱っこしたまま、私に背を向けた。旦那様もジタバタはしているが、相手が王女ということもあり、怪我をさせない程度に手加減しているようだ。王女の肩越しに情けない顔をする旦那様。
「絶対代わりを見つけてくるから!」
私は不安そうな旦那様に向かって大声で叫んだ。
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