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第46話
そのクラブは王都の郊外にあった。
立派な門構えには屈強な男の門番が出席者の招待状をくまなくチェックしていた。
「ここはセキュリティがしっかりしてるの。選ばれた人しか入れないのよ?」
アリシア様のデコルテを大きく出した薄い水色のドレスの裾が風でふわりと浮いた。いつもは少女の様なアリシア様だが、今日は少し大人びた装いだ……まぁ、元々大人なんだけど。
「そんな場に私などが参加させていただいて良かったのでしょうか?場違いな気が……」
「大丈夫。会員の私が招待したんですもの、貴女も入れるわ。それにここにはあまり身分は関係ないの」
「はあ……」
ここに入りたいわけじゃないのだけれど……。そう言いたいのをグッと我慢する。アリシア様の面子を潰すわけにもいかない。それにしてもあの差別主義者のマドリー夫人が身分に拘らないなんて……信じ難い。
物々しいチェックの後、私達はその屋敷の扉の前に来た。入ると受付らしき所に黒いタキシードの美丈夫な男性が立っている。
「お待ち申しておりました。お帰りなさいマダム」
その男性はアリシア様にそう挨拶すると、次に私の前に紙とペンを差し出した。
「これは……?」
誓約書と書かれた文字が目に飛び込んでくる。
「ここで見たもの聞いたことは一切他言無用。ドロレス様のお決めになった規則でございますので」
ドロレス·マドリー。このクラブの主催者。
横からアリシア様が言葉を添える。
「ほら、旦那様の愚痴とか、他人の陰口とか……この場限りの方が良いでしょう?ここなら安心してストレス発散出来るっていうわけなの」
別にレニー様の愚痴を言うつもりも、他人の悪口を言うつもりもない。
「誓約書まで……?」
大袈裟だと思われる対応に私は嫌な予感にも似た感情を抱いた。
「これは皆に心から楽しんで貰うためのドロレス様の心遣いよ。他人の目を気にせず息抜き出来る場が私達には必要なの。ね?そう思わない?」
『私達』と一括りにされたくない。私がペンを取ることも躊躇っていると、それに苛ついたようなアリシア様がペンをひったくるように男性から奪った。そして、その誓約書にサラサラっと私の名をサインする。
「え?」
私が驚いて何も言えずにいると、その男性から二つのマスクが手渡される。仮面舞踏会などで着ける目元を覆うアレだ。
「はい」
アリシア様は何の説明もなく、私にそれを渡すと、自分は躊躇いなくそのマスクを着けた。
私がその全てに戸惑っていると、アリシア様が扉の前で振り返る。
「ほら、さっさと着けて!それから、ここから一歩でも中に入ったら、私のことは『アリー』って呼んで。間違ってもアリシアなんて呼ばないでね」
「え?は?アリー?」
「そうよ。貴女のことは……そうねぇ、デビィとでも呼ぶわ」
「な?デビィ?」
もう話の内容が全く掴めず、私がモタモタしているうちに、その扉は開かれた。
立派な門構えには屈強な男の門番が出席者の招待状をくまなくチェックしていた。
「ここはセキュリティがしっかりしてるの。選ばれた人しか入れないのよ?」
アリシア様のデコルテを大きく出した薄い水色のドレスの裾が風でふわりと浮いた。いつもは少女の様なアリシア様だが、今日は少し大人びた装いだ……まぁ、元々大人なんだけど。
「そんな場に私などが参加させていただいて良かったのでしょうか?場違いな気が……」
「大丈夫。会員の私が招待したんですもの、貴女も入れるわ。それにここにはあまり身分は関係ないの」
「はあ……」
ここに入りたいわけじゃないのだけれど……。そう言いたいのをグッと我慢する。アリシア様の面子を潰すわけにもいかない。それにしてもあの差別主義者のマドリー夫人が身分に拘らないなんて……信じ難い。
物々しいチェックの後、私達はその屋敷の扉の前に来た。入ると受付らしき所に黒いタキシードの美丈夫な男性が立っている。
「お待ち申しておりました。お帰りなさいマダム」
その男性はアリシア様にそう挨拶すると、次に私の前に紙とペンを差し出した。
「これは……?」
誓約書と書かれた文字が目に飛び込んでくる。
「ここで見たもの聞いたことは一切他言無用。ドロレス様のお決めになった規則でございますので」
ドロレス·マドリー。このクラブの主催者。
横からアリシア様が言葉を添える。
「ほら、旦那様の愚痴とか、他人の陰口とか……この場限りの方が良いでしょう?ここなら安心してストレス発散出来るっていうわけなの」
別にレニー様の愚痴を言うつもりも、他人の悪口を言うつもりもない。
「誓約書まで……?」
大袈裟だと思われる対応に私は嫌な予感にも似た感情を抱いた。
「これは皆に心から楽しんで貰うためのドロレス様の心遣いよ。他人の目を気にせず息抜き出来る場が私達には必要なの。ね?そう思わない?」
『私達』と一括りにされたくない。私がペンを取ることも躊躇っていると、それに苛ついたようなアリシア様がペンをひったくるように男性から奪った。そして、その誓約書にサラサラっと私の名をサインする。
「え?」
私が驚いて何も言えずにいると、その男性から二つのマスクが手渡される。仮面舞踏会などで着ける目元を覆うアレだ。
「はい」
アリシア様は何の説明もなく、私にそれを渡すと、自分は躊躇いなくそのマスクを着けた。
私がその全てに戸惑っていると、アリシア様が扉の前で振り返る。
「ほら、さっさと着けて!それから、ここから一歩でも中に入ったら、私のことは『アリー』って呼んで。間違ってもアリシアなんて呼ばないでね」
「え?は?アリー?」
「そうよ。貴女のことは……そうねぇ、デビィとでも呼ぶわ」
「な?デビィ?」
もう話の内容が全く掴めず、私がモタモタしているうちに、その扉は開かれた。
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