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第55話
「レオ?ああ……レオナルドのことか」
私はあのクラブに来ていた。あれから二日が過ぎていたが、レオにハンカチを返すためだ。
まだ昼過ぎ、営業時間ではないだろうが、従業員は既に来ているだろうとの判断だった。
前回来た時に居た、屈強そうな門番が私の問いに答える。
「ちょっと待っててください」
門番は屋敷の方へと小走りで駆けていった。少しして戻ってくると、申し訳なさそうに私に言う。
「すみません。今日は休みみたいっすね」
「そう……じゃあ── 」
私が綺麗に包んだハンカチを預けようとした時、後ろからまた一人、男性が現れて言った。料理人だろうか、彼はエプロンを着けている。
「妹さんの具合が悪いみたいで、急遽休むって連絡が」
すると私に対応してくれていた門番の男性が振り返って言った。
「妹と二人暮らしって言ってたな。金が無いって言ってたけど、大丈夫かぁ?」
それを聞いて不安になる。つい無意識に私は尋ねていた。
「あ、あのっ!すみません、レオの家って分かります?」
すると、門番と後から来た男性が顔を見合わせて困った表情になった。
「どうする?」
「客にクラブ外で男と会わせるのは……」
なるほど。私が無料でここで働く男性と接触しようとしていると思われたのか……。
「無理ならやはりこれを渡していただくだけで……」
私も出しゃばり過ぎだと反省する。ハンカチを渡して大人しく帰ろう……そう思ったのだが、門番達は私にレオの住んでいる場所をサラリと言った。
「え……?」
「あいつはボーイだし……まぁ、別に大丈夫っすよ」
門番はそう言って鼻を擦った。
「そう……?でも貴方達が罰せられたりしない?」
「あぁ、大丈夫ですよ。ヒーラー達の住処を教えたら大目玉でしょうけど。たまに居るんですよ。プライベートでもヒーラー達に会いたがるご婦人が。それはトラブルの元なんでね」
フリオはここにいる男性なら誰でも指名して良いと言っていたが……現実としてヒーラー以外の男性と懇意になる女性は居ないようだ。
「貴方達も大変なのね」
私がそう言うと彼らは少し困ったように笑った。
「まぁ……。ここで働いてるとたまに『女って怖いな』って思ったりしますよ」
「……そうかもしれないわね」
この場で知り合った男性を本気で好きになる人もいるのかもしれない。
「じゃ、あいつに会ったら言っといてください。妹が良くなるまでゆっくり休んでいいって」
「会えたら、伝えておくわ」
そう言って私は馬車へと戻った。
御者に場所を伝えると、少し困惑したように私に言った。
「ここからそう離れてないみたいですが、そこら辺に馬車を停めておく場所があるか……」
「なら、近くまで。停められる場所がある所で良いわ。そこで待ってて貰える?」
「畏まりました」
私は馬車に乗り込む。窓の外を移ろう景色は段々と平民達が住む街へと変わっていった。
私はあのクラブに来ていた。あれから二日が過ぎていたが、レオにハンカチを返すためだ。
まだ昼過ぎ、営業時間ではないだろうが、従業員は既に来ているだろうとの判断だった。
前回来た時に居た、屈強そうな門番が私の問いに答える。
「ちょっと待っててください」
門番は屋敷の方へと小走りで駆けていった。少しして戻ってくると、申し訳なさそうに私に言う。
「すみません。今日は休みみたいっすね」
「そう……じゃあ── 」
私が綺麗に包んだハンカチを預けようとした時、後ろからまた一人、男性が現れて言った。料理人だろうか、彼はエプロンを着けている。
「妹さんの具合が悪いみたいで、急遽休むって連絡が」
すると私に対応してくれていた門番の男性が振り返って言った。
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それを聞いて不安になる。つい無意識に私は尋ねていた。
「あ、あのっ!すみません、レオの家って分かります?」
すると、門番と後から来た男性が顔を見合わせて困った表情になった。
「どうする?」
「客にクラブ外で男と会わせるのは……」
なるほど。私が無料でここで働く男性と接触しようとしていると思われたのか……。
「無理ならやはりこれを渡していただくだけで……」
私も出しゃばり過ぎだと反省する。ハンカチを渡して大人しく帰ろう……そう思ったのだが、門番達は私にレオの住んでいる場所をサラリと言った。
「え……?」
「あいつはボーイだし……まぁ、別に大丈夫っすよ」
門番はそう言って鼻を擦った。
「そう……?でも貴方達が罰せられたりしない?」
「あぁ、大丈夫ですよ。ヒーラー達の住処を教えたら大目玉でしょうけど。たまに居るんですよ。プライベートでもヒーラー達に会いたがるご婦人が。それはトラブルの元なんでね」
フリオはここにいる男性なら誰でも指名して良いと言っていたが……現実としてヒーラー以外の男性と懇意になる女性は居ないようだ。
「貴方達も大変なのね」
私がそう言うと彼らは少し困ったように笑った。
「まぁ……。ここで働いてるとたまに『女って怖いな』って思ったりしますよ」
「……そうかもしれないわね」
この場で知り合った男性を本気で好きになる人もいるのかもしれない。
「じゃ、あいつに会ったら言っといてください。妹が良くなるまでゆっくり休んでいいって」
「会えたら、伝えておくわ」
そう言って私は馬車へと戻った。
御者に場所を伝えると、少し困惑したように私に言った。
「ここからそう離れてないみたいですが、そこら辺に馬車を停めておく場所があるか……」
「なら、近くまで。停められる場所がある所で良いわ。そこで待ってて貰える?」
「畏まりました」
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