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第77話
「レニー!」
そう言って足早に手を振りながら私達に近付く人物……アリシア様だ。
アリシア様に私は微笑みながら会釈をした……が、彼女は私など目にも入っていないかのように前を通り過ぎた。……うん、分かってた。
「アリシア。……兄さんは?」
確かに、アリシア様は誰のエスコートもなく、ここまで来た。入場の時にはクラッド様と一緒だった筈だが。
「クラッドなら、あそこよ」
少し不機嫌そうに答えたアリシア様の視線の先には宰相と話すクラッド様の姿があった。
「もうクラッドは仕事に戻ったの」
「元々兄さんは仕事があるから夜会に参加しないと言っていたはずだけど……」
レニー様はクラッド様の姿から目をそらさずに、そう首を傾げた。
「王宮の夜会……しかも殿下の婚約者のお披露目でしょう?一人で出席しろと言われていたけど、せめて入場ぐらいエスコートしてよって頼んだの」
「アリシア……君も欠席するって言ってなかったか?」
私は二人の会話を微笑みながら見守るだけだ。ここで口を挟むのも野暮というものだ。……かと言って離れるのも周りから何と思われるか……うーん……難しい。
「レニーが出席するって言ってたから。レニーと一緒なら寂しくないもの。……ねぇ、私と踊りましょう?」
アリシア様はレニー様の腕を引っ張るようにして上目遣いで甘える。
「いや……僕は……」
チラリと私を見るレニー様。あら……私の存在を思い出してくれたのかしら?
アリシア様がレニー様の視線を追って私の方に顔を向けた。
「デボラさんもダメとは言わないわよね?だって私達は家族ですもの」
アリシア様がコテンと首を傾げて私に『はい』と言えとプレッシャーをかける。
「いや……僕は一曲しか踊れないし……」
すると、丁度そのタイミングで、レニー様が唯一踊れる曲が流れ始めた。
「レニー!この曲なら踊れるでしょう?」
「だ、だが……」
レニー様が私の方にチラチラと視線を送る。
あぁ、私に気を遣ってくれているのか。だがしかし!レニー様が愛する人と躍るチャンスを私が潰すわけにはいかない。
「どうぞ、踊ってらして?私はこちらで少し休憩しておきますわ」
私は自分の後方に置かれている長椅子を指した。
「ほら!デボラさんもこう言ってるし」
「デ、デボラ……」
レニー様は少し不安そうな顔を私に向ける。対してアリシア様はグイグイとレニー様の腕を引っ張っていた。
あ!レニー様は私としかダンスの練習をしていないから、アリシア様と躍るのが不安なのね!
好きな人に格好悪いところを見せたくないという気持ちだろう。私は声に出さずに口の形だけで『大丈夫ですよ!頑張って!』と励ました。
レニー様は何故か絶望したような表情を浮かべながらもアリシア様に引っ張られながら、フロアへと繰り出した。
そんな心配しなくても、レニー様は上手に踊れるのに。まだ私の方を見ていたレニー様に私は『頑張って』の意味を込めて小さくガッツポーズをしてみせた。
そう言って足早に手を振りながら私達に近付く人物……アリシア様だ。
アリシア様に私は微笑みながら会釈をした……が、彼女は私など目にも入っていないかのように前を通り過ぎた。……うん、分かってた。
「アリシア。……兄さんは?」
確かに、アリシア様は誰のエスコートもなく、ここまで来た。入場の時にはクラッド様と一緒だった筈だが。
「クラッドなら、あそこよ」
少し不機嫌そうに答えたアリシア様の視線の先には宰相と話すクラッド様の姿があった。
「もうクラッドは仕事に戻ったの」
「元々兄さんは仕事があるから夜会に参加しないと言っていたはずだけど……」
レニー様はクラッド様の姿から目をそらさずに、そう首を傾げた。
「王宮の夜会……しかも殿下の婚約者のお披露目でしょう?一人で出席しろと言われていたけど、せめて入場ぐらいエスコートしてよって頼んだの」
「アリシア……君も欠席するって言ってなかったか?」
私は二人の会話を微笑みながら見守るだけだ。ここで口を挟むのも野暮というものだ。……かと言って離れるのも周りから何と思われるか……うーん……難しい。
「レニーが出席するって言ってたから。レニーと一緒なら寂しくないもの。……ねぇ、私と踊りましょう?」
アリシア様はレニー様の腕を引っ張るようにして上目遣いで甘える。
「いや……僕は……」
チラリと私を見るレニー様。あら……私の存在を思い出してくれたのかしら?
アリシア様がレニー様の視線を追って私の方に顔を向けた。
「デボラさんもダメとは言わないわよね?だって私達は家族ですもの」
アリシア様がコテンと首を傾げて私に『はい』と言えとプレッシャーをかける。
「いや……僕は一曲しか踊れないし……」
すると、丁度そのタイミングで、レニー様が唯一踊れる曲が流れ始めた。
「レニー!この曲なら踊れるでしょう?」
「だ、だが……」
レニー様が私の方にチラチラと視線を送る。
あぁ、私に気を遣ってくれているのか。だがしかし!レニー様が愛する人と躍るチャンスを私が潰すわけにはいかない。
「どうぞ、踊ってらして?私はこちらで少し休憩しておきますわ」
私は自分の後方に置かれている長椅子を指した。
「ほら!デボラさんもこう言ってるし」
「デ、デボラ……」
レニー様は少し不安そうな顔を私に向ける。対してアリシア様はグイグイとレニー様の腕を引っ張っていた。
あ!レニー様は私としかダンスの練習をしていないから、アリシア様と躍るのが不安なのね!
好きな人に格好悪いところを見せたくないという気持ちだろう。私は声に出さずに口の形だけで『大丈夫ですよ!頑張って!』と励ました。
レニー様は何故か絶望したような表情を浮かべながらもアリシア様に引っ張られながら、フロアへと繰り出した。
そんな心配しなくても、レニー様は上手に踊れるのに。まだ私の方を見ていたレニー様に私は『頑張って』の意味を込めて小さくガッツポーズをしてみせた。
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