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第79話 Sideレニー
ドンッ!
「ちょっ!」
立ち尽くしている僕に、ターンしてきたご婦人がぶつかり、不快そうな顔をして僕を睨む。
「レニー!ボーッとしないで!危ないわ」
アリシアの声に我に返った僕は彼女の両腕をガシリと掴む。
「ど、どういうことだ!?」
「ちょっと!痛いわレニー!」
周りは僕らをチラチラと横目で見ながら避けるように踊っている。その場で揉める僕とアリシアは、皆が躍るフロアの中で極めて異質な存在だった。
そこに誰かが近付く足音が聞こえる。
「レニー、どうした?何かあったのか?」
僕の肩に手を置いたのは兄さんだった。
「いや……」
「とにかく、突っ立っていては邪魔になる。こっちへ」
僕は兄さんに腕を引っ張られ、フロアから連れ出される。そのまま兄さんは僕を連れ立って会場の入り口を出た。
されるがまま、兄さんに連れられて廊下を歩く。会場の音楽が遠ざかる。程なくして兄さんは歩みを止めた。
「どうした?」
僕に向き直った兄さんは心配そうに尋ねた。
「いや……ちょっと」
デボラが浮気……?まだ頭が混乱している。アリシアに詳しく話を聞きたい。
そういえばアリシアはどこだ?
僕がアリシアの姿を探してキョロキョロしていると、慌てた様子で会場の方からデボラがやって来た。
「レニー様、どうされました?」
彼女は心配そうな顔で尋ねる。僕はその様子についカッとなってしまった。
「どうしたも、こうしたもない!帰るぞ!」
僕はデボラの細い手首を掴む。勢いが良すぎたのか、彼女は少し痛そうに顔を顰めた。
「レニー、落ち着け!」
兄さんの言葉に「ごめん」と小さく呟いて、僕は少しだけ力を緩めた。
しかし、冷静になることは出来そうにない。
だが、王宮の廊下で揉めるなんてのが良くないことぐらいは辛うじて判断出来る。
「帰ろう」
僕はデボラの手を引く。彼女はバランスを崩しながらも、僕に心配そうな表情をみせた。
兄さんに背を向け、デボラの手を握ったまま、廊下を大股で歩き始めた。
「おい!レニー!」
兄さんの声に振り返ることもない。
「レニー様?どうしたのですか?」
僕に半ば強引に歩かされている彼女は、戸惑っているようだ。声色でわかる。しかし、僕はデボラを気遣うことも出来ず、ズンズンと大股で歩き続けた。
早く二人になって、真実を突き止めたい。その気持ちとは裏腹に、彼女の口から語られる全てに耳を塞ぎたくなる思いが心をじわじわと侵食していた。
デボラの問いに答えぬまま、馬車留まりまで無言で歩き続けた。彼女もそれ以上、僕に何も聞かない。
「旦那様?もうお帰りで?」
馬車で待機していたうちの御者が目を丸くした。
「帰る」
僕はそう一言だけ言うと、馬車の扉を開きデボラを強引に馬車に乗せた。
「ちょっ!」
立ち尽くしている僕に、ターンしてきたご婦人がぶつかり、不快そうな顔をして僕を睨む。
「レニー!ボーッとしないで!危ないわ」
アリシアの声に我に返った僕は彼女の両腕をガシリと掴む。
「ど、どういうことだ!?」
「ちょっと!痛いわレニー!」
周りは僕らをチラチラと横目で見ながら避けるように踊っている。その場で揉める僕とアリシアは、皆が躍るフロアの中で極めて異質な存在だった。
そこに誰かが近付く足音が聞こえる。
「レニー、どうした?何かあったのか?」
僕の肩に手を置いたのは兄さんだった。
「いや……」
「とにかく、突っ立っていては邪魔になる。こっちへ」
僕は兄さんに腕を引っ張られ、フロアから連れ出される。そのまま兄さんは僕を連れ立って会場の入り口を出た。
されるがまま、兄さんに連れられて廊下を歩く。会場の音楽が遠ざかる。程なくして兄さんは歩みを止めた。
「どうした?」
僕に向き直った兄さんは心配そうに尋ねた。
「いや……ちょっと」
デボラが浮気……?まだ頭が混乱している。アリシアに詳しく話を聞きたい。
そういえばアリシアはどこだ?
僕がアリシアの姿を探してキョロキョロしていると、慌てた様子で会場の方からデボラがやって来た。
「レニー様、どうされました?」
彼女は心配そうな顔で尋ねる。僕はその様子についカッとなってしまった。
「どうしたも、こうしたもない!帰るぞ!」
僕はデボラの細い手首を掴む。勢いが良すぎたのか、彼女は少し痛そうに顔を顰めた。
「レニー、落ち着け!」
兄さんの言葉に「ごめん」と小さく呟いて、僕は少しだけ力を緩めた。
しかし、冷静になることは出来そうにない。
だが、王宮の廊下で揉めるなんてのが良くないことぐらいは辛うじて判断出来る。
「帰ろう」
僕はデボラの手を引く。彼女はバランスを崩しながらも、僕に心配そうな表情をみせた。
兄さんに背を向け、デボラの手を握ったまま、廊下を大股で歩き始めた。
「おい!レニー!」
兄さんの声に振り返ることもない。
「レニー様?どうしたのですか?」
僕に半ば強引に歩かされている彼女は、戸惑っているようだ。声色でわかる。しかし、僕はデボラを気遣うことも出来ず、ズンズンと大股で歩き続けた。
早く二人になって、真実を突き止めたい。その気持ちとは裏腹に、彼女の口から語られる全てに耳を塞ぎたくなる思いが心をじわじわと侵食していた。
デボラの問いに答えぬまま、馬車留まりまで無言で歩き続けた。彼女もそれ以上、僕に何も聞かない。
「旦那様?もうお帰りで?」
馬車で待機していたうちの御者が目を丸くした。
「帰る」
僕はそう一言だけ言うと、馬車の扉を開きデボラを強引に馬車に乗せた。
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