愛人を作ってもいいと言ったその口で夫は私に愛を乞う

初瀬 叶

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第131話

店内は九割方出来ていた。

「あとは食器が届くのを待っています」

私に報告しているその間も、色々と届き続ける荷物をレオナはテキパキと片付けていた。すっかりここの主らしい彼女に安心感を覚えた。

「シルビアは?」
私がレオナに問いかけたちょうどその時、二階から子ども用のエプロンを着けたシルビアが降りてきた。

「お姉ちゃん、お部屋のカーテンなんだけど── 」

店と部屋とをつなぐ階段を降りきったシルビアはサボンドアを勢い良く手で押しながら店に入って来た。
彼女は私の姿を認めると、一気に満面の笑みを浮かべた。

「デボラ様!」

その笑顔がレオナにそっくりで微笑ましい。
彼女は私に走り寄って飛び込むように抱きついた。

「こら!シルビア!デボラ様に失礼なことを── !」

慌ててシルビアを引き離そうとするレオナを、私はやんわりと手で制して頷いた。

「シルビア、このお家は気に入った?」

私に抱きついたシルビアの頭をゆっくりと撫でると、彼女は抱きついたまま私を見上げてニッコリと笑った。

「すっごく素敵!デボラ様ありがとう!」

「気に入ってくれて良かったわ。シルビアもエプロンを着けて……レオナのお手伝い?」

「うん!あ!でもカーテンを付けようとしたんだけど、椅子に乗っても背が届かなくて……」

シルビアがそう言いながら、レオナを振り返った。レオナはワンピースを綺麗に畳みながらシルビアに優しく言う。

「カーテンは後で私が取り付けるから、シルビアは休憩していいよ」

そこで、私は大切なことを思い出す。

「あぁ!そうだった!料理長がドライフルーツを入れたケーキを焼いてくれたの。レオナ、貴女も休憩にして、お茶にしましょう」

私の言葉にシルビアは溢れんばかりの笑顔だ。

「ケーキ?」
私を見つめる瞳はキラキラと輝いていて、私もつられて笑みが溢れた。

(子どもって可愛いのね……。レニー様の子どもなら男の子でも女の子でもきっとめちゃくちゃ可愛いわ)

無意識にそう考えて、私はハッとした。ごく自然に私達の子どものことを考えていた自分に驚いてしまう。
そんな自分に気付いて、私は思わず頬を赤く染める。

固まった私を見て、シルビアが「デボラ様?」と名を呼ぶまで、私は自分の変化に戸惑っていた。

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