異世界転生~魔法がない星に私は“中身だけ”転生する~

アネモネ

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第1章 森から王都へ

7.少年エルド・ライド

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「ちょ、痛いって!」


腕を捕まれながらやって来たのは何処か町外れた小さな小屋だった。
痛いと何度も言うがここに来るまで離してはくれなかった。


「自分が深豊の森の中にいたと言うことは内密にしろ。」

「は?なんでだ?」


ふざけていっているような顔ではなく真剣な目で私を見つめてきた。
さっきまで話していたことが何か気に触ったのだろうか。
エルドが掴んでいた手がゆっくりと力を無くした。
それと同時に私は手を離す。


「あの森は今もなお調査中だ。もし、お前があの森で倒れていたと聞いたら町全体がお前に対していろんな質問を掛けてくることになる。そしたら、お前は何も見てない、聞いてもいないのに嘘偽りの言葉で住人達を混乱に導くのか?」


彼が言っていることはすぐに分かった。
そして、私が今何をしてきたのか恐れいいっていた。

「ごめん…」


もし、彼が止めなければあの老人にこう言っていただろう。

『俺が…私が見つけ出すから安心して』

と。なんの根拠もなく言ってしまったら町や女性は鵜呑みにし色々言ってくるだろうと。

「もっと考えて行動しろ。」


小さくため息をする彼に私は今思っていることをそのまま言った。


「エルド・ライド。もし、まだ確信があるなら深豊の森の奥に入って住人を助けたい。だから、力を貸して欲しい。」


始めてあった、しかも監視役になぜ助けて欲しいと願うのか。
それは、私がまだ弱いから。
戦ったことがないから力を貸して欲しいのだ。


「…ライドだ。監視役に着いたのだから当然お前がやることに着いていく。」


私は嬉しく頷きそして抱きついた。

「ありがとう、ライド!!」

「なっ、は、離せっ!」


慌てた声が右横に響いた。
動揺して胸の鼓動が高くなるライド。

「あ、ごめん」


つい、孤児の子供達に抱き付いていた癖が躊躇なくやってしまった。
というより男に抱きつかれたら気持ち悪いに決まっているが。
一旦離れて謝る。


「ふん、ほら色々準備しなくちゃいけないんじゃないのか?」

「あ、そうだった。」


深豊の森についてはあとで城から出た時にエルドに聞いてみよう。

「行きたい場所はあるか?」

「俺、お金持ってないからさ。物が売れる道具屋とかないか?」

「道具屋?お金持っていないのか。分かった、着いてこい。」


「おー!ありがとう」


こっちだとある小道へと二人で足を歩かせた。
その道は賑やかな商店街とは裏腹にどんよりとした暗い空気のある道だった。

「暗くて鉄のような臭いがするんだけど…こっちって何なの?」


不良みたいな数人と餓死しそうな人達が何人かたむろっていた。

痩せ細った子供が私に近づいてきた。


「あの…食べ物をください。何でもいいんです…食べ物を…。」

食べ物を恵んでくださいと体が痩せ細った小さな子供が手を私に伸ばしてくる。

何処かのハーフエルフだろうか。
弱りきった獣人であまり動けなさそうだ。

それを、エルドが尽かさず制す。

「すまないが今は持ち合わせがないんだ。」

「食べ物を…」


エルドはすまないと悲しそうな顔でその子供の頭を撫でた。

私は何も言えない。
何も渡せない。お金も…食料も。
あるのは何も分からない素材だけ…。


「そうだ!エルド、少しここで待っててくれる?」

「…構わないが、迷うなよ?」

「迷うわけないだろ。」


私はそこから離れ人から見られない家の間に来た。

「確か、適当にむしってきてはいないから食べ物みたいな木の実はあるはず…。“アイテムボックス”!!」


ピコーンと耳に響く音ともに小さな音をたて小箱が現れた。

「んーっと…あ、これだ!」


【蜜柑】食材ランク:4
料理や果物生産。甘さは控えめだが甘味としては中級として売り物とされている。
主に小腹が空いたときの食用とされる。
場所:???


ランクは4で場所は不明とされているのに私は何故か手元にあるのが不思議なくらいだった。
と言うより秘密にされているのだろう。

しかも4と言うことはランク1、2より美味しい筈だ。
間違いない。

それにお金を作るより先に困っている人を助けろというのが現世の私なのでそれは変わらない。

アイテムボックスを消してエルドと子供がいる所へ走ってきた。
エルドが子供の頭を無言で撫でている所を目撃したが、私がいることに気がついて手を離してしまう。


「ごほん…遅い。何をしてた。」


と言いながら子供に頭を撫でてたのは何なのかなぁ?
にやにやと笑いながら側へ行った。
子供はおどおどしエルドと私を見た。

「ごめん、これを鞄に入れてたの忘れていてさ。」

「鞄に入れているならここで出せばいい…だろう…っ!お前、これ何処で見つけた?」


私が見せた蜜柑にエルドは驚いて声をあげた。
それをみた小さな獣人の子供も驚いた顔をしていた。

「ん?そりゃ、エルドが知ってる森だろ?」


普通に見つけたぞと笑いながら子供に渡そうとする。
が、子供は慌てた顔で頭を振った。

「そ、そんなの貰えないよ!」


恐怖と言うより困惑な顔で私を見る獣人。
この蜜柑は相当な価値があるのだろうか?

「え?なんで、二人して真っ青なの?」

「なんで、お前は平気なんだ。いや、記憶がないから価値も忘れているんだな。」


エルドは、はぁっとため息をついた。

「後で説明してやるから、それはしまえ。」

蜜柑を指差しながらエルドは言う。
が、私は頭を振った。


「これは君に渡すために持ってきたんだ。これを食べれば一応、少しは腹が膨れるだろ?」

「なっ、お前は何を言っているのか分かってるのか?」

「分からない。知らないし。だけど、困っている人がいたら俺は助ける。それが俺の流儀だ。」


まぁ、そう言う性格なのでしょうがないんだけどね。

「はぁ…分かった。だけど、はっきり言っとく。お前がしていることは王族や貴族にたてついていることだ。」

「大袈裟過ぎる。大体、果物は愛されるような美味しさだろ?なんで目上にたてついているように見えるんだよ。」


意味が分からないと私は小さくため息をした。
まさかとは思うがこの世界、食材や果物にも争奪戦みたくランクがあってランクの高さに比例して食べれる物が違うのか?

そう言えば、賑わっていた商店街ではあまり果物や野菜が売られていなかった。というより、新鮮じゃなくて虫食いされたものばかりが売られていた気がする。

「…お前みたいなやつがこの国にいたらもっと穏やかになっていたのにな。」

え?本当に大袈裟過ぎる。

「いや、意味分かんない。」

「分からなくていいんだよ。それよりも、ほら、それそいつに渡すんだろ?早くしろ。」

「せっかちだなぁ。ハイハイわかりましたよーっと…」


獣人の方を見てその子供の手に蜜柑を3つ渡した。

「本当に良いの?」


「いいのいいの。少ないけどしっかり食べて元気になりな」


ぱぁぁっと笑顔が明るくなりにっこりと笑った。

「ありがとう、お兄ちゃん!」

嬉しそうに手を振りながら走っていく子供を見て私はほんわかぁっと安心していた。

だけど、子供が走っていったあと一瞬だけどエルドの顔から笑顔ではなく悲しみな表情をしていた。


「どうしたんだ?」


「…。お前にはちゃんとこの世界のルールを話した方がいいな。」


そう言い歩き始めるエルドに私は着いていった。
その横顔は真剣で今から話すことは重大なことだと察した。
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