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第一部。オリム、恋人に浮気された腹いせに男娼を買う(後編)
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かつての同僚、現役騎士であるライネルが自慢気に話してきた。
「オリムが恋人ヴァイオレットを満足させていない」と。
横恋慕したライネルもヴァイオレットに夢中のようだったけど、
ヴァイオレットをよく知るクロノスには、
本命はオリムで、ライネルのほうが遊ばれているのだとわかっていた。
とはいえ、ヴァイオレットはオリムを裏切っている。
オリムを傷つける存在は許さない。
有休をとって逢瀬を重ねるライネルの日程に合わせて、
オリムをはやく帰してもらえるように、クロノスは王子に頼んだ。
それからその日はクロノス自身も仕事をはやく終わらせてオリムの後を追った。
傷ついたオリムに付け入ろうと思ったわけじゃない。
そんな下心が0だったかと問われると、そうとは言いきれないけれど、
こんな醜い自分が選ばれることはないだろう。
ただ、傷つくオリムをひとりになんかさせたくなかった。深酒でもなんでも付き合おうと思っていた。
オリムの家に向かう途中のクロノスを、場所のせいか、男娼と勘違いしたオリムに、そのまま話を合わせることにした。
顔も覚えてもらえていないことはショックだったが、
憧れのオリムに「買う」と言われたことが舞い上がるほど嬉しかった。
傷ついてしょぼんとしたオリムは可愛らしかった。
名前をきくと、男娼相手に本名を言うし、
高めにふっかけてみても、さらに倍額払ってきた。
高給取りのくせに遊び慣れていないということがよくわかって、そんなところも堪らなく可愛いくて愛しいと思った。
身体を重ねると、オリムとの相性は信じられないほど良かった。
欲が湧いた。恋人の浮気で傷ついたオリムを慰めて、
身体から落として自分のものにしたい。
ただひとつ、気がかりはオリムの恋人、クロノスのよく知る幼なじみのヴァイオレットのことだ。
あいつは本来タチだ。あいつが尻を差し出すなんて、簡単には信じられないことだった。
今のように大きく成長する前、クロノスもヴァイオレットも、女のように華奢で儚い外見だったから、女役にみられることが度々あった。だけどふたりともそういう目で見られることを激しく嫌悪していた。
だからあいつがオリムと付き合うために、初心なふりまでして、突っ込まれる側をやっているようだと聞いた時には、耳を疑った。
どんだけネコかぶるんだよ。よっぽどオリムと付き合いたかったに違いない。だからこそ不満がたまってライネルを組み伏せて発散しているんだろう。
オリムの理想になろうと努力して、ヴァイオレットは選択を間違えた。
でもクロノスには、ヴァイオレットがオリムを好きな気持ちがよくわかる。彼がオリムにどれだけ憧れているかも。だから簡単には諦めないだろうことも。
「オリムが恋人ヴァイオレットを満足させていない」と。
横恋慕したライネルもヴァイオレットに夢中のようだったけど、
ヴァイオレットをよく知るクロノスには、
本命はオリムで、ライネルのほうが遊ばれているのだとわかっていた。
とはいえ、ヴァイオレットはオリムを裏切っている。
オリムを傷つける存在は許さない。
有休をとって逢瀬を重ねるライネルの日程に合わせて、
オリムをはやく帰してもらえるように、クロノスは王子に頼んだ。
それからその日はクロノス自身も仕事をはやく終わらせてオリムの後を追った。
傷ついたオリムに付け入ろうと思ったわけじゃない。
そんな下心が0だったかと問われると、そうとは言いきれないけれど、
こんな醜い自分が選ばれることはないだろう。
ただ、傷つくオリムをひとりになんかさせたくなかった。深酒でもなんでも付き合おうと思っていた。
オリムの家に向かう途中のクロノスを、場所のせいか、男娼と勘違いしたオリムに、そのまま話を合わせることにした。
顔も覚えてもらえていないことはショックだったが、
憧れのオリムに「買う」と言われたことが舞い上がるほど嬉しかった。
傷ついてしょぼんとしたオリムは可愛らしかった。
名前をきくと、男娼相手に本名を言うし、
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身体を重ねると、オリムとの相性は信じられないほど良かった。
欲が湧いた。恋人の浮気で傷ついたオリムを慰めて、
身体から落として自分のものにしたい。
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だからあいつがオリムと付き合うために、初心なふりまでして、突っ込まれる側をやっているようだと聞いた時には、耳を疑った。
どんだけネコかぶるんだよ。よっぽどオリムと付き合いたかったに違いない。だからこそ不満がたまってライネルを組み伏せて発散しているんだろう。
オリムの理想になろうと努力して、ヴァイオレットは選択を間違えた。
でもクロノスには、ヴァイオレットがオリムを好きな気持ちがよくわかる。彼がオリムにどれだけ憧れているかも。だから簡単には諦めないだろうことも。
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