恋人に浮気された腹いせに男娼を買ったら人生狂った。(完全版)

まりあ

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最終章(クロノス視点)

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「おい、顔色大丈夫か」
オリムさんに揺すられて、思考が現実に引き戻された。

「あ、ごめんなさい、ちょっと…考え事を…」


「悪い、勘違いさせたか?
そういう意味じゃなくて、んー、今度はオレが追いかけるから…って意味だからな」

「え」

「オレはさ、

まともに1人で留守も任せられないやつで。…離れてる間に元カレに監禁されるし。

オレが情けないから、お前を傷つけて、爵位も捨てさせて、人生も狂わせた。

…それに、あの頃は怖くて、お前を突き放してばかりだった。

お前が手を伸ばすたびに、拒んで…
なのに離れずにいてくれたこと、オレはずっと忘れない。」

「…僕も忘れません。
でも、あれは拒まれたんじゃなくて、
オリムさんが必死で自分を守ってただけです。

僕は、離れなかったんじゃない。
離れられなかったんです。
オリムさんが、ずっと好きだったから。」

「…お前、そういうことをさらっと言うなよ。心臓がもたない」

言葉とは裏腹にオリムさんの肩がわずかに震えた。緊張が伝わってくる。

「…クロノスは、心も見た目も綺麗だ。

お前とは全然釣り合わないことを、今回あらためて思い知った。

だけどやっぱり、お前のことだけは離したくないし、絶対に諦めないって決めたんだ。

1度自分から断っておいて、都合のいい話だけど。

お前を誰にも渡したくない。

オレは王子でも王女でもない。貴族ですらないただの平民だけど…。

でも働いて、稼ぐよ。

お前に一生不自由な暮らしをさせないくらいの力ならある。

それしか、オレにはないけど…それでお前を支えたい。
だから、オレに『お前の隣』をくれ。
一緒に、生きて欲しい」


「…」

驚いて言葉が出なくなった僕に、眉尻を下げてオリムさんは言う。
「…なんか返してくれよ、返事」



「僕でいいんですか…?」
ずっと欲しかった言葉を聞いて、心のどこかが震えた。
それでも腕は迷わず彼を抱いていた。

「お前がいい。
クロノス、お前じゃなきゃだめなんだ。
オレにはお前が眩しいし、お前の存在自体がいつもオレを救ってくれてる。」


(嬉しくて泣きそう…)

自然と笑みがこぼれた。

「…ありがと。…嬉しい。オリムさん大好き」
抱きしめたオリムさんは、僕と同じくらいドキドキしてた。
あぁ、オリムさんも僕と同じ気持ちなんだ。

もう誰にも彼を奪わせない、そう心の中で決意した。

「…そんな好きで仕方ないって目で見てくるなよ。
でも…オレのほうが好きだよ」

優しい瞳でそう言って、オリムさんのくちづけが、潤んだ目元に降ってきた。





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