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最終章(クロノス視点)
●おまけ⑫(前編)「うちでもお祝いしようぜ!」
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●おまけ⑫(前編)「うちでもお祝いしようぜ!」
オリムの結婚が国中に広がり始めた頃。(車椅子の青年、その父親)
郊外の貧しい家にて。
「魔術師長のオリム様が、ご結婚されるらしいって」
車椅子の青年は父親が家に帰ってくるなり、興奮して言った。
もうすでに父の耳に入っているはずだけど、言わずにはいられなかった。
青年のその端正な面差しは「魔術師長の影武者をやれるんじゃないか」と冗談を言われるほどオリムに似ていた。そのせいもあり、青年は魔術師長の大ファンだった。
「城下ではもうその噂でお祝いムード一色らしいよ。
うちでも何かしようぜ。
お祝いの手紙とかさ」
青年は幼い頃、生まれつきの病気で生死をさまよったが、大手術の末、一命を取り留めた。
一生歩けることはないけれど、それを笑い話にできるほど今は元気だ。
父と2人で貧しくても幸せに暮らしている。
自分の手術には大金がかかったことを、
昔は3人暮らしだったのに、自分の病気のせいで1人が出ていったことを、
大人になってから、おしゃべりな近所のおばさんから聞いた。
家の年収を何倍もの手術代を、父はどこから調達したのかはわからないが、青年は父親を心から尊敬していた。
「そうか。おめでたいね」父親は穏やかに笑った。
青年は父がもっと喜ぶかと思っていた。
だって父が『魔術師長』の新聞記事をスクラップしているのを知っている。
それにこの前、父がこっそり棚に隠している写真を見つけてしまった。
自分の写真だと思ったら、なんと魔術師長のブロマイドだったのだ。
青年は気づかないふりをして、あった場所にそっと戻しておいた。
(父さん、熱狂的な隠れファンのくせに…素直じゃないんだから)
青年はくすっと笑う。
「オリム様、結婚相手のせいで、国一番の面食いなんて言われてるらしいぜ」
「…そうか」
短くそう答えた父親の声が、少し震えていたのを、
浮かれた青年は気づかなかった。
「…いい結婚になるといいな、
きっと…幸せになれる」
父が誰に言うでもなしにつぶやいた。
オリムの結婚が国中に広がり始めた頃。(車椅子の青年、その父親)
郊外の貧しい家にて。
「魔術師長のオリム様が、ご結婚されるらしいって」
車椅子の青年は父親が家に帰ってくるなり、興奮して言った。
もうすでに父の耳に入っているはずだけど、言わずにはいられなかった。
青年のその端正な面差しは「魔術師長の影武者をやれるんじゃないか」と冗談を言われるほどオリムに似ていた。そのせいもあり、青年は魔術師長の大ファンだった。
「城下ではもうその噂でお祝いムード一色らしいよ。
うちでも何かしようぜ。
お祝いの手紙とかさ」
青年は幼い頃、生まれつきの病気で生死をさまよったが、大手術の末、一命を取り留めた。
一生歩けることはないけれど、それを笑い話にできるほど今は元気だ。
父と2人で貧しくても幸せに暮らしている。
自分の手術には大金がかかったことを、
昔は3人暮らしだったのに、自分の病気のせいで1人が出ていったことを、
大人になってから、おしゃべりな近所のおばさんから聞いた。
家の年収を何倍もの手術代を、父はどこから調達したのかはわからないが、青年は父親を心から尊敬していた。
「そうか。おめでたいね」父親は穏やかに笑った。
青年は父がもっと喜ぶかと思っていた。
だって父が『魔術師長』の新聞記事をスクラップしているのを知っている。
それにこの前、父がこっそり棚に隠している写真を見つけてしまった。
自分の写真だと思ったら、なんと魔術師長のブロマイドだったのだ。
青年は気づかないふりをして、あった場所にそっと戻しておいた。
(父さん、熱狂的な隠れファンのくせに…素直じゃないんだから)
青年はくすっと笑う。
「オリム様、結婚相手のせいで、国一番の面食いなんて言われてるらしいぜ」
「…そうか」
短くそう答えた父親の声が、少し震えていたのを、
浮かれた青年は気づかなかった。
「…いい結婚になるといいな、
きっと…幸せになれる」
父が誰に言うでもなしにつぶやいた。
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