幼馴染を忘れられなくて童貞34年極めたらリア充になれた話

味噌村 幸太郎

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第4話

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 じっとしていられなかった。
 ここから名古屋までは夜行バスで往復、数万円はいるな…。
 普段は滅多に話しかけない母親に声をかけた。
 居間のちゃぶ台の前で座り、うつろな目でテレビを見ながらせんべいを食べている。

「金かしてくれる?」

 冷たい視線が俺に突き刺さる。
「いくらね?」

 母は元々福岡の生まれなため、方言は出る。
 俺は転勤族だったから、方言を使うのはやめた。
 その地方の方言になれると次の土地で、いじめの対象にもなりやすい。また慣れるのがキツいからだ。


「5万…ぐらいちょうだい」
「3万でどうにかしぃよ。お母さんも年金できついとよ」
 タンスの中からクシャクシャになった一万円札を渡してくれた。
 ちなみにだが、父親は4年前に他界している。ガンだ。
 亡くなった日は俺の30歳の誕生日だった。まあいいよ、死んだ人のことは。

「わーってるよ」
「なんね、その言い方は? あげたのに、なんもないと?」
「あ、ありがと」
 俺が背中を向けた瞬間、更に母が追い討ちをかける。
「あ、来週ね。京子きょうこば帰ってくるけん、あんた、またネカフェかね? 行っといて」


 京子というのは俺の妹だ。兄弟は俺と京子のみ。
 妹とはもう20年ぐらい凍りきった関係のままでいる。
 詳しい時期も覚えてはいないが、俺のせいなのはわかっている。
 昔は良く俺になついて可愛い妹だったが、今では会う度に俺を睨んでガン無視か、ムカつく小言だ。

 今30歳で、双子の娘がいる。幼いころの妹にそっくりな、みゆきとやよいだ。
 俺はこの2人を可愛く思っているが、京子が指1本触れることさえ許してくれない。
 別にそんなエロい目で見ているつもりはないんだけど・・・まあパンチラは見てしまうがw

 そんな京子は、俺と段違いで、福岡でトップの高校、大学を卒業して薬剤師になった。
 中学の時から付き合っていた彼氏と大学在学中に結婚した。別にできちゃった結婚ではない。
 多分、その彼氏ってのがイケメンエリートだったから早めに結婚したんじゃないかな? 
 ちなみにその夫はIT企業の社長で年収は数千万らしい……。
 性格も優しくて明るい、顔立ちもハンサムで、身長も180センチ近くある。しかもガチムチマッチョ。
 なんなの、このチート野郎は?
 妹にとって恥部でしかない俺は結婚式で遠い親戚の席に座らされた。
 だが、俺はこの義理の弟は嫌いじゃない。
 むしろ、俺に会うたびに心配してくれ、お小遣いを数万円もくれるので同居したいぐらいだ。

 だがそのやりとりを妹の京子がいつも嫌うのだ。
 眉間にしわを寄せ「子供たちにも悪影響だし、恥ずかしいからやめてくれる?」と俺にすごんでくるのだ。
 だから最近は妹一家が来るといつも母親から小遣いをもらって近くのネットカフェで1日つぶす。
 あっちが泊まるとき、俺はネカフェで泊まる。
 健気にも義理の弟は俺が家にいないもんだから「兄さんはどうされたんですか?」と心配そうにきくらしい。
 もうこいつを俺の本当の弟にしたいぐらいだぜ。
 
「ネカフェで泊まればいいんだろ? その代わり小遣いはくれよな」
「ちゃんとあげるよ…あんたもさっさと家を出んね。母さんだっていつまでも……」
 言いかけている途中で俺はリュックサックを肩にかけ、家から出た。
 この後のセリフはわかっている。
 耳にタコができるぐらい聞かされているから。

「いつまでも生きてられないんだから」
「早く自立しなさい」
「働け」

 こればっかだ。知るかっつーの。
 親が死んだら死んだで、生活保護でも受けるさ。ダメならその時に考えるよ。その時にね。
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