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第三話 異世界候補
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「えっと……イセパットが3種類の候補を出してくれました!」
「おお! ついに俺の新しい世界が決まるのか! 楽しみだなぁ」
「はい! わたし頑張りました!」
そういうとミミは将大にイセパットの画面を見せながら説明を始めた。
「さあ、行きましょう! 1つ目の候補はー!」
ダラダラダラダラ♪
どこからともなく。なんとも聞き覚えがあるドラムの音が聞こえてきた
(これもムードだよな……すごく凝っているんだな)
「ダラダラダラダラ♪ ダラダラダラダラ♪」
(ミミさん!?)
「さあ! 将大様もご一緒に!」
「え! 俺も?」
「そうです! 異世界転生なんて生きてるうちに1回あるかどうか……いえ! 死んでから1度しかありません! さあ!盛り上がっていきましょ! ダラダラダラダラ♪」
「だ……ダラダラダラダラ」
「もっとノリ良く!」
「ダラダラダラダラ♪」
二人で一緒に謎の詠唱をしてしばらく……
デデン!
「でました! 『惰《だ》バナナ! 転生したらゴリラでした。ゴリラに転生してスローライフ』です!」
堕バナナ?、ゴリラ?
「え……、まってミミさん。いろいろツッコミどころあるんですが、まずタイトルがなんかWEB小説の長ったらしいタイトルみたいになってるんですが……」
「日本人にはこちらの方が目を惹かれるみたいなので!」えっへん!ドヤ!
ミミさんはタブレットを俺に見せつけてくる。
「あの……転生するのがゴリラなんですか?」
「当たり前です! 転生先が人間じゃない世界もあります。」えっへん!ドヤ!
ミミさんはさらにタブレットを俺の目の前に見せつけてくる。喜べってこと?
全然惹かれない世界なんだけど……
「まじか……あの、とりあえず詳細を聞いてもいいですか?」
俺は半分呆れ、半分絶望の気持ちでミミさんに内容を聞く。
ミミさんはタブレットを指でスワイプしながら俺に説明をする。
「えっと、ここはですね……、ゴリラの王様になって毎日惰バナナをむさぼる事ができる世界ですね。スローライフが好きな方へおすすめです」
「その……えっと……堕バナナ?」
「惰バナナです。ほら、惰眠をむさぼると言う言葉があるでしょう。そんな感じです」ニコ
ミミさん……スローライフは夢だけど! 夢だけれども!
「あの、惰バナナはちょっと……あとゴリラはやだ。ミミさん、次の候補を聞せてくれるかな?」
「えー(さっさと決めてくれれば楽なのになー)、じゃあ次は……」ぽちぽち
ミミさんは若干めんどくさそうに次の検索結果をぽちぽちした。
ダラダラダラダラ♪
(また始まった!)
「さあ! ご一緒に!」
「ダラダラダラダラ……」
「もっと元気よく!」
「ダラダラダラダラ……」
デデン!
「第二の候補はですね……あ、よかったですね! 転生先は人間です」
「お、いいね! それでそれで? どんな世界なんですか」
「はい……第二の候補は『パイナップル栽培で世界最強!リンゴ軍VSブドウ軍』」
「バナナの次はリンゴ? ブドウ? パイナップル栽培? なんで世界最強?」
ミミさんは説明を続ける。
「はい。この世界はりんご好きのりんご軍とブトウがすきなブトウ軍が二つに分かれていて争っていて、パイナップルは英語で書くとpin『apple』……つまり異形のリンゴという事で、チートスキルを持っているんです。パイナップルを敵に向けて投げると爆発するというチートスキルです。パイナップル爆弾は破壊力抜群です。このスキルで世界を統一するという世界ですね。いかがですか?」
りんご? ぶとう? かなりぶっ飛んでいるぞ。
「チートスキル……憧れていたものではあるけど、内容がかなりカオスで気に食わないです」
「ちなみにブドウ軍は『武道軍』とかけていてその名の通り武術が得意みたいですね……」
「微妙に凝っていますね。あの……ミミさん、悪いけど三つ目の候補も聞かせて欲しいです」
「三つ目ですね……(なかなか首を縦に振ってくれないわ。スローライフやチートスキルに興味を持ってくれて即答だと思ったんだけどね)」
ミミさんは「はぁ」とため息を一つしてから、再度イセパットをぽちぽちする。
ダラダラダラダラ♪
「も、もしかして毎回やるの!?」
略
デデン!
「えっと、『音楽救済! 失われた音を取り戻せ!』」
「お、これはなんか名前だけじゃわからないけど面白そうだね」
「えっ! 好評価! じゃあここにしちゃいます?」
「あ、ミミさんすごく嬉しそう……。あの、まずは詳細を教えてください」
「はい! この世界ではドレミファソラシの七音が魔王ヴィーヴルによって奪われてしまいました。あなたは勇者になって、音を取り返してください!」
「転生先は?」
「もちろん人間です!」
「すご! この三つの中で一番良さそうだな」
「気に入ってもらってよかったです!……あっ。これはやばいかも……じゃなくてここにしますか?」
「ミミさん……なんかあったの?」
「い、いえ……おすすめで……すよ?」
ミミさんの目が右へ左へ動いている。明らかにおかしい。
「詳しく説明してください」
俺はミミさんに少しきつめな口調で問う。
「え、あ、あの……転生後40年は勇者ではなく掃除係としてこき使われるので気をつけてくださいね」
「え、40年間掃除係をしてから世界を救う勇者になるの?」
「そりゃあ勇者になるタイミングは人それぞれですからね」
「40過ぎてからの勇者ってどうなんだ……」
「さあ、どうします? 惰バナナのゴリラにしますか? パイナップル爆弾の人間にしますか? 40年間掃除係の勇者にしますか?」
ミミさんが俺に迫ってくる。というかどれも俺が行きたい世界とは大いに異なる。
「ちょっと! あの! どうしてもここから選ばないとダメなんですか? 申し訳ないんですけどどれも嫌です!」
「え! なんで? このイセパットに必要情報を入力したのに! 入力頑張ったんですよ! もう面倒だからこの中から決めてください! それにダラダラダラダラ言いたくないんです! わたし、早く女神見習い卒業したいんです!」
ダラダラは言いたくなかったんかい!
というか、今俺は物凄いことを聞いてしまった。
「え、ミミさんは本当の女神じゃないんですか?」
しまった! とでも言うようにミミさんの顔が赤くなる。
「これから女神になるんです! あなたを希望の世界に飛ばせたら無事女神見習い卒業なんです!」
ミミさんはフーフーと息を切らしながら俺に言う。全く感情の起伏が激しいなぁ。
「見習いならもっと慎重に選んでくれよ!」
「私はやる事はやりました! これがあなたにピッタリの世界なんですー! さあ、あなたが決めないなら私がどこかの世界に飛ばしてあげます。このイセパットをポチポチっとして……」
「まって! その候補はやめて! 人間に転生でさっきの候補以外ならどんな世界でもいいけど俺も転生したい世界の希望があるんだ!」
「希望? いいですよ聞いてあげます」
お、意外と冷静か?
「俺が望む世界……しいていうならば生まれた場所は貴族の屋敷で、男の子、母親はロリ巨乳ママで、親父は伝説の貴族、俺はその間に生まれた超絶美形な男の子。二歳の時にはすでに母国語と、近くの外国語をマスターしていて、五歳にして武術は師範代レベル。魔法が使えて、その世界の全ての属性と裏属性および禁呪含めあらゆる魔法がMP0で利用することができて、錬金術で金を生み出すことができて、空が飛べて、七歳には世界を一つに束ねる代表党首になって、九歳には俺の結婚相手が合計200人を超えてて、みんな美人で、でもロリ巨乳ママも僕を溺愛してきたと思えばツンデレ系の幼馴染が僕と駆け落ちしたり……さらに大人になってからはあまりある金と財産で世界の全てを購入して俺の理想の国をつくる。しかも俺への支持率は120%! これくらいになればかなり楽しいよなー。あ、あと天界や死後の世界もも自由に行き来できて、ミミさん含めいろんな天界人にもお会いしたいです。せいぜいこんなところで、俺全然高望みしてないから! 全! 然! 高望みしてないから!」
「あの……将大さん、人間に転生するところまで聞こえましたけど、そのあとは呪文でした。あと支持率120%ってのは存在しません」
ミミさんは目が真っ黒になり、引き気味で俺につぶやく。そんな変なこと言ったかなぁ。
「あの、人間って……最初のところじゃないか」
「だってあなた、希望が多すぎて……」
「そうかなぁ? 抑えたつもりだけど。ミミさん。イセパットって俺が入力してもいいんですか? 多分そっちの方が早いかも。」
「それはダメです。イセパットは借り物なの! それにあなたを満足した次の世界に送るのが私の課題なんだから! あなたにやってもらったら失格してしまいます」
ミミさんはちょっと焦りイセパットを両手で胸の方へ握りしめた。
「やだ! 俺に入力させろ! 理想の異世界に俺は行くんだ!」
女神見習いに俺の次の世界を決めさせたくはない。俺の行く世界は俺自身が決めるんだ。そう思うと俺の体は自然にイセパットに手が伸びていた。
「ちょ!ダメですよ! イセパットは女神のツールなのですからダメです! こら! 引っ張らないで!」グギギ……
「少しだけ! 少しだけでいいから見せてよ! 変な事しないからさ!」
「ダメって言ってるでしょー! ってあれー!」
ピョーン
「あ」「イセパットが宙を舞って」
グシャ……
コワレ…………
デンゲンツカナイ……
「あーーー! 私の! 正確にはアレス様から借りたイセパットが!」
イセパットは見事半分こになってしまった。
「ごめんなさい! でもミミさんが思いっきり引っ張るから……」
ミミさんは泣きながら俺に叫ぶ。
「まさかイセパットが壊れてしまうなんて前代未聞です!」
「俺はちゃんとした世界を選んで行きたいと思って……」
「これだから人間は欲望の塊なんです! あわあわ、イセパットを新しいものに交換してもらわないと……でももう、今日のところは無理です。今日は天界の宿で泊まってください!。私はアレス様のところに行ってイセパットの修理をお願いしてきます!」
「え、でも……俺」
ゴス! ゴス!
「うっ」
「わかりましたね?」
「は、はい……」
(全く……出だし最悪です……)
※ゴス! は骨が揺れる音です
「おお! ついに俺の新しい世界が決まるのか! 楽しみだなぁ」
「はい! わたし頑張りました!」
そういうとミミは将大にイセパットの画面を見せながら説明を始めた。
「さあ、行きましょう! 1つ目の候補はー!」
ダラダラダラダラ♪
どこからともなく。なんとも聞き覚えがあるドラムの音が聞こえてきた
(これもムードだよな……すごく凝っているんだな)
「ダラダラダラダラ♪ ダラダラダラダラ♪」
(ミミさん!?)
「さあ! 将大様もご一緒に!」
「え! 俺も?」
「そうです! 異世界転生なんて生きてるうちに1回あるかどうか……いえ! 死んでから1度しかありません! さあ!盛り上がっていきましょ! ダラダラダラダラ♪」
「だ……ダラダラダラダラ」
「もっとノリ良く!」
「ダラダラダラダラ♪」
二人で一緒に謎の詠唱をしてしばらく……
デデン!
「でました! 『惰《だ》バナナ! 転生したらゴリラでした。ゴリラに転生してスローライフ』です!」
堕バナナ?、ゴリラ?
「え……、まってミミさん。いろいろツッコミどころあるんですが、まずタイトルがなんかWEB小説の長ったらしいタイトルみたいになってるんですが……」
「日本人にはこちらの方が目を惹かれるみたいなので!」えっへん!ドヤ!
ミミさんはタブレットを俺に見せつけてくる。
「あの……転生するのがゴリラなんですか?」
「当たり前です! 転生先が人間じゃない世界もあります。」えっへん!ドヤ!
ミミさんはさらにタブレットを俺の目の前に見せつけてくる。喜べってこと?
全然惹かれない世界なんだけど……
「まじか……あの、とりあえず詳細を聞いてもいいですか?」
俺は半分呆れ、半分絶望の気持ちでミミさんに内容を聞く。
ミミさんはタブレットを指でスワイプしながら俺に説明をする。
「えっと、ここはですね……、ゴリラの王様になって毎日惰バナナをむさぼる事ができる世界ですね。スローライフが好きな方へおすすめです」
「その……えっと……堕バナナ?」
「惰バナナです。ほら、惰眠をむさぼると言う言葉があるでしょう。そんな感じです」ニコ
ミミさん……スローライフは夢だけど! 夢だけれども!
「あの、惰バナナはちょっと……あとゴリラはやだ。ミミさん、次の候補を聞せてくれるかな?」
「えー(さっさと決めてくれれば楽なのになー)、じゃあ次は……」ぽちぽち
ミミさんは若干めんどくさそうに次の検索結果をぽちぽちした。
ダラダラダラダラ♪
(また始まった!)
「さあ! ご一緒に!」
「ダラダラダラダラ……」
「もっと元気よく!」
「ダラダラダラダラ……」
デデン!
「第二の候補はですね……あ、よかったですね! 転生先は人間です」
「お、いいね! それでそれで? どんな世界なんですか」
「はい……第二の候補は『パイナップル栽培で世界最強!リンゴ軍VSブドウ軍』」
「バナナの次はリンゴ? ブドウ? パイナップル栽培? なんで世界最強?」
ミミさんは説明を続ける。
「はい。この世界はりんご好きのりんご軍とブトウがすきなブトウ軍が二つに分かれていて争っていて、パイナップルは英語で書くとpin『apple』……つまり異形のリンゴという事で、チートスキルを持っているんです。パイナップルを敵に向けて投げると爆発するというチートスキルです。パイナップル爆弾は破壊力抜群です。このスキルで世界を統一するという世界ですね。いかがですか?」
りんご? ぶとう? かなりぶっ飛んでいるぞ。
「チートスキル……憧れていたものではあるけど、内容がかなりカオスで気に食わないです」
「ちなみにブドウ軍は『武道軍』とかけていてその名の通り武術が得意みたいですね……」
「微妙に凝っていますね。あの……ミミさん、悪いけど三つ目の候補も聞かせて欲しいです」
「三つ目ですね……(なかなか首を縦に振ってくれないわ。スローライフやチートスキルに興味を持ってくれて即答だと思ったんだけどね)」
ミミさんは「はぁ」とため息を一つしてから、再度イセパットをぽちぽちする。
ダラダラダラダラ♪
「も、もしかして毎回やるの!?」
略
デデン!
「えっと、『音楽救済! 失われた音を取り戻せ!』」
「お、これはなんか名前だけじゃわからないけど面白そうだね」
「えっ! 好評価! じゃあここにしちゃいます?」
「あ、ミミさんすごく嬉しそう……。あの、まずは詳細を教えてください」
「はい! この世界ではドレミファソラシの七音が魔王ヴィーヴルによって奪われてしまいました。あなたは勇者になって、音を取り返してください!」
「転生先は?」
「もちろん人間です!」
「すご! この三つの中で一番良さそうだな」
「気に入ってもらってよかったです!……あっ。これはやばいかも……じゃなくてここにしますか?」
「ミミさん……なんかあったの?」
「い、いえ……おすすめで……すよ?」
ミミさんの目が右へ左へ動いている。明らかにおかしい。
「詳しく説明してください」
俺はミミさんに少しきつめな口調で問う。
「え、あ、あの……転生後40年は勇者ではなく掃除係としてこき使われるので気をつけてくださいね」
「え、40年間掃除係をしてから世界を救う勇者になるの?」
「そりゃあ勇者になるタイミングは人それぞれですからね」
「40過ぎてからの勇者ってどうなんだ……」
「さあ、どうします? 惰バナナのゴリラにしますか? パイナップル爆弾の人間にしますか? 40年間掃除係の勇者にしますか?」
ミミさんが俺に迫ってくる。というかどれも俺が行きたい世界とは大いに異なる。
「ちょっと! あの! どうしてもここから選ばないとダメなんですか? 申し訳ないんですけどどれも嫌です!」
「え! なんで? このイセパットに必要情報を入力したのに! 入力頑張ったんですよ! もう面倒だからこの中から決めてください! それにダラダラダラダラ言いたくないんです! わたし、早く女神見習い卒業したいんです!」
ダラダラは言いたくなかったんかい!
というか、今俺は物凄いことを聞いてしまった。
「え、ミミさんは本当の女神じゃないんですか?」
しまった! とでも言うようにミミさんの顔が赤くなる。
「これから女神になるんです! あなたを希望の世界に飛ばせたら無事女神見習い卒業なんです!」
ミミさんはフーフーと息を切らしながら俺に言う。全く感情の起伏が激しいなぁ。
「見習いならもっと慎重に選んでくれよ!」
「私はやる事はやりました! これがあなたにピッタリの世界なんですー! さあ、あなたが決めないなら私がどこかの世界に飛ばしてあげます。このイセパットをポチポチっとして……」
「まって! その候補はやめて! 人間に転生でさっきの候補以外ならどんな世界でもいいけど俺も転生したい世界の希望があるんだ!」
「希望? いいですよ聞いてあげます」
お、意外と冷静か?
「俺が望む世界……しいていうならば生まれた場所は貴族の屋敷で、男の子、母親はロリ巨乳ママで、親父は伝説の貴族、俺はその間に生まれた超絶美形な男の子。二歳の時にはすでに母国語と、近くの外国語をマスターしていて、五歳にして武術は師範代レベル。魔法が使えて、その世界の全ての属性と裏属性および禁呪含めあらゆる魔法がMP0で利用することができて、錬金術で金を生み出すことができて、空が飛べて、七歳には世界を一つに束ねる代表党首になって、九歳には俺の結婚相手が合計200人を超えてて、みんな美人で、でもロリ巨乳ママも僕を溺愛してきたと思えばツンデレ系の幼馴染が僕と駆け落ちしたり……さらに大人になってからはあまりある金と財産で世界の全てを購入して俺の理想の国をつくる。しかも俺への支持率は120%! これくらいになればかなり楽しいよなー。あ、あと天界や死後の世界もも自由に行き来できて、ミミさん含めいろんな天界人にもお会いしたいです。せいぜいこんなところで、俺全然高望みしてないから! 全! 然! 高望みしてないから!」
「あの……将大さん、人間に転生するところまで聞こえましたけど、そのあとは呪文でした。あと支持率120%ってのは存在しません」
ミミさんは目が真っ黒になり、引き気味で俺につぶやく。そんな変なこと言ったかなぁ。
「あの、人間って……最初のところじゃないか」
「だってあなた、希望が多すぎて……」
「そうかなぁ? 抑えたつもりだけど。ミミさん。イセパットって俺が入力してもいいんですか? 多分そっちの方が早いかも。」
「それはダメです。イセパットは借り物なの! それにあなたを満足した次の世界に送るのが私の課題なんだから! あなたにやってもらったら失格してしまいます」
ミミさんはちょっと焦りイセパットを両手で胸の方へ握りしめた。
「やだ! 俺に入力させろ! 理想の異世界に俺は行くんだ!」
女神見習いに俺の次の世界を決めさせたくはない。俺の行く世界は俺自身が決めるんだ。そう思うと俺の体は自然にイセパットに手が伸びていた。
「ちょ!ダメですよ! イセパットは女神のツールなのですからダメです! こら! 引っ張らないで!」グギギ……
「少しだけ! 少しだけでいいから見せてよ! 変な事しないからさ!」
「ダメって言ってるでしょー! ってあれー!」
ピョーン
「あ」「イセパットが宙を舞って」
グシャ……
コワレ…………
デンゲンツカナイ……
「あーーー! 私の! 正確にはアレス様から借りたイセパットが!」
イセパットは見事半分こになってしまった。
「ごめんなさい! でもミミさんが思いっきり引っ張るから……」
ミミさんは泣きながら俺に叫ぶ。
「まさかイセパットが壊れてしまうなんて前代未聞です!」
「俺はちゃんとした世界を選んで行きたいと思って……」
「これだから人間は欲望の塊なんです! あわあわ、イセパットを新しいものに交換してもらわないと……でももう、今日のところは無理です。今日は天界の宿で泊まってください!。私はアレス様のところに行ってイセパットの修理をお願いしてきます!」
「え、でも……俺」
ゴス! ゴス!
「うっ」
「わかりましたね?」
「は、はい……」
(全く……出だし最悪です……)
※ゴス! は骨が揺れる音です
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