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第十四話 異世界転生アルバイト! 魔王大進軍!
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天界 快晴や
「さあ午後も張り切って異世界転生するわよ!」
「お、おう……」
「なに? あんた元気ないじゃない?」
「どうせ次も最悪な世界だろ? 豚とか犬とか、人間じゃないものに転生するんだろ……うっ、そう思うとさっきミミさんの前で強がって食べたハムカツサンド吐きそうだ……オークを思い出す……」
「ふふ♪ でもあの子が一生懸命作ったパンをちゃんと残さず食べたのはかっこよかったかもね。そう、次も人間じゃないわ」
「ほら、今度も最悪な転生ですよ。もうやだ!」
「ふふ。次は魔王に転生よ」
「はいはい、魔王ですね……って魔王!」
「ええ、魔王よ。」
「魔王か、ついに勇者方面でもなくなるのね」
「魔王になって暴れるのがこんかいのアルバイトよ」
「暴れる?」
「そう、次の世界は次の転生者が『奇跡の勇者』としてうまれてくる前に世界を破壊し混沌とさせる必要があるの。今あの世界は本当に平和でつまらない世界だけど、魔王が世界を破壊するというイベントを乗り越えて一層面白い展開になるわ」
「魔王ってどんな感じの能力を持っているんだ?」
「基本的には思ったことは何でもできるくらい膨大な魔力を備えているわ。空も飛べるし、炎も吐ける。でも安心して、村人たちはちゃんと奇跡的に無傷で生き残っている設定にしているわ。つまりどれだけ人間を攻撃しても、奇跡の結界という設定で無傷よ。あなたの手で誰かを葬るという残虐非道なことはさせないから安心して」
「かなり無理やりな設定だな」
「まぁそこらへんは逆に異世界っぽくていいでしょ。あなたは力の限り世界を壊すだけ。そう、今回のアルバイトは『魔王進軍』よ」
「三日三晩町を破壊し続ける……」
「さあ。とりあえず行ってらっしゃい」
ブワン!
〇 〇 〇
(なんといういことだ、本当に魔王として転生してしまった)
「魔王様、敵の城の結界が弱まっていますじゃ! 今がチャンスですじゃ!」
「そうか……」
(とりあえず魔王になりきる必要がある。昔やってたゲームの悪役を思い出せ!)
「よし、時は満ちた。全軍進軍準備を手配せよ。午前0時、夜襲で一気に城下を制圧する。」
「かしこまりました! さすがです魔王様」
(うわぁ、すごい期待のまなざしをされている。そういえば昔やった演劇で、一度悪役やってみたかったと思ったことがある。町の人々を殺したりするのはよくないけど設定で無傷と言われても傷つけるのはいやだから注意だけしておこう)
「有能なる家来たちよ。ただし、町の人々を殺したり過度に傷つけたりするのはだめだ」
え?
魔族たちは全員首を傾げた。
「なぜですか? 魔王様、そっちのほうが手っ取り早いのでは」
(奇跡の結界という設定はあるけれど人道的に人は殺したくない……)
「人を殺してしまえばその人の一生は終わる。しかし人を生かしつづければその恐怖を植え付けることができる。死で恐怖はぬぐえないのだ」
「さすが魔王様、何言っているかわかりませんがわかりました!」
(こんなんで大丈夫かなぁ……)
――――――――――――――――――――
深夜 0時
ドッカーン!
「逃げろ!」「魔族の襲来だ!」「早く走って!」
「……そろそろこの城下町も火の海になってきたな」
「そうですね、さすが魔王様の作戦です」
「全員城下のものを取り押さえろ! ただし殺したり拷問したりはだめだ。奪うのは金品財宝だけにしておけ、決して食料に手を出してはいけないぞ。すべてを失った人間たちだが豊富に食料だけはある。飢えで苦しんで死ぬなんてことはさせるものか。はははは。われら魔族の恐怖を胸に、またいつ襲われるかという恐怖を胸に、今度は殺されるかもしれないという恐怖を胸に、彼らを生かすのだ」
「魔王様……それは命を奪うより残虐では?」
「はっはっは。もしかしたらそうかもな!」
こうして俺は魔王となり三日三晩、街を荒らし続けたのだった。
ピコーン! アルバイト完了!
『あー応答せよ、ダリアよ。今回のアルバイトも無事に成功したわ。どうだった?魔王ごっこは?』
「ごっこというか魔王そのものだったんですけど」
『これで今日の業務は終わりよ。このまますぐ天界に戻る?』
「いや、ちょっと待って」
『わかったわ、戻りたくなったらいつでも言って。』
(町を襲ったのは魔王で俺だが、なんか町の人たちがかわいそうだ。そうだ、次の勇者がここに転生したときに魔王を倒しやすくするために、弱点を記しておこう)
カキカキ 魔王の弱点は足の小指
(よし、これでよし)
「ダリアさん、帰る!」
『ふん、わかったわ』
ブワン
――――――――――――――――――――
「はい、お疲れ様ー、最後に魔王の弱点を書き残していくなんて優しいところあるわね」
「まあ、俺がその町を破壊した張本人なんだけどな」
「さあ、イセパットに登録っと」
トウロク カンリョウ
「さあ、今回はどんなふうに登録されたんだ?」
『なんと赤ちゃんが魔王を倒しました! え? 倒し方?それはですね……ハイハイです』
魔王が世界を恐怖に陥れ十二年が経過した。
※このタイミングで転生
生命税という生きているだけ支払う厳しい税制の中で生まれた一人赤ちゃんが魔王の小指によちよち……こつん……
「ぐわああああこゆびがぁああああ」
倒した赤ちゃん勇者は世界中で歓迎された。この世界を救った赤ちゃんは甘えに甘やかされ大きくなり十七歳の誕生日、新たな境地に立たされていた。体重は一〇〇キロを超えて立ち上がることも困難。
「俺は世界を救ったんだぞお」
キャッチフレーズは
「それ何年前だよ?」
――――――――――――――――――――――
「赤ちゃんが魔王を倒しちゃうんだね……斬新」
「確かに、あまりないわね。ちなみにわたしは赤ちゃん好きよ」
「甘やかされて育った赤ちゃんが、大きくなった時どんな子になったのだろう」
「この世界には転生したくないの?」
「うん、ここは別にいいかな。赤ちゃんの時はたしかに魔王を倒してすごいとみんなから慕われたけど、そのあとの行いが……」
「ふーん、そう。まあバイトはバイトだからちゃんと給料は払わせてもらうわ。はい八万エリカ」
「ありがとうございます。これで合計十六万エリカ! 俺が死ぬ思いで手に入れた十六万エリカ!」
「そういえば、あなたそのお金でイセパットの修繕代金に充てるのよね」
「うん、俺はお金を貯めて次の異世界転生をバッチシ決めてやるんだ! 一二〇万エリス必要だから最短一五日で貯められる」
「そうよ。(天界では一五日だけど、このバイトだと実際には一二〇日くらいの時を異世界で過ごす)だから、まぁせいぜい頑張りなさいよ。じゃあ今日はこれで終わりだからさっさと家に帰りなさい!」
「うん、ありがとう」
「さあ午後も張り切って異世界転生するわよ!」
「お、おう……」
「なに? あんた元気ないじゃない?」
「どうせ次も最悪な世界だろ? 豚とか犬とか、人間じゃないものに転生するんだろ……うっ、そう思うとさっきミミさんの前で強がって食べたハムカツサンド吐きそうだ……オークを思い出す……」
「ふふ♪ でもあの子が一生懸命作ったパンをちゃんと残さず食べたのはかっこよかったかもね。そう、次も人間じゃないわ」
「ほら、今度も最悪な転生ですよ。もうやだ!」
「ふふ。次は魔王に転生よ」
「はいはい、魔王ですね……って魔王!」
「ええ、魔王よ。」
「魔王か、ついに勇者方面でもなくなるのね」
「魔王になって暴れるのがこんかいのアルバイトよ」
「暴れる?」
「そう、次の世界は次の転生者が『奇跡の勇者』としてうまれてくる前に世界を破壊し混沌とさせる必要があるの。今あの世界は本当に平和でつまらない世界だけど、魔王が世界を破壊するというイベントを乗り越えて一層面白い展開になるわ」
「魔王ってどんな感じの能力を持っているんだ?」
「基本的には思ったことは何でもできるくらい膨大な魔力を備えているわ。空も飛べるし、炎も吐ける。でも安心して、村人たちはちゃんと奇跡的に無傷で生き残っている設定にしているわ。つまりどれだけ人間を攻撃しても、奇跡の結界という設定で無傷よ。あなたの手で誰かを葬るという残虐非道なことはさせないから安心して」
「かなり無理やりな設定だな」
「まぁそこらへんは逆に異世界っぽくていいでしょ。あなたは力の限り世界を壊すだけ。そう、今回のアルバイトは『魔王進軍』よ」
「三日三晩町を破壊し続ける……」
「さあ。とりあえず行ってらっしゃい」
ブワン!
〇 〇 〇
(なんといういことだ、本当に魔王として転生してしまった)
「魔王様、敵の城の結界が弱まっていますじゃ! 今がチャンスですじゃ!」
「そうか……」
(とりあえず魔王になりきる必要がある。昔やってたゲームの悪役を思い出せ!)
「よし、時は満ちた。全軍進軍準備を手配せよ。午前0時、夜襲で一気に城下を制圧する。」
「かしこまりました! さすがです魔王様」
(うわぁ、すごい期待のまなざしをされている。そういえば昔やった演劇で、一度悪役やってみたかったと思ったことがある。町の人々を殺したりするのはよくないけど設定で無傷と言われても傷つけるのはいやだから注意だけしておこう)
「有能なる家来たちよ。ただし、町の人々を殺したり過度に傷つけたりするのはだめだ」
え?
魔族たちは全員首を傾げた。
「なぜですか? 魔王様、そっちのほうが手っ取り早いのでは」
(奇跡の結界という設定はあるけれど人道的に人は殺したくない……)
「人を殺してしまえばその人の一生は終わる。しかし人を生かしつづければその恐怖を植え付けることができる。死で恐怖はぬぐえないのだ」
「さすが魔王様、何言っているかわかりませんがわかりました!」
(こんなんで大丈夫かなぁ……)
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深夜 0時
ドッカーン!
「逃げろ!」「魔族の襲来だ!」「早く走って!」
「……そろそろこの城下町も火の海になってきたな」
「そうですね、さすが魔王様の作戦です」
「全員城下のものを取り押さえろ! ただし殺したり拷問したりはだめだ。奪うのは金品財宝だけにしておけ、決して食料に手を出してはいけないぞ。すべてを失った人間たちだが豊富に食料だけはある。飢えで苦しんで死ぬなんてことはさせるものか。はははは。われら魔族の恐怖を胸に、またいつ襲われるかという恐怖を胸に、今度は殺されるかもしれないという恐怖を胸に、彼らを生かすのだ」
「魔王様……それは命を奪うより残虐では?」
「はっはっは。もしかしたらそうかもな!」
こうして俺は魔王となり三日三晩、街を荒らし続けたのだった。
ピコーン! アルバイト完了!
『あー応答せよ、ダリアよ。今回のアルバイトも無事に成功したわ。どうだった?魔王ごっこは?』
「ごっこというか魔王そのものだったんですけど」
『これで今日の業務は終わりよ。このまますぐ天界に戻る?』
「いや、ちょっと待って」
『わかったわ、戻りたくなったらいつでも言って。』
(町を襲ったのは魔王で俺だが、なんか町の人たちがかわいそうだ。そうだ、次の勇者がここに転生したときに魔王を倒しやすくするために、弱点を記しておこう)
カキカキ 魔王の弱点は足の小指
(よし、これでよし)
「ダリアさん、帰る!」
『ふん、わかったわ』
ブワン
――――――――――――――――――――
「はい、お疲れ様ー、最後に魔王の弱点を書き残していくなんて優しいところあるわね」
「まあ、俺がその町を破壊した張本人なんだけどな」
「さあ、イセパットに登録っと」
トウロク カンリョウ
「さあ、今回はどんなふうに登録されたんだ?」
『なんと赤ちゃんが魔王を倒しました! え? 倒し方?それはですね……ハイハイです』
魔王が世界を恐怖に陥れ十二年が経過した。
※このタイミングで転生
生命税という生きているだけ支払う厳しい税制の中で生まれた一人赤ちゃんが魔王の小指によちよち……こつん……
「ぐわああああこゆびがぁああああ」
倒した赤ちゃん勇者は世界中で歓迎された。この世界を救った赤ちゃんは甘えに甘やかされ大きくなり十七歳の誕生日、新たな境地に立たされていた。体重は一〇〇キロを超えて立ち上がることも困難。
「俺は世界を救ったんだぞお」
キャッチフレーズは
「それ何年前だよ?」
――――――――――――――――――――――
「赤ちゃんが魔王を倒しちゃうんだね……斬新」
「確かに、あまりないわね。ちなみにわたしは赤ちゃん好きよ」
「甘やかされて育った赤ちゃんが、大きくなった時どんな子になったのだろう」
「この世界には転生したくないの?」
「うん、ここは別にいいかな。赤ちゃんの時はたしかに魔王を倒してすごいとみんなから慕われたけど、そのあとの行いが……」
「ふーん、そう。まあバイトはバイトだからちゃんと給料は払わせてもらうわ。はい八万エリカ」
「ありがとうございます。これで合計十六万エリカ! 俺が死ぬ思いで手に入れた十六万エリカ!」
「そういえば、あなたそのお金でイセパットの修繕代金に充てるのよね」
「うん、俺はお金を貯めて次の異世界転生をバッチシ決めてやるんだ! 一二〇万エリス必要だから最短一五日で貯められる」
「そうよ。(天界では一五日だけど、このバイトだと実際には一二〇日くらいの時を異世界で過ごす)だから、まぁせいぜい頑張りなさいよ。じゃあ今日はこれで終わりだからさっさと家に帰りなさい!」
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