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第二十三話 異世界アルバイト!「無限地獄会社ENMAへようこそ!」②
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「皆様、今回の新人研修のスケジュール表はご覧になりましたか? まだ、見ていない方はご確認ください」
アデアラさんは元気な口調で俺ら新入社員に喋りかける。新人研修で地獄めぐりをさせるなんて、この世界もかなりやばいな。
俺達の安全対策は完ぺきで、新入社員は全員安全バンドを身に着けている。俺だけ安全指輪でなんと安全性が他の人より低いことから、地獄体験はせずに安全通路からの見学のみとなる。ということは、もしかしたら今回の依頼はめちゃくちゃ簡単?
◇ ◇ ◇
新入社員工程表
1日目
第一の地獄「獣地獄」
第二の地獄「火炎地獄」
第三の地獄「蟻地獄」
第四の地獄「釜茹地獄」
2日目
第五の地獄「針山地獄」
第六の地獄「壁地獄」
第七の地獄「虚無地獄」
◇ ◇ ◇
はい、これら地獄を俺は体験せずに研修を終わります。
俺は案内用紙を呼んでぎょっとした。
良かったー! 本当に良かった。きっとこれも日頃の行いなんだろう。
「それではまず、第一の地獄。獣地獄です!」
ぎぃいいい
アデアラさんが重たい扉を開けて俺たちを誘導する。
新入社員たちが続々と中に入っていく。
なんであんなに彼らは楽しそうな顔をしているんだろう。
俺も新入社員の後ろに続いて扉に向かっていく途中、アデアラさんに「まって!」と、止められた。
「指輪の人……」
「将大です」
「失礼しました。将大さんは危ないから私と一緒にこの扉の横にある安全通路から見学です。ガラス越しでの見学だけど我慢してね」
アデアラさんは残念そうに俺につぶやいた。
「もちろんです!」
(地獄体験を我慢するのは逆に良いことですぜ、アデアラさん)
「そうですか、わかりました。それでは簡単に説明を。まずはこの先のガラスまで行きましょう」
「はい」
アデアラさんが新入社員を獣地獄に入れた後、重い扉の鍵を閉めた。
ぎぃいいい
「さあ、こちらへ」
俺は彼女に案内されて地獄の中が見える大きなガラスの前で立ち止まった。
ガラスの前では新入社員がまだかまだかと、期待に胸を運ばせていた。
(地獄が見学できるって、誰需要だよ!)
◇ ◇ ◇
「将大さん、改めてお伝えしますが、こちらは獣地獄です。一度入ってしまったら逃げ出すことはかなり困難でしょう」
アデアラさんが少し重めにつぶやいた。
そりゃあ、地獄ですからね。
「さあ、獣が新入社員めがけて走っていきます」
俺達とは対照的にガラスの奥の大きな扉が開く。
「皆さん、獣たちとご対面です」
ワン ワン!
キャン キャン!
(この安全指輪のおかげで体験しなくてよかったー、だって地獄の獣だよ。恐ろしいに決まって……あれ)
あれ? おかしいな、獣のサイズが明らかに小さい。というかあそこにいる人、獣を抱きかかえているぞ……こ、これはもしかして
「ワンちゃんかわいい!」
「猫ちゃんもかわいい!」
新入社員たちが楽しそうに獣たちと触れ合っている。そう‼ まさかの獣はワンちゃんと、猫ちゃんなのでしたー!
「獣って犬猫かい!」
思わず俺は突っ込んでしまった。
「もちろんです、彼らはおとなしく人間が大好きです。この獣地獄では彼らと1時間触れ合うという地獄になっています」
そういってアデアラさんがガラス越しに犬たちと戯れている新入社員を眺める。
可愛いワンちゃん、かっこいい猫ちゃん、賢そうなワンちゃん、デレデレの猫ちゃん、どこをさわってもOKなもふもふ獣たち、なんて羨ましいんだろう。
「アデアラさん、僕もあそこに混ざりたいです。もふもふしたい、されたいです」
俺はこの地獄……いやご褒美にに参加したかった。
「ふふふ、いいでしょう。この地獄はモフモフすることでどんな生き物にも親しみを感じることが出来るんです。でも、あなたは安全指輪だから参加はできません。見るだけです」
「う……ううぅ」
俺は悲しくも犬猫と親しく遊んでいる無間地獄会社ENMAの新入社員たちを見る事しかできなかった。
◇ ◇ ◇
1時間後
「さあ、皆さん。これで終わりです。次の地獄へ行きましょう!」
そういうと、新入社員たちの目の前の扉が開いた。
「えー! いやだ!」
「俺はこの地獄で一生を過ごすんだ! もふもふして死にたい!」
「私もこの子たちを離れることなんて嫌だ! あんまりだ!」
新入社員たちは落胆の詩(うた)を連ねる。どうやら、かなり満足しているようでこの地獄から離れたくないらしい。
「いう事を聞けない悪い新入社員は強制的に部屋から出しますからね」
アデアラさんが合図をすると、スーツ姿のかなりいかついおっさんが新入社員と犬猫を切り離し、新入社員を次々と、扉の先に誘導した。
「うぁあああああ、いやだああああ! はなせええええ! でたくなあああいいい!」
「きゃあああああ、やだああああ、ワンちゃん猫ちゃん! いなくならないでえええ」
(あ、ある意味地獄だな)
ガラス越しでおとなしく見ていた俺があの獣地獄にいたらどうなったか。
「将大さん、人はこうして一歩大人になるのです」
「は、はぁ」
「それでは、次の地獄にご案内します」
そういって彼女は新入社員を次の地獄体験へと案内をした。
アデアラさんは元気な口調で俺ら新入社員に喋りかける。新人研修で地獄めぐりをさせるなんて、この世界もかなりやばいな。
俺達の安全対策は完ぺきで、新入社員は全員安全バンドを身に着けている。俺だけ安全指輪でなんと安全性が他の人より低いことから、地獄体験はせずに安全通路からの見学のみとなる。ということは、もしかしたら今回の依頼はめちゃくちゃ簡単?
◇ ◇ ◇
新入社員工程表
1日目
第一の地獄「獣地獄」
第二の地獄「火炎地獄」
第三の地獄「蟻地獄」
第四の地獄「釜茹地獄」
2日目
第五の地獄「針山地獄」
第六の地獄「壁地獄」
第七の地獄「虚無地獄」
◇ ◇ ◇
はい、これら地獄を俺は体験せずに研修を終わります。
俺は案内用紙を呼んでぎょっとした。
良かったー! 本当に良かった。きっとこれも日頃の行いなんだろう。
「それではまず、第一の地獄。獣地獄です!」
ぎぃいいい
アデアラさんが重たい扉を開けて俺たちを誘導する。
新入社員たちが続々と中に入っていく。
なんであんなに彼らは楽しそうな顔をしているんだろう。
俺も新入社員の後ろに続いて扉に向かっていく途中、アデアラさんに「まって!」と、止められた。
「指輪の人……」
「将大です」
「失礼しました。将大さんは危ないから私と一緒にこの扉の横にある安全通路から見学です。ガラス越しでの見学だけど我慢してね」
アデアラさんは残念そうに俺につぶやいた。
「もちろんです!」
(地獄体験を我慢するのは逆に良いことですぜ、アデアラさん)
「そうですか、わかりました。それでは簡単に説明を。まずはこの先のガラスまで行きましょう」
「はい」
アデアラさんが新入社員を獣地獄に入れた後、重い扉の鍵を閉めた。
ぎぃいいい
「さあ、こちらへ」
俺は彼女に案内されて地獄の中が見える大きなガラスの前で立ち止まった。
ガラスの前では新入社員がまだかまだかと、期待に胸を運ばせていた。
(地獄が見学できるって、誰需要だよ!)
◇ ◇ ◇
「将大さん、改めてお伝えしますが、こちらは獣地獄です。一度入ってしまったら逃げ出すことはかなり困難でしょう」
アデアラさんが少し重めにつぶやいた。
そりゃあ、地獄ですからね。
「さあ、獣が新入社員めがけて走っていきます」
俺達とは対照的にガラスの奥の大きな扉が開く。
「皆さん、獣たちとご対面です」
ワン ワン!
キャン キャン!
(この安全指輪のおかげで体験しなくてよかったー、だって地獄の獣だよ。恐ろしいに決まって……あれ)
あれ? おかしいな、獣のサイズが明らかに小さい。というかあそこにいる人、獣を抱きかかえているぞ……こ、これはもしかして
「ワンちゃんかわいい!」
「猫ちゃんもかわいい!」
新入社員たちが楽しそうに獣たちと触れ合っている。そう‼ まさかの獣はワンちゃんと、猫ちゃんなのでしたー!
「獣って犬猫かい!」
思わず俺は突っ込んでしまった。
「もちろんです、彼らはおとなしく人間が大好きです。この獣地獄では彼らと1時間触れ合うという地獄になっています」
そういってアデアラさんがガラス越しに犬たちと戯れている新入社員を眺める。
可愛いワンちゃん、かっこいい猫ちゃん、賢そうなワンちゃん、デレデレの猫ちゃん、どこをさわってもOKなもふもふ獣たち、なんて羨ましいんだろう。
「アデアラさん、僕もあそこに混ざりたいです。もふもふしたい、されたいです」
俺はこの地獄……いやご褒美にに参加したかった。
「ふふふ、いいでしょう。この地獄はモフモフすることでどんな生き物にも親しみを感じることが出来るんです。でも、あなたは安全指輪だから参加はできません。見るだけです」
「う……ううぅ」
俺は悲しくも犬猫と親しく遊んでいる無間地獄会社ENMAの新入社員たちを見る事しかできなかった。
◇ ◇ ◇
1時間後
「さあ、皆さん。これで終わりです。次の地獄へ行きましょう!」
そういうと、新入社員たちの目の前の扉が開いた。
「えー! いやだ!」
「俺はこの地獄で一生を過ごすんだ! もふもふして死にたい!」
「私もこの子たちを離れることなんて嫌だ! あんまりだ!」
新入社員たちは落胆の詩(うた)を連ねる。どうやら、かなり満足しているようでこの地獄から離れたくないらしい。
「いう事を聞けない悪い新入社員は強制的に部屋から出しますからね」
アデアラさんが合図をすると、スーツ姿のかなりいかついおっさんが新入社員と犬猫を切り離し、新入社員を次々と、扉の先に誘導した。
「うぁあああああ、いやだああああ! はなせええええ! でたくなあああいいい!」
「きゃあああああ、やだああああ、ワンちゃん猫ちゃん! いなくならないでえええ」
(あ、ある意味地獄だな)
ガラス越しでおとなしく見ていた俺があの獣地獄にいたらどうなったか。
「将大さん、人はこうして一歩大人になるのです」
「は、はぁ」
「それでは、次の地獄にご案内します」
そういって彼女は新入社員を次の地獄体験へと案内をした。
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