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第一章『爆誕?! イレギュラーなTS魔法少女!』
Act.04:初実戦
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「要するに魔力次第では何でもできる?」
「そんな所ね」
変身状態ではあるものの、ちょっと変わったあの状態についてラビに聞いていた。まさか、あの状態でも過ごせるとは……魔法スゴーイ。
姿はリュネール・エトワールだが、衣装は普段着だ。普段着と言っても魔力で作られた何てことない白いワンピースだが。
この状態の事を簡単に言えば、省エネモード? いや魔力に省エネと言ってもなあ……とにかく、限りなく普通の人間に近い魔法少女の状態だ。
この姿では魔力も最低限しか使ってないので、力も強くない。そんじょそこらのチンピラ程度相手ならできるようだが。
「それにしても、大分その姿気に入ったみたいね?」
「別に、気に入ってない。色々試してるだけ」
まず一言で言おう。
この状態の俺は完璧に女の子である。相棒も居ないし、小さいながらも胸もある。感触もあって、感覚もある。
何だこれ、と言いたいがこの姿を変身前の状態として認知させれば本当の正体は誰も分からないって事になるだろうって話だ。
まあ、人前で解除とかしないけど、緊急事態で解除するしかなかった時とかはこれで凌げるのではないだろうか。そんな場面遭遇したくないが。
「全然魔力使わない」
「そこまで行けるって結構凄いわね。あなたまだ魔法少女になってほんの数日なのに」
「慣れた」
魔法少女となって、まだ四日程度しか経ってないが毎日練習はしてる。リュネール・エトワールとしての口調とかについてもね。
ただ未だに魔物の発生は確認できない。と言うより、この地域一帯はぶっちゃけここ数か月間、魔物の魔の字もない場所なのだ。
他の地域……人が多い所とかではちまちま観測されいるのだが。
「一度は実戦しておきたい」
「それには同意だけど、全然魔物の気配が無いわね」
「この地域はここ数か月間、魔物は観測されてない」
「そうみたいね」
平和なのは良い事だが、あまり平和が過ぎると出現したときの対応が遅くなる可能性が高い。適度に来た方がぶっちゃけ良いと思う。
「他の地域に行く?」
「うーん?」
他の地域。魔物が多い地域って言うのは存在する。例えば首都の東京とかは人口が一番多いから魔物が良く出てくる。
ただその分、待機している魔法少女もかなりの腕利きだから被害も最小限に抑えられてるのだという。
この地域の担当の魔法少女はどうしてるかは気になるな。暇してそうだ……。
他の地域に行くというのも一つの手段だが、ピンチでもないのに途中でやってきたら横取りとか言われそうだ。
魔法少女の助けはしたいと思ってるが、現状俺が介入する余地はない。
「ん。この地域で待ってる」
結局、その日ずっとこの姿で居たのだが魔物の発生は無かったのだった。
□□□□□□□□□□
『◣◥◣◥◣◥WARNING!!◣◥◣◥◣◥』
それはある日の事、唐突に起きた。
「何だ!?」
けたたましい警報が聞こえ、慌てて音の発生源を確認する。俺の変身デバイスからのようだった。
「これは……魔物よ。魔物が近くに発生したわ。推定脅威度はA!」
「はあ?!」
いやね? 確かに実戦をしたいとは言ったけど、いきなり脅威度Aの魔物って何だよ!
「脅威度Aって……」
「ええ、思ったより強力な個体ね」
魔物には脅威度と言う物が存在する。
一番下からF、E、D、C、B、A、AA、S、SSとなっている。脅威度Aというのは、Aクラスの魔法少女数人で倒せると言う認識だ。少なくとも二名以上は出動する。
魔法少女にもクラスって言うのがあり、一番下がCクラス。そこから順にBクラス、Aクラス、Sクラス、SSクラス、Lクラスとなっている。
普通の魔物より強力と言うのは分かると思う。大体出現頻度の多い魔物はFからD当たりだ。この脅威度ならCクラスの魔法少女で余裕だろう。
「魔法省の方は、全然でなかった地域から突然の脅威度Aの魔物が発生って事で対応がちょっと遅れてるわね」
「いや、なんで分かるんだ……」
「妖精だから」
それ理由になってない。
しかし、対応が遅れてるか、か。魔法省もきちんとしないと駄目だろうに……。
「行くの?」
「ああ。一般人に被害が出る」
変身デバイスを取り出し、キーワードを唱える。
「――ラ・リュヌ・エ・レトワル!」
『SYSTEM CALL "CHANGE" KEYWORD,OK――LA LUNE ET L'ETOILE――』
ふわっと浮遊感と同時に視界が真っ白になるという、もう慣れた感覚に襲われ目を開ければ、魔法少女リュネール・エトワールに変身完了である。
『SYSTEM CALL "CHANGE" SUCCESS!!――GO!』
そして意識を切り替える。
俺ではなく、わたしリュネール・エトワールへと。窓から外へ出て、そのままラビの案内に従い、出現場所へ向かった。
「大きい」
実物を見るのは初めてだ。
向かった先には如何にも怪獣映画に出て来そうな巨体の得体のしれない生物。あれが魔物なのだろう。しかも脅威度Aと結構高めの奴らしいし。
「ラビ、他の魔法少女は?」
「まだ来てなさそうね」
「このままだと被害が出る……やる」
「OK、初実戦ね」
超人並みに強化された身体能力で、家の屋根とかを使い魔物に近づく。見た感じだと、馬みたいな魔物だ。角が生えてるし、何か禍々しいオーラを出してるが。
「グラビティ……アップ」
対象は魔物。
ゴォっと音がすると同時に、動きを進める魔物が足を止める。否……動けなくなったのだ。
「#%$&!?」
言葉にも聞こえない、叫びを上げる。
「スターシュート!」
動きを止めた魔物に対して魔法のキーワードを紡ぐと同時に、ステッキを振りかざす。すると、先端から良く絵で描かれるような星が飛び出し、魔物へ直撃。
「うわ」
これが星を操る魔法の一つ。杖先から星を飛ばして、ターゲットにぶつける単純な攻撃魔法だ。ただ、追尾するっていうおまけ仕様付きだ。
とはいえ、今回は動きを止めてたので追尾も何もないのだが。
「あれ、居ない?」
爆発と同時に上がった煙で魔物の姿が見えなくなっていたが、晴れたと思えばそこに居るはずの魔物は跡形もなく消えていた。
周りを警戒する。しかし、何処にもそんな魔物の気配はなく本当に消滅してしまったという感じだ。
恐る恐る魔物が居たであろう場所に向かうと、そこには壊れたブロックと赤い宝石のような物が落ちているだけだった。
「もしかして、倒した?」
「そうみたいね」
「あ、ラビ」
「これは魔物が落とす魔石っていう物よ。魔力を内包する石と言えば良いかしらね」
ラビの話では、魔物を倒すと必ずこの魔石を落とすらしい。そしてこの魔石は魔力を内包しており、貴重な資源となっているとのこと。
この世界では魔法少女くらいしか使わないが、ラビが居た世界……妖精世界って言うらしいのだが、そこではよく使われているとの事。
「流石は脅威度Aの魔石ね……」
「それどうするの?」
「使い道は多数あるわ。魔法少女なら身体を癒やせたり、魔力を少し回復させたり、一時的に魔法の威力を上げたりとか。ただし、使いきりだけどね」
なるほど。
要するにサポートアイテムって感じなのかな? 回復薬にもなるし、バフにもなるって事か。妖精世界では一つの動力源らしい。
「倒したのはリュネールだから、これは渡しておくわね」
「それ必要?」
「まああなたの場合は規格外だから必要ないかもしれないわね。でも、念の為に持っておくのも良いかもしれないわ」
「分かった」
ラビがそう言うなら貰っておこう。でもこれ、何処にしまっておけば良いんだ? 家に置いとけば良いのか……自分で持っておくのが一番なんだろうけど。
「そのステッキに掲げてみなさい」
そんなこと考えてると、ラビがそう言ってくる。ステッキに? とは思ったが、取り合えずやってみる。
「おお……」
いかんいかん、つい素が出てしまったが、許してほしい。
魔石を掲げると、ステッキの中に吸い込まれるように消えていったのだ。何だこれ……。
「これで魔石はデバイスの中に入ったわ。取り出したい時はステッキに手を当てて念じるのよ」
「凄い」
何だろう。謎の感動を覚える。
ステッキの中に格納できるとは思わなんだ。でも、これなら保管場所には困らないな。魔法ってスゲー。
「これは……」
そんな事呑気に考えていると、第三者の声が耳に入ってくる。ふと声をした方に目向ければ、そこには青い衣装を身にまとった一人の少女が浮かんでいたのだった。
「そんな所ね」
変身状態ではあるものの、ちょっと変わったあの状態についてラビに聞いていた。まさか、あの状態でも過ごせるとは……魔法スゴーイ。
姿はリュネール・エトワールだが、衣装は普段着だ。普段着と言っても魔力で作られた何てことない白いワンピースだが。
この状態の事を簡単に言えば、省エネモード? いや魔力に省エネと言ってもなあ……とにかく、限りなく普通の人間に近い魔法少女の状態だ。
この姿では魔力も最低限しか使ってないので、力も強くない。そんじょそこらのチンピラ程度相手ならできるようだが。
「それにしても、大分その姿気に入ったみたいね?」
「別に、気に入ってない。色々試してるだけ」
まず一言で言おう。
この状態の俺は完璧に女の子である。相棒も居ないし、小さいながらも胸もある。感触もあって、感覚もある。
何だこれ、と言いたいがこの姿を変身前の状態として認知させれば本当の正体は誰も分からないって事になるだろうって話だ。
まあ、人前で解除とかしないけど、緊急事態で解除するしかなかった時とかはこれで凌げるのではないだろうか。そんな場面遭遇したくないが。
「全然魔力使わない」
「そこまで行けるって結構凄いわね。あなたまだ魔法少女になってほんの数日なのに」
「慣れた」
魔法少女となって、まだ四日程度しか経ってないが毎日練習はしてる。リュネール・エトワールとしての口調とかについてもね。
ただ未だに魔物の発生は確認できない。と言うより、この地域一帯はぶっちゃけここ数か月間、魔物の魔の字もない場所なのだ。
他の地域……人が多い所とかではちまちま観測されいるのだが。
「一度は実戦しておきたい」
「それには同意だけど、全然魔物の気配が無いわね」
「この地域はここ数か月間、魔物は観測されてない」
「そうみたいね」
平和なのは良い事だが、あまり平和が過ぎると出現したときの対応が遅くなる可能性が高い。適度に来た方がぶっちゃけ良いと思う。
「他の地域に行く?」
「うーん?」
他の地域。魔物が多い地域って言うのは存在する。例えば首都の東京とかは人口が一番多いから魔物が良く出てくる。
ただその分、待機している魔法少女もかなりの腕利きだから被害も最小限に抑えられてるのだという。
この地域の担当の魔法少女はどうしてるかは気になるな。暇してそうだ……。
他の地域に行くというのも一つの手段だが、ピンチでもないのに途中でやってきたら横取りとか言われそうだ。
魔法少女の助けはしたいと思ってるが、現状俺が介入する余地はない。
「ん。この地域で待ってる」
結局、その日ずっとこの姿で居たのだが魔物の発生は無かったのだった。
□□□□□□□□□□
『◣◥◣◥◣◥WARNING!!◣◥◣◥◣◥』
それはある日の事、唐突に起きた。
「何だ!?」
けたたましい警報が聞こえ、慌てて音の発生源を確認する。俺の変身デバイスからのようだった。
「これは……魔物よ。魔物が近くに発生したわ。推定脅威度はA!」
「はあ?!」
いやね? 確かに実戦をしたいとは言ったけど、いきなり脅威度Aの魔物って何だよ!
「脅威度Aって……」
「ええ、思ったより強力な個体ね」
魔物には脅威度と言う物が存在する。
一番下からF、E、D、C、B、A、AA、S、SSとなっている。脅威度Aというのは、Aクラスの魔法少女数人で倒せると言う認識だ。少なくとも二名以上は出動する。
魔法少女にもクラスって言うのがあり、一番下がCクラス。そこから順にBクラス、Aクラス、Sクラス、SSクラス、Lクラスとなっている。
普通の魔物より強力と言うのは分かると思う。大体出現頻度の多い魔物はFからD当たりだ。この脅威度ならCクラスの魔法少女で余裕だろう。
「魔法省の方は、全然でなかった地域から突然の脅威度Aの魔物が発生って事で対応がちょっと遅れてるわね」
「いや、なんで分かるんだ……」
「妖精だから」
それ理由になってない。
しかし、対応が遅れてるか、か。魔法省もきちんとしないと駄目だろうに……。
「行くの?」
「ああ。一般人に被害が出る」
変身デバイスを取り出し、キーワードを唱える。
「――ラ・リュヌ・エ・レトワル!」
『SYSTEM CALL "CHANGE" KEYWORD,OK――LA LUNE ET L'ETOILE――』
ふわっと浮遊感と同時に視界が真っ白になるという、もう慣れた感覚に襲われ目を開ければ、魔法少女リュネール・エトワールに変身完了である。
『SYSTEM CALL "CHANGE" SUCCESS!!――GO!』
そして意識を切り替える。
俺ではなく、わたしリュネール・エトワールへと。窓から外へ出て、そのままラビの案内に従い、出現場所へ向かった。
「大きい」
実物を見るのは初めてだ。
向かった先には如何にも怪獣映画に出て来そうな巨体の得体のしれない生物。あれが魔物なのだろう。しかも脅威度Aと結構高めの奴らしいし。
「ラビ、他の魔法少女は?」
「まだ来てなさそうね」
「このままだと被害が出る……やる」
「OK、初実戦ね」
超人並みに強化された身体能力で、家の屋根とかを使い魔物に近づく。見た感じだと、馬みたいな魔物だ。角が生えてるし、何か禍々しいオーラを出してるが。
「グラビティ……アップ」
対象は魔物。
ゴォっと音がすると同時に、動きを進める魔物が足を止める。否……動けなくなったのだ。
「#%$&!?」
言葉にも聞こえない、叫びを上げる。
「スターシュート!」
動きを止めた魔物に対して魔法のキーワードを紡ぐと同時に、ステッキを振りかざす。すると、先端から良く絵で描かれるような星が飛び出し、魔物へ直撃。
「うわ」
これが星を操る魔法の一つ。杖先から星を飛ばして、ターゲットにぶつける単純な攻撃魔法だ。ただ、追尾するっていうおまけ仕様付きだ。
とはいえ、今回は動きを止めてたので追尾も何もないのだが。
「あれ、居ない?」
爆発と同時に上がった煙で魔物の姿が見えなくなっていたが、晴れたと思えばそこに居るはずの魔物は跡形もなく消えていた。
周りを警戒する。しかし、何処にもそんな魔物の気配はなく本当に消滅してしまったという感じだ。
恐る恐る魔物が居たであろう場所に向かうと、そこには壊れたブロックと赤い宝石のような物が落ちているだけだった。
「もしかして、倒した?」
「そうみたいね」
「あ、ラビ」
「これは魔物が落とす魔石っていう物よ。魔力を内包する石と言えば良いかしらね」
ラビの話では、魔物を倒すと必ずこの魔石を落とすらしい。そしてこの魔石は魔力を内包しており、貴重な資源となっているとのこと。
この世界では魔法少女くらいしか使わないが、ラビが居た世界……妖精世界って言うらしいのだが、そこではよく使われているとの事。
「流石は脅威度Aの魔石ね……」
「それどうするの?」
「使い道は多数あるわ。魔法少女なら身体を癒やせたり、魔力を少し回復させたり、一時的に魔法の威力を上げたりとか。ただし、使いきりだけどね」
なるほど。
要するにサポートアイテムって感じなのかな? 回復薬にもなるし、バフにもなるって事か。妖精世界では一つの動力源らしい。
「倒したのはリュネールだから、これは渡しておくわね」
「それ必要?」
「まああなたの場合は規格外だから必要ないかもしれないわね。でも、念の為に持っておくのも良いかもしれないわ」
「分かった」
ラビがそう言うなら貰っておこう。でもこれ、何処にしまっておけば良いんだ? 家に置いとけば良いのか……自分で持っておくのが一番なんだろうけど。
「そのステッキに掲げてみなさい」
そんなこと考えてると、ラビがそう言ってくる。ステッキに? とは思ったが、取り合えずやってみる。
「おお……」
いかんいかん、つい素が出てしまったが、許してほしい。
魔石を掲げると、ステッキの中に吸い込まれるように消えていったのだ。何だこれ……。
「これで魔石はデバイスの中に入ったわ。取り出したい時はステッキに手を当てて念じるのよ」
「凄い」
何だろう。謎の感動を覚える。
ステッキの中に格納できるとは思わなんだ。でも、これなら保管場所には困らないな。魔法ってスゲー。
「これは……」
そんな事呑気に考えていると、第三者の声が耳に入ってくる。ふと声をした方に目向ければ、そこには青い衣装を身にまとった一人の少女が浮かんでいたのだった。
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