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09:まともな竜神がいないことを悟るピヨちゃん
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僕が面倒くさいふたりを死んだ魚のような目で見ていると、空間が一瞬歪んだのが分かった。
(んん??なんだろう……)
しばらくそこを見ていると何か黒い不定形の何かが這いずり出た。あまりのことに震えていると、その不定形が見慣れた人に変わる。先ほどまで貌も何もない無貌の化け物だったのにそれはナイアさんになった。あまりのショックに固まる僕をしりめに不定形から生まれたナイアさんが、ふたりに近付いていく。
「おふたりとも、番様が置いてきぼりになっていますよ。それにあなた達が醜く罵り合う姿を見て放心されていらっしゃいます。お可哀そうに」
気の毒だと口では言っているが、表情が全く伴っていない。なんなら口を歪めた不敵な笑みを浮かべている。
その場にそぐわない表情に思わずナイアさんを2度見した。2度目に見た時にはいつもの紳士的なナイアさんの表情に戻っていたが、アレは、そもそもあの謎の不定形の何かはなんだったのか……。考えてはいけない気がした。
「ティラノたん。ごめん。僕は君が大切だから、何かイグがしたらすぐに言うんだよ。後ずっと側にいるから本当にいつでも言ってね、どれくらい近くかというと息がかかるくらいだね」
「ルキオ。すまない。私としたことがあまりのショックで取り乱した。さぁ、魔法の訓練をしよう」
「ありがとうございます」
とりあえず話が進みそうだ。その様子にニコニコとナイアさんが微笑む。その笑顔に不自然さは無いので、やはりさっきのあれは悪い夢だったのかもしれない。
「ティラノたんの笑顔が綺麗で言葉にできないよ。はぁはぁしてしまうほど好きだ」
そう言って気づいたら僕の腰を抱き寄せて、高速で尻を撫でる変態。
授業に集中するために排除したい。
「ほら、ダメですよ、ヨグ様。番様にセクハラしては。大人しくお仕事しましょうね」
「嫌だ、魔法使うティラノたんを間近で見たい、魔法番いピヨっとティラノたんが見たいって、ナイアやめろ、何するんだ、えっ、ちょっとそこは触るな変な気分になるから……ティラノたんの前で不様にイクなんて、はぁはぁ、割とありかな??」
幼児のように駄々をこねる変態を、慣れた手つきで開いていた亜空間にナイアさんが投げ込んだ。
「では、ごゆっくりお勉強してください」
深々とお辞儀をしてナイアさんもその空間に消えていった。あまり深く考えたら狂うのでスルーしよう。
「やっといなくなった、全く。昔からヨグ陛下は王として以外の才能を全て変態に割り振っている。嘆かわしいことだ」
「そんな変態と知らずに番になりましたが、最終的に逃げるためにも魔法をきっちり教えて下さい」
おじい様はとても可哀想な子を見る目で僕を見ているが話が進まないのでスルーした。
その空気を察しておじい様が話はじめた。
「ルキオは国に復讐したいから魔法を習いたいのだね、つまり炎で焼き尽くす魔法が知りたいのかな??」
「おじい様、竜神は復讐する場合、燃やさないと命が脅かされたりするんですか??違います。精神操作や変身みたいな魔法を使いあの国に潜入して復讐予定です」
その言葉に考え込むようにおじい様は黙り込んだ。流石に父もおじい様から見たら可愛い子孫だから悲しんでいるかなと考えていたが意外な答えが返ってきた。
「なるほど、精神的に追いつめるならいくつか竜の血筋にオススメのものがあるぞ。ひとつは自身の手で番を殺させることだ。これは愛情深い竜の血筋には辛いし、なんなら半身を裂かれるような痛みに正気を失う。竜神法でも、もっとも重い罰は番を自身で殺すもので、完全に精神が壊れ、魂も復元不可の傷を負い理性のない邪竜に成り果て、永遠に地獄に隔離される。ふたつめは……」
「おじい様、あの、一応僕の父もあなたの子孫ですが割とえげつない提案して大丈夫ですか??」
魂に傷を負わすとかまでは望んでいなかったので問えばおじい様が歪んだ笑みを浮かべた。
「ああ、可愛い愛し子のひとりだな。しかし、だからルキオにした行いが許せぬのだよ。私は家族を大切に出来ないものが許せない。しかし、あの子も私はちゃんと愛している。だから責任はとる。もし邪龍になり全ての理性も人間性も番いも無くして狂っても、私の管理する無限地獄でちゃんと監禁してあげる予定だから心配は無用だ」
優しげにまるで冷たい爬虫類のような金色の瞳を細めて熱っぽく囁くおじい様に背筋が凍りついた。
(んん??なんだろう……)
しばらくそこを見ていると何か黒い不定形の何かが這いずり出た。あまりのことに震えていると、その不定形が見慣れた人に変わる。先ほどまで貌も何もない無貌の化け物だったのにそれはナイアさんになった。あまりのショックに固まる僕をしりめに不定形から生まれたナイアさんが、ふたりに近付いていく。
「おふたりとも、番様が置いてきぼりになっていますよ。それにあなた達が醜く罵り合う姿を見て放心されていらっしゃいます。お可哀そうに」
気の毒だと口では言っているが、表情が全く伴っていない。なんなら口を歪めた不敵な笑みを浮かべている。
その場にそぐわない表情に思わずナイアさんを2度見した。2度目に見た時にはいつもの紳士的なナイアさんの表情に戻っていたが、アレは、そもそもあの謎の不定形の何かはなんだったのか……。考えてはいけない気がした。
「ティラノたん。ごめん。僕は君が大切だから、何かイグがしたらすぐに言うんだよ。後ずっと側にいるから本当にいつでも言ってね、どれくらい近くかというと息がかかるくらいだね」
「ルキオ。すまない。私としたことがあまりのショックで取り乱した。さぁ、魔法の訓練をしよう」
「ありがとうございます」
とりあえず話が進みそうだ。その様子にニコニコとナイアさんが微笑む。その笑顔に不自然さは無いので、やはりさっきのあれは悪い夢だったのかもしれない。
「ティラノたんの笑顔が綺麗で言葉にできないよ。はぁはぁしてしまうほど好きだ」
そう言って気づいたら僕の腰を抱き寄せて、高速で尻を撫でる変態。
授業に集中するために排除したい。
「ほら、ダメですよ、ヨグ様。番様にセクハラしては。大人しくお仕事しましょうね」
「嫌だ、魔法使うティラノたんを間近で見たい、魔法番いピヨっとティラノたんが見たいって、ナイアやめろ、何するんだ、えっ、ちょっとそこは触るな変な気分になるから……ティラノたんの前で不様にイクなんて、はぁはぁ、割とありかな??」
幼児のように駄々をこねる変態を、慣れた手つきで開いていた亜空間にナイアさんが投げ込んだ。
「では、ごゆっくりお勉強してください」
深々とお辞儀をしてナイアさんもその空間に消えていった。あまり深く考えたら狂うのでスルーしよう。
「やっといなくなった、全く。昔からヨグ陛下は王として以外の才能を全て変態に割り振っている。嘆かわしいことだ」
「そんな変態と知らずに番になりましたが、最終的に逃げるためにも魔法をきっちり教えて下さい」
おじい様はとても可哀想な子を見る目で僕を見ているが話が進まないのでスルーした。
その空気を察しておじい様が話はじめた。
「ルキオは国に復讐したいから魔法を習いたいのだね、つまり炎で焼き尽くす魔法が知りたいのかな??」
「おじい様、竜神は復讐する場合、燃やさないと命が脅かされたりするんですか??違います。精神操作や変身みたいな魔法を使いあの国に潜入して復讐予定です」
その言葉に考え込むようにおじい様は黙り込んだ。流石に父もおじい様から見たら可愛い子孫だから悲しんでいるかなと考えていたが意外な答えが返ってきた。
「なるほど、精神的に追いつめるならいくつか竜の血筋にオススメのものがあるぞ。ひとつは自身の手で番を殺させることだ。これは愛情深い竜の血筋には辛いし、なんなら半身を裂かれるような痛みに正気を失う。竜神法でも、もっとも重い罰は番を自身で殺すもので、完全に精神が壊れ、魂も復元不可の傷を負い理性のない邪竜に成り果て、永遠に地獄に隔離される。ふたつめは……」
「おじい様、あの、一応僕の父もあなたの子孫ですが割とえげつない提案して大丈夫ですか??」
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優しげにまるで冷たい爬虫類のような金色の瞳を細めて熱っぽく囁くおじい様に背筋が凍りついた。
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