最恐変態ヤンデレ竜王様は番の生贄ひよこ王子が可愛くって仕方ないので世界を滅ぼす約束をした

ひよこ麺

文字の大きさ
41 / 46

34:ナイアさんの秘密と新たなる復讐方法の提案

しおりを挟む
「無事にあらかたの使用人をあの広い城から追い出せたな」

ほぼ全ての使用人に『恐怖の注入』が完了し、いよいよ王城に務めるものはわずかな者しか残っていない。

そのわずかな者は僕が選別して残した者。父と正妃が最も憎むべき復讐対象だが、そのふたりに追従し、僕に特にひどい行いをした連中をわざと残していた。

僕は覚えている。一部の騎士達は、剣の稽古と称して、生育が遅く、幼子のような非力な僕の体を蹴り飛ばしたり一方的な暴力を加えたことを。

それを母上が抗議しても、「剣術の稽古では生傷はつきものですから」等と言って改めることもなかったこと。母上が死んでからはいよいよ僕を真剣で切り大けがをさせようとして、ギリギリでレインに救われて事なきを得たことを。

さらに、現神官長は、レインと同じペドフィリアで実害のある男だった。

幼い体の僕に性的な悪戯を行った。流石にレインが僕を保護したおかげで犯されたりはしなかったが、今でもあの男が僕の首筋をいきなり舐めたり、嫌がる僕の服を脱がせて膝にのせたり、その手で僕の幼い性器や乳首を撫でまわした気持ち悪い記憶は消えはしない。

(僕が味わった苦しみをあいつらに返してやらないといけない)

真っ黒い笑みが浮かんだが、その瞬間、僕の体が元のサイズに戻ってしまった。おじい様のおかげで現在、絶賛監視されているレインはもちろん居ないが、ヨグ様は僕が頼んだ用事のためにまだ戻らないのでしばらくはまた復讐が止まる。

「番様、こちらを」

縮むと服が脱げてしまう僕に上質な布で出来た清潔な衣服を、ナイアさんがいつの間にか現れて着せてくれた。

「ありがとうございます」

「いえいえ。番様をお守りするのは私の勤めですから」

胡散臭い笑みを浮かべながらも全く無駄がない。完璧な従者である彼を見つめていて、世間話のつもりで振った内容を僕は後悔することになった。

「ナイアさんにも番の方がいると伺いましたが、ここから帰っているところを見たことがないのですが……」

その言葉に、ナイアさんの金色の瞳が怪しく光った気がした。そしてとても良い笑顔になる。

「番様、僕にはそれはもう大切で仕方がない番がおります。そんな彼女を私が放っておくわけありませんし、いつもいつでも一緒におります」

「……帰っているところを見たことがないのですが」

大事なことなので思わずもう一度言った。彼の口ぶりだとまるでその番を持ち歩いているとかそういう怖い想像をしていたからだ。しかし、彼はとても良い微笑みで信じられないことを言った。

「私はこの世界に千の貌を持っておりますので、私の本体はいつでも番の元におります、とても悲しい運命を炎のような魂で戦い抜いた美しい女神です。ちなみに今お腹にはふたりの子供も身ごもっておりますよ。ふふふ」

本体という言葉については深く考えてはいけない。ただ、彼の番は身ごもっているらしい。

「……そうですか。いつ頃、お子さんは生まれるのですか??」

「うーん、まだ先ですね。なんせ竜神の子ですからね。でも番様も楽しみにしてくださいね」

「??はい」

まるで、家族が増えますよとでもいうような笑みを浮かべているが、申し訳ないがナイアさんは確かにお世話になっている人?だけれどそこまで身内というつもりはない。ただ、彼が小声で「父親は違いますが、ご兄弟ですからね」と意味のわからない言葉を呟いた気がしたがあまり深く考えると正気度が減るのでやめておこう。

「それより、番様。今されている復讐について、私もお手伝いいたしますよ」

「……ありがとうございます、ただ……」

あくまで自身の復讐は自身の計画で進めたいと考えていたので、勝手なことはしないでほしいと言おうとした時、ナイアさんは首を左右にふる。

「大丈夫ですよ。皆まで言わなくても。私はちょっとした面白い能力があるので、それを番様のためにお貸しする提案をしたのです」

「……能力??」

「はい、ドリームラン〇、もとい夢の世界を少しばかり自由にできるのです」

ナイアさんの笑みにつられるように僕も笑う。

(なるほど、「夢」を自由にできるなら……)
しおりを挟む
感想 48

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

平凡な俺が完璧なお兄様に執着されてます

クズねこ
BL
いつもは目も合わせてくれないのにある時だけ異様に甘えてくるお兄様と義理の弟の話。 『次期公爵家当主』『皇太子様の右腕』そんなふうに言われているのは俺の義理のお兄様である。 何をするにも完璧で、なんでも片手間にやってしまうそんなお兄様に執着されるお話。 BLでヤンデレものです。 第13回BL大賞に応募中です。ぜひ、応援よろしくお願いします! 週一 更新予定  ときどきプラスで更新します!

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

「禍の刻印」で生贄にされた俺を、最強の銀狼王は「ようやく見つけた、俺の運命の番だ」と過保護なほど愛し尽くす

水凪しおん
BL
体に災いを呼ぶ「禍の刻印」を持つがゆえに、生まれた村で虐げられてきた青年アキ。彼はある日、不作に苦しむ村人たちの手によって、伝説の獣人「銀狼王」への贄として森の奥深くに置き去りにされてしまう。 死を覚悟したアキの前に現れたのは、人の姿でありながら圧倒的な威圧感を放つ、銀髪の美しい獣人・カイだった。カイはアキの「禍の刻印」が、実は強大な魔力を秘めた希少な「聖なる刻印」であることを見抜く。そして、自らの魂を安定させるための運命の「番(つがい)」として、アキを己の城へと迎え入れた。 贄としてではなく、唯一無二の存在として注がれる初めての優しさ、温もり、そして底知れぬ独占欲。これまで汚れた存在として扱われてきたアキは、戸惑いながらもその絶対的な愛情に少しずつ心を開いていく。 「お前は、俺だけのものだ」 孤独だった青年が、絶対的支配者に見出され、その身も魂も愛し尽くされる。これは、絶望の淵から始まった、二人の永遠の愛の物語。

処理中です...