【第1部終了】断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にあうようです

ひよこ麺

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20.貴重な夢のお告げがどうでも良い番外編につかわれてしまった悲しさに

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目覚めた僕はまず叫んだ。

「マーティンのその後とか番外編とかどうでもいいから!!!!」

あれは間違いない、貴重な前世の夢だ。僕はこういう話のセオリーに詳しいタイプのヲタクだったので力強く言える、言えるけども……。

本来そういう夢では、この後の大切なことが分かるはずなのに、なんでよりにもよって廃嫡フレンズであるマーティンのその後のストーリーとかいらない部分の夢をみたのか。しかもそれも中途半端だった。微妙にマーティンの相手が誰かわからなかった。マーティンの相手とか割とどうでも良いけど、あんなとこで切られたら気になるよね?僕、気になります。

大体、番外編とはいえマーティンも誰かの餌食になるなんて、この世界では廃嫡されると、その人物に対して過剰な愛情とか執着を抱いていた同性の人物が現れて、結ばれないといけないとかいうルールでもあるのだろうか。怖い強制力なんだけど。

(まぁ、あの神的にはそういうルールもありそうだけど。)

「しかし、今何時くらいかな?寝たのは昼くらいだしまだ夕方くらいだよね?」

そう思って部屋を出ると、予想通り夕方だった。黄昏時とも前世の世界で言われていた時間帯。一応この世界は魔法で光をともすので夜もけっして暗くはないが、黄昏時は僅かな光以外はまだついていなくてむしろ夜より暗く感じる。

だから、小さな頃はこの暗い時間が怖かった、あ、いや割と最近まで怖かったね。僕は暗いところが苦手でよく怖くて泣いていたのを叔父様が見つけてくれて、いつも優しく僕を抱き上げては、

「大丈夫だよ、ルーク。どんなに怖いことがあっても僕が必ず守ってあげるからね」

と言って頭を撫ででくれたっけ。あの時はまさかその叔父様に執着されていて、処女を狙われていて、監禁されるなんて夢にも思ってなかったな。ここに来る前の叔父様は少し過保護なところはあるけど僕に基本的に優しい紳士だったから。

少なくとも「魔導式貞操アナルプラグ」を挿れて、僕が悶えるのをみたいなんて言うとは考えていなかった、と思って、僕の脳裏に叔父様との思い出が浮かび上がる。

「マクスおじたん、僕あのお城がほしい!!」

「わかった。すぐに買ってあげよう」

お城買うんかい、甘やかし過ぎでは?


「マクスおじたん、おはよう、いつも僕のお部屋におじたんいるけどなんで?」

「おはようルーク。それはルークが悪いヤツに攫われないように見張っているんだよ」

「そっか、悪いヤツがいるの怖いな」

「大丈夫だよ、ルーク。悪いヤツは全部この世からキレイキレイしてしまうから……」

キレイキレイが怖いんよ。考えたらダメなヤツだね。


「マクスおじたん、一緒にお風呂にはいろうよ」

「ルーク、すまない。お風呂に一緒に入るのは理性が持たない」

「理性?よくわかんないけど分かった。さみしいけど我慢する」

「すまない、ルーク、その代わりに別のお願いごとを叶えてあげよう」

「わーい、ありがとう」

あ、ストップ。割とすぐに叔父様がなんか僕に劣情を抱いてたの分かるシーン浮かんだわ。前言撤回。結構ずっと叔父様は僕を拗らせていたという結論。解散、解散。

そんな過去を回想していた時だった。

「ルーク殿下」

ぼんやりとしていた僕に突然声がかけられた。びっくりして、すぐにそちらへ視線を向けるとそこにはジャックが立っていた。薄暗くて表情までは見えない。

「ジャック。もう僕は殿下ではないよ」

「いいえ。例え身分が変わろうとも俺が尽くすべきは殿下しかおりません」

その場に跪いた彼からは、僕がまだ王太子だった頃となにひとつ変わらない忠誠心が見えた。

ジャックは僕付きの護衛騎士だったけど、マーティンと違い気安い友人というよりは、ガチムチ、もといガチガチの硬派な騎士だった。

ジャックと初めて会ったのは僕が10歳くらいの時だった。しかも初めて会った日に彼から永遠の忠誠を誓われてあまりの重さに震えあがったのを覚えている。

しかも、無口で何を考えているのか分からない彼が僕は少し苦手だった。僕の周りの人は大体笑顔で僕と接していたというのもあるけれど。今思えば最初からずっとジャックは一生懸命僕に仕えようとしてくれていた。

それなのに僕はわざと彼から良く逃げてマーティンと悪戯ばかりしていた。それでも彼はただ僕を守ろうとしてくれたのに……それにジャックは僕を諫めてもくれた。

僕が女の子と遊びまくっている時には、

「婚約者がいる身でそのように遊び歩くのはいけません。節度をお持ちください」

としっかり叱ってくれた。

正直僕の周りの人は僕に期待していなかったのか僕をあまり諫めるような人はいなかった。叔父様は僕に言う言わない関係なく裏側で処理しちゃうタイプだし、レイズ殿下は軽く「だめだよ」とは言うけどそれ以上はしつこく言わないし、マーティンは一緒にウェイしていたんで、うん、後もうひとりいた彼もあまり僕に口うるさい子ではなかった。なんだろう崇拝している感じだった。

(あんなことになってしまった僕なんて、例え忠誠を誓っても、もう王太子でもないし捨ててくれてよかったのに)

そう思いながら、変わらないその姿になんだか酷く安心した。全てがいきなり変わってしまったから。

王太子だった時からも都内在住だった時からも今の状況は逸脱している。けれどジャックは決して変わらない。変わらず僕に忠義を尽くしてくれる。なんだか色々失っているけど確かに失わないですんでいるものもあると実感すると泣きたい気持ちになった。

「ありがとう。でも僕はもう平民で、なんなら奴隷寄りの身分だし……君のが位も上だろう?」

「俺は貴方に永遠の忠誠を誓っております。今更身分など関係ありません。それに、もしもルーク殿下が望むなら俺はいつでもどこまでもお供いたします。たとえそれが地獄でも殿下を見離したりいたしません」

迷いひとつない真摯な言葉だった。ジャックはどこまでも真面目で実直な人だ。正直、ダメダメなルークなのに何故かジャックは救国の英雄である叔父様でも、兄であるレイズ殿下でも、その他の優秀な高位貴族でもなく僕に変わらぬ忠誠の誓いをしてくれた。

今は表情が見えないけど僕にはジャックの澄みきった瞳が見えている気がした。

「……もし僕が地獄にいかないといけない時も必ずついてきてくれる?」

「もちろん。貴方は俺の永遠の主です」

その言葉に、僕はあるひとつの決意をする。

(この屋敷から、エドワードに頼んで出してもらおう。その際にジャックにもついてきてもらおう)

エドワードへの疑念は消えていないが、ジャックについては信じられる。叔父様には申し訳ないけどこのまま溺愛されて甘やかされたら「ダメダメ廃嫡元王太子ルーク(人間としての尊厳にマイナス補正有)」から「快楽堕ち廃嫡元王太子ルーク(人間としての尊厳はとうに捨てた)」に進化してしまう……いや退化してしまう。

最近の僕の体の感じからその時が近づいている。それだけはちゃんと回避する必要がある。

そう固い決意を胸に、とりあえずお腹が空いたので僕は夕飯を食べることにした。
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