【第1部終了】断罪されて廃嫡された元王子に転生した僕は救国の英雄の叔父に監禁されえげつない目にあうようです

ひよこ麺

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番外編:グレゴリー編

02.なんか気持ち悪い感じがする男との出会い(グレゴリー(狂信者)編)

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一応、国賓として僕は堂々とイガルク帝国へ入国した。表向きは両国の条約に関する見直しという話になっているが実際はこの国に、誘拐されているはずのルーク殿下を探すことが一番重要なミッションだ。

(安心してください、ルーク殿下。必ずやこのグレゴリー、貴方を悪の公爵からお救いいたします!!)

真っ赤に燃える真昼の太陽に誓いを立てる。かの国はとても熱いことで有名だ。リゾート地といえば聞こえは良いが暑さがあまり得意ではない僕にとってはルーク殿下のことがなければ死んでも来る気はなかった。

大体、僕は日焼けすると真っ赤になるタイプである。ちなみにルーク殿下は神で自らが照り輝く太陽なので日焼けはあまりしないし、マーティンのバカは真っ黒に焼けるが全く問題ないらしい。

そのため、日差しの強い場所に行くとき、僕が日傘やスキンケアをかかさないでしていたらマーティンに「グレゴリーなんか深窓の令嬢みたいなんよ」と言われて、それを聞いたルーク殿下が「深窓の令嬢ってなんかえっちな響きだよね、僕、結構好き」と言ってそこからなぜか好みの女性の話とか猥談大会になるという珍事が昔あったなと思い出した。

ちなみに僕は「深窓の令嬢より神の代行者であるルーク殿下の方が一番美しいと感じます」と真実を口にしたところ、まるで氷点下くらいその場の気温が低くなったが未だに理由が分からないし、マーティンに「狂信者こわいんよ。なんで女の子の好みの話にルークがでてくるんよ」とか言われたが全ての根源であるルーク殿下が何故話に出ないと思っているのかその理由を本当は小一時間は問い詰めたかった。

そんな、昔のことを考えているうちに、僕はイガルク帝国へたどり着いていた。

かつて美しい竜神とその番により建国されたとされるこの国の王族は、かのルーク殿下略奪事件の首謀者であるガルシア公爵にそっくりの銀髪に碧眼だ。

特に、現皇帝はまるで双子のように瓜ふたつで年齢も同じらしいが、ふたりは従兄弟の関係らしい。

僕は、王宮にたどり着いて一緒に来ている護衛と共に貴賓室に、招かれた。しかし、なぜか王宮内がざわついていることに先ほどから気付いていた。

(なんだ??何かあったのか。まさかルーク殿下の御身に関わることか??)

その場合、こんなに悠長にしている場合ではないので、僕はこっそり聞き耳を立てた。

「おいおい、プロキオン王国からの使者の方がいらっしゃるってことだったのに皇帝陛下はご不在じゃないか」

「わわわ、スケジュール管理どうなっていたんだよ。急遽番様が見つかってハネムーンに行かれたのだぞ」

「ハネムーンっていつ頃も戻るんだ??」

「うーん、わからないが1ヶ月は戻らないかもしれないな」


ルーク殿下の御身には関係なさそうだが、どうやら、こちらの国との約束を無視して皇帝は、結婚して新婚旅行中とのことだ。これについては一応対等な同盟国である我が国に対してとても失礼な行為としか言えない。

これがルーク殿下捜索が主体でなければ、怒って帰っても仕方ないほど失礼な話である。

(しかし、別にイガルク帝国とことを構える気はないが、さすがに釘のひとつは刺す必要はあるかもしれない)

ルーク殿下捜索と国賓としての役割の狭間で揺れ動いていたところ、なんか物凄い覇気のない男が僕の前にやってきた。

「初めまして、偉大なるプロキオン王国の使者の方。僕はこの国で皇帝陛下の側近をしております宮廷魔術師のリーンハルト・アンブローズ・マーリンと申します、えっ」

完全に死んでいた顔が何故か表情を変えた。よく見れば中々悪くない綺麗な顔立ちをしている。まぁ、至宝たるルーク殿下の足元にも及ばないが。

「初めまして、今回父の代わりにこちらの国との条約の確認に参りました、グレゴリー・ヴィヴィアン・ベルダンディと申します。ベルダンディ公爵家の嫡男で父の代わりに今回こちらへ使者として参りました」

お互いに握手を交わすが正直ただの礼儀であり、対等の立場ですという表明なので他意はない。それなのに何故か、リーンハルトという男が生き生きした顔で顔を赤らめている。なんなら握手した手を撫で回された。

(なんだこいつ……気色悪いな。しかし他国の要人に失礼な真似はできないが……)

「あっ、えっとグレゴリー様。申し訳ございません。我が国の皇帝陛下は急遽の用事で留守でございまして、私の方でお話しさせて頂きます」

「そうでしたか。では早速……」

僕とリーンハルトはしばらく真面目な本題を話し合った。最初は気持ち悪い変態かと誤解しかけたが中々頭の回る賢い人物だと話していてわかった。

そして、ある程度話し合いがすんだところで、さりげなくルーク殿下について聞き出そうとしたのだが……。会談中は問題なかったリーンハルトが完全にまた覇気をなくしている。むしろ若干死にかけている。たまにルーク殿下が僕と父上に挟まれた時にするまるで魚が死んだような眼差しをしている。

ルーク殿下ならそんな目になっても元が至宝なので問題ないが、この男はルーク殿下ではないのでそんな状態でいられるのはなんとなく気まずかったため、さりげなく質問してみた。

「リーンハルト殿は、先ほどからお疲れのようですが何かあったのですか??あるいは体調不良等があるなら大体の話はできましたので今日は無理はしない方が良いかと」

「お気遣い頂き申し訳ない。単純に燃え尽き症候群なだけでして……」

「燃え尽き症候群??」

首を傾げた僕にリーンハルトは憂いを帯びた表情で語り始めた。

「あの、気色悪く思われるかもしれませんが、僕には推しがおりまして、皇帝陛下なんですが、その推しにこれまた推せる魔法少女系の素敵な推しが出来たのですが……ふたりがラブラブメロキュンになって、本来喜ぶべきことなのですがなんだかおふたりと離れてからは燃え尽きてしまって……」

「推しと距離が離れて、推し活が落ち着いたのですか??僕には理解しがたいですが、そういう人もいると聞くのであまり気落ちされないでも良いかと」

「いえ、それだけでなく、今まではただ、推しが尊いとしか思っていなかったのに、そもそも幸せそうなふたりを見て最近は楽しい気持ちより羨ましいと思ってしまって純粋に推せなくなっている自分に気付いて、自己嫌悪に陥っていたのです。このままだと、推しの幸せを喜べないで嫉妬してしまいそうで……」

その言葉に、母の言葉、具体的には推し3訓が蘇ってきた。そして、目の前の男が完全に推しに対してよからぬことを考え出しているということをなんとなく察知した僕は思わず叫んでいた。

「ふざけるな!!推しを害する感情が湧いたなら推すのをやめろ!!神である推しを不幸にするなど絶対にあってはいけないことだ!!」

しまったと思ったが、遅かった。国同士の話し合いの席で思わず持論を展開してしまった。

僕は恐る恐るリーンハルトを見る。驚いたような顔をしていたが、なぜか口角が完全に上がっているし、もっというとさっき握手した時より顔が赤い。

(なんだこの男、罵られるのが好きな特殊な趣味の人か??)

「ありがとうございます、貴方のおかげで僕は正気になれました。そうですね、推しに嫉妬するなど潮時ですね。むしろ、神は僕に運命と向き合えと告げているのかもしれません」

そう赤くなりながら意味深なことを言うリーンハルト。

この時、僕はただなんか気持ち悪い男だな程度にしか彼に対して感じるものはなかったが、この男は違っていたこと、そしてこの後、想像もしていなかった展開をこの先で迎えることなど知る由もなかった。
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