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番外編:グレゴリー編
09.ルーク殿下にメッされてしまった(グレゴリー(狂信者)編)
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とりあえず一旦、落ち着くために僕らは、遊園地のレストランに入った。中は適度にざわざわしている。しかし僕の心はその明るさとひきかえ昏い気持ちだった。
「グレゴリー、あのね、逃げていた僕が言うのもなんだけど、流石に僕とマクスのデートを邪魔するのはダメです、メッです」
「申し訳ありません。僕はルーク殿下が魔獣に襲われたと勘違いしてしまい、ご迷惑を」
普段あまり怒らないルーク殿下にメッとされて、申し訳なさで思わず上目遣いで許しを乞うってしまう。その僕の眼差しにルーク殿下がなんだろうとても慈愛深い瞳でこちらを困ったように見始めた。
「くうう、グレゴリー、某金融会社のCMの可愛いチワワみたいな目で見ても駄目です、僕が動物に優しい男って分かってやれるほど君があざとい人間でないことはよく知っているけど、その目はだめです。なんか怒れなくなるので」
「ううっ、ルーク殿下を困らせるなんて、僕は……もう目を潰すしか……」
「だめ!!なんでそう極端なの、やめて。グレゴリー、僕は君に怒っていますよということが分かってもらえればそれ以上は望まないの!!後ね、できれば君に君のお父さんを説得してほしいんだよね。僕は君は確かに狂信者だけど、まだ話せばわかるんじゃないかと思っているんだけど、君のお父さんは違う。僕が何言っても多分マクスになんかすると思うんだよ。例えば、そのもっている剣で刺すとかね。絶対だめだからね。これはフリじゃないよ??」
その言葉に僕はよくわからなくなり首を傾げた。何故父上が出てくるのだろう。
「あの、ルーク殿下、何故父上が出てくるのですか??それに、その……僕は父上からの密命を受けてルーク殿下が本当にガルシア公爵を愛しているかを確認し、無理やり誑かされたなら、この剣でうち滅ぼせと……」
「こわいこわいこわい!!やめて。僕とマクスはちゃんと愛し合ってます。そうですよね、マクス」
そう、ずっとハムスターくらい頬袋を蓄えていた憎きガルシア公爵が急にキリっとしたいつもの顔になり、答えた。
「そうだ。僕とルークは愛し合っている。これは無理やり言わせたりしていない。なんなら希望なら君の目の前で口づけをしてもよい」
「えっ、あのマクス、人前は恥ずかしいです。そういうのはふたりの時にしましょう??」
「ああ、じゃあ、今夜ゆっくりしようか」
お互い熱い眼差しを向け合うふたりを僕は凝視する。とても幸せそうなルーク殿下。つまり推しは幸せなのだ。しかし、僕には使命がある。しっかりとこの耳で推しの意思を聞くのだ、そう母上の言葉が脳裏に浮かぶ。
『もしガルシア公爵様と愛し合い幸せであるならば、それは喜ぶべきことで嘆くことではありません。大切なのはルーク殿下のご意思か否かです』
(しっかりとそれについて確認しよう)
「ルーク殿下、ルーク殿下はガルシア公爵を愛していますか??無理やり性行為などを強要されておりませんか」
「グレゴリー、君から性行為って聞くとなんかすごい悪いことしている気持ちになるからあんまり僕の前では言わないですね。僕は動物には優しいので。それについては、もちろん愛し合ってます。そうじゃなきゃふたりでデートしたりしないし、それ以上もしないからね」
真っ赤な顔で、しかし、しっかりとそれを肯定するルーク殿下。涙があふれて視界が完全に歪む。
(これは、喜ぶべきことで嘆くことじゃないんだ、けれど……)
それでもずっと大好きだった推しが他人のものになったと思うとどうしても、胸が痛い。幼い日に一目お会いした日からお慕いしていた御方だ。自身と結ばれることはけしてないと知っていた。
(それでも、ずっと僕は……)
「グレッグ、いいんだよ。泣いていいんだ。君は誰よりもルーク殿下が好きだった、応援していたんだ。だから我慢しないでお泣き、なんなら僕の胸の中も空いているからね」
そう言って僕の涙を拭ったリーンハルトが両手を開いていたが、僕はそれを無視した。とりあえずひとりで泣きたかったのだ。
しかし、ちょうどハンカチがなかったので、涙を拭ったハンカチは貸してもらい思い切り涙を拭ってから、垂れそうだった鼻もかみ、そのままハンカチが汚くなったのでこれは捨てて新しいものを弁償しようと、一旦それを持ち帰ろうとしたら何故かリーンハルトにハンカチを回収された。
丁寧にビニール袋にいれていたので、流石に鼻をかみ汚いから代わりに捨ててくれるのかと思いながら、何故か嬉々としていた気がした。ごみ捨てが好きなのだろうか。
「ありがとう。すまない。ハンカチは後で弁償する」
「えっ、大丈夫だよ、グレッグ。もう君は僕の花嫁になるのだからそんな細かいことは……」
「結婚するしないに関わらず、それは人としてよくない。ちゃんと借りは返す」
そう言い切るとそれはそれは甘い甘い砂糖菓子みたいな蕩けた目になったリーンハルトが、ふわりという風に笑った。その顔は嫌いじゃないと一瞬思ったことは不覚なので忘れよう。
「グレゴリー。よかった。僕以外の推しをみつけたのだね」
何故かすごく嬉しそうに微笑むルーク殿下とその横でまたハムスター化しているガルシア公爵。
「違います、彼は推しではなく……」
「僕は、グレッグの結婚相手で旦那さんです、ルーク殿下」
「えっ、グレゴリー。おめでとう!!よかった、これで狂った信仰、もとい僕より大切な人ができたね」
「いえ、ルーク殿下への忠誠は……」
「そうです、グレッグは僕が世界で一番幸せにしますのでご安心ください」
キリっと音がしそうな真面目な顔になったリーンハルトがピシャリと告げる。そのあまりにも曇りなく狂った眼にもう何か言う気にはなれなかった。
「グレゴリー、あのね、逃げていた僕が言うのもなんだけど、流石に僕とマクスのデートを邪魔するのはダメです、メッです」
「申し訳ありません。僕はルーク殿下が魔獣に襲われたと勘違いしてしまい、ご迷惑を」
普段あまり怒らないルーク殿下にメッとされて、申し訳なさで思わず上目遣いで許しを乞うってしまう。その僕の眼差しにルーク殿下がなんだろうとても慈愛深い瞳でこちらを困ったように見始めた。
「くうう、グレゴリー、某金融会社のCMの可愛いチワワみたいな目で見ても駄目です、僕が動物に優しい男って分かってやれるほど君があざとい人間でないことはよく知っているけど、その目はだめです。なんか怒れなくなるので」
「ううっ、ルーク殿下を困らせるなんて、僕は……もう目を潰すしか……」
「だめ!!なんでそう極端なの、やめて。グレゴリー、僕は君に怒っていますよということが分かってもらえればそれ以上は望まないの!!後ね、できれば君に君のお父さんを説得してほしいんだよね。僕は君は確かに狂信者だけど、まだ話せばわかるんじゃないかと思っているんだけど、君のお父さんは違う。僕が何言っても多分マクスになんかすると思うんだよ。例えば、そのもっている剣で刺すとかね。絶対だめだからね。これはフリじゃないよ??」
その言葉に僕はよくわからなくなり首を傾げた。何故父上が出てくるのだろう。
「あの、ルーク殿下、何故父上が出てくるのですか??それに、その……僕は父上からの密命を受けてルーク殿下が本当にガルシア公爵を愛しているかを確認し、無理やり誑かされたなら、この剣でうち滅ぼせと……」
「こわいこわいこわい!!やめて。僕とマクスはちゃんと愛し合ってます。そうですよね、マクス」
そう、ずっとハムスターくらい頬袋を蓄えていた憎きガルシア公爵が急にキリっとしたいつもの顔になり、答えた。
「そうだ。僕とルークは愛し合っている。これは無理やり言わせたりしていない。なんなら希望なら君の目の前で口づけをしてもよい」
「えっ、あのマクス、人前は恥ずかしいです。そういうのはふたりの時にしましょう??」
「ああ、じゃあ、今夜ゆっくりしようか」
お互い熱い眼差しを向け合うふたりを僕は凝視する。とても幸せそうなルーク殿下。つまり推しは幸せなのだ。しかし、僕には使命がある。しっかりとこの耳で推しの意思を聞くのだ、そう母上の言葉が脳裏に浮かぶ。
『もしガルシア公爵様と愛し合い幸せであるならば、それは喜ぶべきことで嘆くことではありません。大切なのはルーク殿下のご意思か否かです』
(しっかりとそれについて確認しよう)
「ルーク殿下、ルーク殿下はガルシア公爵を愛していますか??無理やり性行為などを強要されておりませんか」
「グレゴリー、君から性行為って聞くとなんかすごい悪いことしている気持ちになるからあんまり僕の前では言わないですね。僕は動物には優しいので。それについては、もちろん愛し合ってます。そうじゃなきゃふたりでデートしたりしないし、それ以上もしないからね」
真っ赤な顔で、しかし、しっかりとそれを肯定するルーク殿下。涙があふれて視界が完全に歪む。
(これは、喜ぶべきことで嘆くことじゃないんだ、けれど……)
それでもずっと大好きだった推しが他人のものになったと思うとどうしても、胸が痛い。幼い日に一目お会いした日からお慕いしていた御方だ。自身と結ばれることはけしてないと知っていた。
(それでも、ずっと僕は……)
「グレッグ、いいんだよ。泣いていいんだ。君は誰よりもルーク殿下が好きだった、応援していたんだ。だから我慢しないでお泣き、なんなら僕の胸の中も空いているからね」
そう言って僕の涙を拭ったリーンハルトが両手を開いていたが、僕はそれを無視した。とりあえずひとりで泣きたかったのだ。
しかし、ちょうどハンカチがなかったので、涙を拭ったハンカチは貸してもらい思い切り涙を拭ってから、垂れそうだった鼻もかみ、そのままハンカチが汚くなったのでこれは捨てて新しいものを弁償しようと、一旦それを持ち帰ろうとしたら何故かリーンハルトにハンカチを回収された。
丁寧にビニール袋にいれていたので、流石に鼻をかみ汚いから代わりに捨ててくれるのかと思いながら、何故か嬉々としていた気がした。ごみ捨てが好きなのだろうか。
「ありがとう。すまない。ハンカチは後で弁償する」
「えっ、大丈夫だよ、グレッグ。もう君は僕の花嫁になるのだからそんな細かいことは……」
「結婚するしないに関わらず、それは人としてよくない。ちゃんと借りは返す」
そう言い切るとそれはそれは甘い甘い砂糖菓子みたいな蕩けた目になったリーンハルトが、ふわりという風に笑った。その顔は嫌いじゃないと一瞬思ったことは不覚なので忘れよう。
「グレゴリー。よかった。僕以外の推しをみつけたのだね」
何故かすごく嬉しそうに微笑むルーク殿下とその横でまたハムスター化しているガルシア公爵。
「違います、彼は推しではなく……」
「僕は、グレッグの結婚相手で旦那さんです、ルーク殿下」
「えっ、グレゴリー。おめでとう!!よかった、これで狂った信仰、もとい僕より大切な人ができたね」
「いえ、ルーク殿下への忠誠は……」
「そうです、グレッグは僕が世界で一番幸せにしますのでご安心ください」
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