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第四章:太陽の国と皇太子
53.太陽の皇太子と不幸令嬢
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「陛下、レミリアの様子はいかがですか」
「変わりない、本当になんと可哀そうなことをしてしまったことか」
「陛下、過ぎてしまったことは悔やんでも仕方ありません。これから我々は全力で家族としてレミリアを大切にするべきです」
ルイの元を訪れた、皇太子でありルイから見たらレミリア同様に孫息子に当たるカール・ホルス・サンソレイユが眠る自身の従兄弟を気づかわし気に見つめている。
本来であれば王太子はルイの息子のいずれかが継ぐはずだったが、何故かルイの息子たちには早死にが多く、最終的に一番上の息子の長男であり優秀なカールが皇太子となっている。それは全ての王族の総意でもあった。
カールはサンソレイユ帝国の王族の特徴である、黒髪に黄金の瞳と、母親譲りの褐色の肌をした端正な顔立ちの青年でありまさに太陽の化身と呼ばれるにふさわしい風貌をしていた。
「そうだな。目を覚ましさぇしてくれれば、傷がすぐには癒えなくてもゆっくり時間をかけて我々が大切にしてあげよう、海の国のことなど関係ない」
先ほどまで、珍しくしょげているように見えたルイが本来の姿を取り戻したことにカールは安堵していた。
(彼女がレミリが意識を取り戻してくれたなら……)
その国々で美醜とは変わるものだが、太陽の国においてもっとも美しいとされるのは金髪や淡い色の髪ではなく、漆黒の艶やかな髪とされている。そして瞳は黄金に近ければ近いほど高貴で好まれた。今は閉じているがレミリアの瞳は最も高貴な金色をしているのをカールは知っていた。
レミリアの姿絵は過去に見たことがあるが、初めて異国にいるという家族の少女の姿絵を見た時、カールに衝撃が走ったのを今も忘れてはいない。
太陽の国の王侯貴族は基本的にハーレムを持ち、沢山の妻を娶るものだが、カールは現在までに妻を娶っていない。
表向きは、まだ未熟だからといっていたが、実際は少し違う。カールは姿絵のレミリアに一目惚れして以来、他の女性を愛することができなかったのだ。そしてそんな不誠実な状態で妻を娶ることが、カール自身許せなかったのだ。
しかし、あくまで実際に会った訳でもない少女に恋をし続ける訳にもいかず、そろそろ妻を娶ろうとした矢先に今回の事件が起きた。
その結果、まさに目の前に長年密かに恋心を抱いていた彼女がいるのだ。
「大丈夫だ、俺が君を必ず目覚めさせよう」
まだ眠りレミリアの手を両手で包む。とても冷たくまるで死人のようだった。それがとても悲しかったが今はとにかく出来ることを考えるべきだとカールは前を向く。
「レミリアが目覚めない原因はなんだ?」
「変わりない、本当になんと可哀そうなことをしてしまったことか」
「陛下、過ぎてしまったことは悔やんでも仕方ありません。これから我々は全力で家族としてレミリアを大切にするべきです」
ルイの元を訪れた、皇太子でありルイから見たらレミリア同様に孫息子に当たるカール・ホルス・サンソレイユが眠る自身の従兄弟を気づかわし気に見つめている。
本来であれば王太子はルイの息子のいずれかが継ぐはずだったが、何故かルイの息子たちには早死にが多く、最終的に一番上の息子の長男であり優秀なカールが皇太子となっている。それは全ての王族の総意でもあった。
カールはサンソレイユ帝国の王族の特徴である、黒髪に黄金の瞳と、母親譲りの褐色の肌をした端正な顔立ちの青年でありまさに太陽の化身と呼ばれるにふさわしい風貌をしていた。
「そうだな。目を覚ましさぇしてくれれば、傷がすぐには癒えなくてもゆっくり時間をかけて我々が大切にしてあげよう、海の国のことなど関係ない」
先ほどまで、珍しくしょげているように見えたルイが本来の姿を取り戻したことにカールは安堵していた。
(彼女がレミリが意識を取り戻してくれたなら……)
その国々で美醜とは変わるものだが、太陽の国においてもっとも美しいとされるのは金髪や淡い色の髪ではなく、漆黒の艶やかな髪とされている。そして瞳は黄金に近ければ近いほど高貴で好まれた。今は閉じているがレミリアの瞳は最も高貴な金色をしているのをカールは知っていた。
レミリアの姿絵は過去に見たことがあるが、初めて異国にいるという家族の少女の姿絵を見た時、カールに衝撃が走ったのを今も忘れてはいない。
太陽の国の王侯貴族は基本的にハーレムを持ち、沢山の妻を娶るものだが、カールは現在までに妻を娶っていない。
表向きは、まだ未熟だからといっていたが、実際は少し違う。カールは姿絵のレミリアに一目惚れして以来、他の女性を愛することができなかったのだ。そしてそんな不誠実な状態で妻を娶ることが、カール自身許せなかったのだ。
しかし、あくまで実際に会った訳でもない少女に恋をし続ける訳にもいかず、そろそろ妻を娶ろうとした矢先に今回の事件が起きた。
その結果、まさに目の前に長年密かに恋心を抱いていた彼女がいるのだ。
「大丈夫だ、俺が君を必ず目覚めさせよう」
まだ眠りレミリアの手を両手で包む。とても冷たくまるで死人のようだった。それがとても悲しかったが今はとにかく出来ることを考えるべきだとカールは前を向く。
「レミリアが目覚めない原因はなんだ?」
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