世にも不幸なレミリア令嬢は失踪しました

ひよこ麺

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最終章:さようなら、れんごくの国と不幸令嬢

133.怨念の王子と不幸令嬢

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「救う??何を言っているんだ。ルーは俺のものだ。ずっとずっと、俺だけのものになるのが正しいんだ」

「ルーはものではないわ。それにルーは貴方を愛していない」

「お前が何と言おうが関係ない。ルーと俺は永遠に結ばれる運命の相手。誰も入り込むことなんてできない」

狂気に満ちたその瞳がレミリアを睨んでいる。しかし、レミリアも引くつもりはない。真正面からその狂気の瞳を睨み返す。

「ルーを不幸にしてまで自身を通しても、貴方もルーも幸せではない」

「幸せさ。ルーは俺と居れば幸せになれる。折角ルーと契りを交わそうとしたのに、また、お前が邪魔をした。どこまでも邪魔な女だ」

黒い何かが、レミリアに向けて放たれた。それは怨念の塊のようなもの。何百年もの長い時をかけて歪んで狂った想いが生み出した禍々しい産物。

それは真っすぐにレミリアを貫く刃のような形に変わる。

「!!」

間一髪で躱したレミリアだったが、すぐにまたそれは放たれた。流石にそれをかわすほどにはレミリアの動きは早くはなかった。

(まずい、これを受けてしまったら……今度こそ、愛を貫くと誓った。大切な人を守り抜きたいと。それなのに……)

黒い無慈悲な刃がレミリアを貫こうとした時だった。

「危ない!!」

レミリアの体は間一髪で刃を避けた。しかし……。レミリアの目の前が鮮血で染まった。それは、レミリアを愛していないはずの父、ヴァーミリオン公爵だった。

「う、うそ……どうしてお父様が……」

あまりの事態に目を見開くレミリアに胸を貫かれて鮮血に染まった父、ヴァーミリオン公爵が何故か微笑んでいた。

(お父様の笑顔なんて見たことなかったのに……)

ずっと、義母と義妹のところにいて、レミリアのところにはほとんど訪れなかった父。さみしい時も辛い時も側に居なかった人。

そして、私が王城へ住むようになってからはなおさら疎遠になったはずの、肉親と呼ぶにはあまりにも遠いはずのその人に庇われたことがレミリアにはしんじられなかった。

「どうして、こんな……」

「レミリア……怪我はないか??」

口から血をこぼしながら、それでもレミリアに微笑む姿に、震えが止まらない。それは恐怖なのか悲しみなのか分からない感情をレミリアに沸き立たせた。

「今度こそ……」

そんな親子のやり取りの背後で再びトリスは刃を放つ、しかし……。

「親子の対面に水を差すな」

「……お前は」

手をかざして、刃をヨミが魔法であっさりと消した。そして、その顔から確かな怒りが感じ取れた。
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