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11:群衆にも響いたイケメティックダウト
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あの後、私の国では兄上が全てを説得(と言う名の流血沙汰)して、私はレオンハルト殿下に嫁ぐことが問題なく承認された。
最後にお別れの挨拶をした時、父上が物凄くボコボコだったのは何故だろうとも思ったけれど、きっと美しい私との別れが寂しすぎて『イケメティックショック』を起こしたに違いない。
ちなみに『イケメティックショック』とは、美しすぎる私を見た人が身の裡のパシオンを抑えられなれなくなり、「イケメティックショック」と魂の咆哮を叫びながら全力で憤死する勢いで壁にタックルを繰り返す行為であり、たまに王城で起きる悲しい事象だ。父上もそれによりボコボコになったのだろう。
美しいとは時に知らないところで残酷な事態を巻き起こしてしまうものらしい、とても悲しいけど。
(※ルーンの妄想とは違い、単純に兄上によりルーンに何かしたものが色々な手段でボコボコにされているだけです)
そうして、隣国へレオンハルト殿下のご家族に挨拶するためについて行ったのだけれど……。
「「レオンハルト殿下!!我々は変態王子等との婚姻は認めません!!」」
「「そうだそうだ!!獣人を変質的な目で見て追いかけまわす変態にネコ科の王子を渡すわけにはいきません!!」」
「「変態は出て行け!!」」
レオンハルト殿下とふたりで王城の前に止めた馬車から下りるなり、恐ろしい数の群衆に取り囲まれていた。
彼等は隣国の民衆でレオンハルト殿下を崇拝している人々らしく物凄い人数である。
噂には聞いていたけれど、隣国でのレオンハルト殿下の人気はすさまじいらしい。
実は、隣国ではライオン獣人の男性王族がなかなか生まれなかったそうで、レオンハルト殿下は久々に誕生したまさに王となるべき存在なのだそうだ。
ちなみに、その他の兄弟は、レオンハルト殿下の歳の離れた弟でまだ幼い豹のもふ、もとい獣人のファハド殿下と、妹で年子の猫の獣人のマルガリータ殿下がいらっしゃるそうだ。
なお、家族仲は良いので私についても祝福されているとのことだった。
しかし、レオンハルト殿下を崇拝し、よくその足元にひれ伏しているらしい民衆からは、私の前評判が悪すぎて、過激派は毎日抗議デモを行っているらしい。
実際、目の前の群衆はスクラムを組んで私に襲い掛かろうとしていた。
「やめろ!!俺の番に手を出すヤツは……」
威厳たっぷりに止めようとしたレオンハルト殿下より先に踊り出た人物がいた、それは……。
「ふざけるな!!俺の愚弟に手を出すとは死にたいのか!!!(ふざけるな!!私の可愛い弟に手を出すなど殺してやります!!!主に八つ裂きにします)」
スクラムに、恐ろしいほどの殺気を放ち睨みを効かす兄上。
兄上は肉食獣ではないけれど、それこそ大魔王みたいな気を放ちながら獣人を威圧しているため誰も逆らえず場は静まり返っている。
確か、兄上と私の母上は高位魔族、具体的には現魔王様のひとり娘だったらしいので、兄上が、この世の全てを震えさせるような恐ろしい気を放つのは仕方ない。
しかし、その沈黙を破るように群衆の中のひとりが疑問を投げかけた。
「と、ところで、その……美しい人は誰ですか??てっきり変態王子と噂のこの男とレオンハルト殿下がいらしたのかとおもったのですが、えっと、見たことない美しい人をレオンハルト殿下が連れていたのでその……」
その手に私と似ても似つかない顔が描かれていた。例えるなら「りんご」を見て「ばなな」という頭の悪い人みたいな絵だった。(※気になった方は、「頭の悪い人」「バナナ」で検索)
なお、私の美しさに目のくらんでいる先ほどの言葉を言った狼の獣人は、その尻尾が小刻みに揺れている。
非常にチャーミングで、ああ、もふもふしたい。
なんてナイスモフモフだろう。オレー!いけない、もふ発作がでそうだ。
レオンハルト殿下と婚約したので、基本的に虎の皮とレオンハルト殿下以外はもふらない約束をしたのだ、しかし、この溢れるパシオンを抑えられない。
私は耐え切れず、先ほどから私を守るように抱きしめているレオンハルト王子の尻尾の上をトントンした。「ひゅあ!!」っと一瞬甘い声を出した後レオンハルト王子は私をガシっと抱きしめた。
「みんなの前で、尻尾トントンはだめだろう、ルーンたん。メッだぞ」
レオンハルト王子のその言葉に、群衆からざわめきが起きた。
「ルーンたん??えっ、あの麗しいライオンの殿下が??ネコ科最強の殿下が、嘘だ!!ルーンたんって!!」
「ああ、我らのレオンハルト王子の尻尾の上をトントン、間違いないあの変態的手腕はルーン。ヴァレッド。ってルーンたん、いいな。俺もたんよびされたい」
「し、しかし、全然この絵似ていないじゃないか!!」
「う、嘘、アレが変態王子??無理、好き、すごい素敵。むしろファンになりそう。てか尻尾トントンしてほしい」
「はぁはぁ、ルーンたん。いいねルーンたんかわよぃ、はぁはぁ」
など、先ほどまで殺気立っていたはずがとても穏やかで生ぬるくちょっと生臭い、具体的にはイカっぽいかおりのする空気になった。
一時は一触即発かもと思ったけれど、兄上の気迫と私の美しさでなんとか解決できたらしい。やはり美と筋肉は裏切らないということだろう。
それから迎えられた王城では、カッコイイ黒い豹の獣人のレオンハルト殿下の父上である国王様と、その奥様で隣国から嫁がれた美しいライオンの獣人である王妃様というロイヤルなもふもふを見て色々昂ぶった。
特に……。
「てんししゃまが、おにいしゃまのつがいしゃまれふか??」
と小さな弟君である、ファハド殿下が私の下半身にじゃれついてきた時は、色々な理性が飛んでもふもふしかけたけれど、察したレオンハルト王子に阻まれて、結局レオンハルト王子をもふってもふりすぎてちょっと最後の方ビックンとしていたけれど、王城内だからパンツが多少濡れても大丈夫なはずだ。
(※あまり大丈夫ではないですが、王城内だったのですぐに下着は着替えたようです)
そうして、色々試練はあったけれど私とレオンハルト殿下は無事に婚約し、その数か月後、学園の卒業と同時に結婚することになった。
**************************************************
※次回最終回です!!
最後にお別れの挨拶をした時、父上が物凄くボコボコだったのは何故だろうとも思ったけれど、きっと美しい私との別れが寂しすぎて『イケメティックショック』を起こしたに違いない。
ちなみに『イケメティックショック』とは、美しすぎる私を見た人が身の裡のパシオンを抑えられなれなくなり、「イケメティックショック」と魂の咆哮を叫びながら全力で憤死する勢いで壁にタックルを繰り返す行為であり、たまに王城で起きる悲しい事象だ。父上もそれによりボコボコになったのだろう。
美しいとは時に知らないところで残酷な事態を巻き起こしてしまうものらしい、とても悲しいけど。
(※ルーンの妄想とは違い、単純に兄上によりルーンに何かしたものが色々な手段でボコボコにされているだけです)
そうして、隣国へレオンハルト殿下のご家族に挨拶するためについて行ったのだけれど……。
「「レオンハルト殿下!!我々は変態王子等との婚姻は認めません!!」」
「「そうだそうだ!!獣人を変質的な目で見て追いかけまわす変態にネコ科の王子を渡すわけにはいきません!!」」
「「変態は出て行け!!」」
レオンハルト殿下とふたりで王城の前に止めた馬車から下りるなり、恐ろしい数の群衆に取り囲まれていた。
彼等は隣国の民衆でレオンハルト殿下を崇拝している人々らしく物凄い人数である。
噂には聞いていたけれど、隣国でのレオンハルト殿下の人気はすさまじいらしい。
実は、隣国ではライオン獣人の男性王族がなかなか生まれなかったそうで、レオンハルト殿下は久々に誕生したまさに王となるべき存在なのだそうだ。
ちなみに、その他の兄弟は、レオンハルト殿下の歳の離れた弟でまだ幼い豹のもふ、もとい獣人のファハド殿下と、妹で年子の猫の獣人のマルガリータ殿下がいらっしゃるそうだ。
なお、家族仲は良いので私についても祝福されているとのことだった。
しかし、レオンハルト殿下を崇拝し、よくその足元にひれ伏しているらしい民衆からは、私の前評判が悪すぎて、過激派は毎日抗議デモを行っているらしい。
実際、目の前の群衆はスクラムを組んで私に襲い掛かろうとしていた。
「やめろ!!俺の番に手を出すヤツは……」
威厳たっぷりに止めようとしたレオンハルト殿下より先に踊り出た人物がいた、それは……。
「ふざけるな!!俺の愚弟に手を出すとは死にたいのか!!!(ふざけるな!!私の可愛い弟に手を出すなど殺してやります!!!主に八つ裂きにします)」
スクラムに、恐ろしいほどの殺気を放ち睨みを効かす兄上。
兄上は肉食獣ではないけれど、それこそ大魔王みたいな気を放ちながら獣人を威圧しているため誰も逆らえず場は静まり返っている。
確か、兄上と私の母上は高位魔族、具体的には現魔王様のひとり娘だったらしいので、兄上が、この世の全てを震えさせるような恐ろしい気を放つのは仕方ない。
しかし、その沈黙を破るように群衆の中のひとりが疑問を投げかけた。
「と、ところで、その……美しい人は誰ですか??てっきり変態王子と噂のこの男とレオンハルト殿下がいらしたのかとおもったのですが、えっと、見たことない美しい人をレオンハルト殿下が連れていたのでその……」
その手に私と似ても似つかない顔が描かれていた。例えるなら「りんご」を見て「ばなな」という頭の悪い人みたいな絵だった。(※気になった方は、「頭の悪い人」「バナナ」で検索)
なお、私の美しさに目のくらんでいる先ほどの言葉を言った狼の獣人は、その尻尾が小刻みに揺れている。
非常にチャーミングで、ああ、もふもふしたい。
なんてナイスモフモフだろう。オレー!いけない、もふ発作がでそうだ。
レオンハルト殿下と婚約したので、基本的に虎の皮とレオンハルト殿下以外はもふらない約束をしたのだ、しかし、この溢れるパシオンを抑えられない。
私は耐え切れず、先ほどから私を守るように抱きしめているレオンハルト王子の尻尾の上をトントンした。「ひゅあ!!」っと一瞬甘い声を出した後レオンハルト王子は私をガシっと抱きしめた。
「みんなの前で、尻尾トントンはだめだろう、ルーンたん。メッだぞ」
レオンハルト王子のその言葉に、群衆からざわめきが起きた。
「ルーンたん??えっ、あの麗しいライオンの殿下が??ネコ科最強の殿下が、嘘だ!!ルーンたんって!!」
「ああ、我らのレオンハルト王子の尻尾の上をトントン、間違いないあの変態的手腕はルーン。ヴァレッド。ってルーンたん、いいな。俺もたんよびされたい」
「し、しかし、全然この絵似ていないじゃないか!!」
「う、嘘、アレが変態王子??無理、好き、すごい素敵。むしろファンになりそう。てか尻尾トントンしてほしい」
「はぁはぁ、ルーンたん。いいねルーンたんかわよぃ、はぁはぁ」
など、先ほどまで殺気立っていたはずがとても穏やかで生ぬるくちょっと生臭い、具体的にはイカっぽいかおりのする空気になった。
一時は一触即発かもと思ったけれど、兄上の気迫と私の美しさでなんとか解決できたらしい。やはり美と筋肉は裏切らないということだろう。
それから迎えられた王城では、カッコイイ黒い豹の獣人のレオンハルト殿下の父上である国王様と、その奥様で隣国から嫁がれた美しいライオンの獣人である王妃様というロイヤルなもふもふを見て色々昂ぶった。
特に……。
「てんししゃまが、おにいしゃまのつがいしゃまれふか??」
と小さな弟君である、ファハド殿下が私の下半身にじゃれついてきた時は、色々な理性が飛んでもふもふしかけたけれど、察したレオンハルト王子に阻まれて、結局レオンハルト王子をもふってもふりすぎてちょっと最後の方ビックンとしていたけれど、王城内だからパンツが多少濡れても大丈夫なはずだ。
(※あまり大丈夫ではないですが、王城内だったのですぐに下着は着替えたようです)
そうして、色々試練はあったけれど私とレオンハルト殿下は無事に婚約し、その数か月後、学園の卒業と同時に結婚することになった。
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※次回最終回です!!
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