【本編完結】魔王と周りに恐れられる辺境伯ですが他人の婚約者に手を出したと噂の伯爵令息にずっと片思いしています

ひよこ麺

文字の大きさ
71 / 99

71.世界の半分をやるから仲間になれ

しおりを挟む
王城から戻った俺は、正直合流したくなかったがシオン大公が待つゲストハウスへ向かった。ここは王都にある辺境伯家のもので本来フルー大公家を招くことはない。しかし、今は自体が事態なので仕方ない。

「ギルフェル、浮かない顔をしてどうしたんだい??」

戻ってドアを開けて早々にそう言って顔をシオン大公に覗かれて危なく驚いて手が出そうになるのを必死にこらえた。弱みのある状態でこいつを殴るのは得策ではない。

俺は大きなため息をついた後、シオン大公をすごく微妙な顔で見た。

「お前の望みはなんだ、ひとつ叶えてやる」

「えっ!!ギルフェル、どうしたの??私としては魔王なギルフェルには世界の半分をやるから仲間になれとか言われたいけど……」

「世界の半分をやるから仲間になれ」

凄く投げやりにそういうと、シオン大公が見たことないような心配そうな顔をして俺の額に手を当てる。

「うん、冷たい。ギルフェル、ちゃんと栄養のあるものを食べて元気になってほしい、それが今の私の願いだよ」

「……わかった。本当にそんな願いでいいのか??キャンセルできないが……」

「いいよ。私はギルフェルが健康に魔王していてくれないと困るんだ。だって可哀そうな病気のギルフェルを監禁したら罪悪感が半端ない。元気なギルフェルだからこそ監禁して鎖で縛って抵抗するんだよ??抵抗しないギルフェルは可哀そうで流石に監禁しかできないもの。うん、とりあえず元気になっておくれ」

言っていることは割と変態じみていたが、平常時がひどすぎるのでまともに見える。不良が捨て猫可愛がっているといい子に見えるのと似ている現象を発揮しているシオン大公に俺は「承知した」と頷いた。

その様子に、シオン大公はものすごく心配したような顔になる。

「本当にどうしたのギルフェル??まさか実の伯父さんである国王陛下に何かされて……」

「違う。ただ、この国はフルー公国の大公の弟を人質として預かっていたのに、死んでしまった。と嘘をついていた。その上、現在返還を要求している家族にその子を返さずあまつさえ犯罪の片棒を担ぎながらも、証拠不十分で解放された評判の悪い令嬢と結婚させようとしている。その可哀そうな大公様の弟が場合……国際問題となる。その際にフルー公国は我が国に要求をすることができる」

「……ん?ちょっと待ってギルフェル、まさか……」

「お前は、俺にひとつ何かお願いができることになる。だから、俺は確認したんだ。そしてお前は俺の健康を望んだので、それを受理し……」

「そう言うことなら、ギルフェルのていそ……」

「俺はキャンセル不可と言った。これで手打ちだ。変更はできない」

その言葉に、急にシオン大公がふっくらとほほを膨らます。ぶりっ子っぽい態度は顔だけなら似合うがこいつの性格を知っている身の上としては寒気がした。

「えええ!!酷い、ギルフェルの鬼、悪魔、魔王。あ、うん。そうだよギルフェルは魔王だね!!いや、でもこれは酷い。私の優しさに漬け込むなんて、くううう、好き、抱きたい。ギルフェルのはじめてがほしい。……まぁ、でも私は、君から合法的に抱かせてもらうより無理やり犯したいからいいや、うん」

何かとても恐ろしい決意をしているシオン大公を俺は一旦無視した。現実逃避かもしれない。
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない

砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。 自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。 ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。 とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。 恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。 ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。 落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!? 最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。 12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生

悪役令息物語~呪われた悪役令息は、追放先でスパダリたちに愛欲を注がれる~

トモモト ヨシユキ
BL
魔法を使い魔力が少なくなると発情しちゃう呪いをかけられた僕は、聖者を誘惑した罪で婚約破棄されたうえ辺境へ追放される。 しかし、もと婚約者である王女の企みによって山賊に襲われる。 貞操の危機を救ってくれたのは、若き辺境伯だった。 虚弱体質の呪われた深窓の令息をめぐり対立する聖者と辺境伯。 そこに呪いをかけた邪神も加わり恋の鞘当てが繰り広げられる? エブリスタにも掲載しています。

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

ざこてん〜初期雑魚モンスターに転生した俺は、勇者にテイムしてもらう〜

キノア9g
BL
「俺の血を啜るとは……それほど俺を愛しているのか?」 (いえ、ただの生存戦略です!!) 【元社畜の雑魚モンスター(うさぎ)】×【勘違い独占欲勇者】 生き残るために媚びを売ったら、最強の勇者に溺愛されました。 ブラック企業で過労死した俺が転生したのは、RPGの最弱モンスター『ダーク・ラビット(黒うさぎ)』だった。 のんびり草を食んでいたある日、目の前に現れたのはゲーム最強の勇者・アレクセイ。 「経験値」として狩られる!と焦った俺は、生き残るために咄嗟の機転で彼と『従魔契約』を結ぶことに成功する。 「殺さないでくれ!」という一心で、傷口を舐めて契約しただけなのに……。 「魔物の分際で、俺にこれほど情熱的な求愛をするとは」 なぜか勇者様、俺のことを「自分に惚れ込んでいる健気な相棒」だと盛大に勘違い!? 勘違いされたまま、勇者の膝の上で可愛がられる日々。 捨てられないために必死で「有能なペット」を演じていたら、勇者の魔力を受けすぎて、なんと人間の姿に進化してしまい――!? 「もう使い魔の枠には収まらない。俺のすべてはお前のものだ」 ま、待ってください勇者様、愛が重すぎます! 元社畜の生存本能が生んだ、すれ違いと溺愛の異世界BLファンタジー!

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

処理中です...