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15.どうしてそいつなんですか(ヒューブレヒト(副団長)視点)
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「ヤハッ!!」
僕の顔を見るなり、そいつはそう叫んだ。汚らわしいそいつに怒りが湧いてきた。
(こんな穢れた男が、この国境騎士団に入隊するなんて許されない!!)
王都で、沢山の女性を誑かした侯爵家の次男。その姿に自身のあの穢れた兄の面影が重なる。
(ここは、安息地、やっと僕が見つけた……)
僕は元々王都の由緒ある公爵家に生まれた。けれど、生家で良いことがあった記憶なんかない。王族に近い一族のみが有する銀色の髪と蒼い瞳を持つ高貴な女性だった母上。
しかし、母上は体がとても弱く僕を産んでからは伏せがちになり、5歳の頃にこの世を去った。
そんな母から『汚らわしいことは罪です、いつでも清くありなさい』と言われた言葉を守り僕はいつでも清く正しくあろうと決めた。
その死を悼む間もなく、あの穢れた男がやってきた。父がどこかの女性に産ませたその男は何故か僕よりも2つ年上だった。
髪の色も目の色も公爵家の色も高貴な血筋もしていないその男を父は酷く溺愛していた。母上の死を悲しむ僕などには目もくれないくらいに……。
それでも、血筋的に本来なら僕が公爵家の跡を継ぐはずだった。それなのにあの穢れた男に僕はハメられてこの辺境へ追いやられた。
しかも、元従者のひとりで幼馴染のクソ野郎、もとい気に入らないフレディと一緒に……。
全てを失い絶望した僕に、唯一優しくしてくれた方こそ団長だった。
今までの人生、母の最期の教えを守り誰にも晒すことができなかった感情を、その尊い『薔薇の穴』と一緒に受け止めてくださった方。
その日から僕は、この方のためならどんな汚れた仕事だって進んですると誓った。
(だから……)
目の前の穢れた男はなんとしても追い出さないといけない。この方を守るためにそう思ったが……、
「ヒュー、お前に話がある」
神妙な面持ちで団長が口を開いた。その表情には苦し気な色があり、僕がそんな顔をこの方にさせているとい事実が許せなかったが、それ以上に非常事態も起きていたので伝えねばと思った。
「……何かございましたが、その……今は非常事態がおきておりましてもし急ぎでなければ後ほどにしていただきたいのですが……」
そう返事をした時、穢れた男と、団長ばかりに目がいって全体を見ていなかったことに気付いた。そこには、穢れた男の兄でありながら、団長と親友である小侯爵殿とよりによって一番気に入らなフレディがいた。
「話はすぐにすむ。ヒュー、お前がお嫁ちゃんもといルベルスを北の倉庫に追いやったことは知っている」
団長の言葉に思わず目を見開く。
(何故、それを団長が知っている??)
そこで、この場にあの忌々しいフレディも居ることに気付いた。昔から側に居るいけ好かない男。ここに来てからは遠ざけるためにわざと罪をでっち上げて門番にした男……。
「それは……」
「この件に関する沙汰は追って必ず出す」
そう告げられた言葉の強さに体が震えるのが分かった。もしかしたら僕はここからも追い出されてしまうかもしれないそうしたら……頭が真っ白になった。
「ところでぇ、マイマイ、何があった訳??」
まるでそんな僕の気も知らないようにいつもの軽い口調で話しかけるフレディに、一瞬で怒りから正気に戻った。今は自分の今後より、この場所を守らなければいけない。
「王都から、王室の護衛騎士団がやってきたのです、それも王太子殿下とともに……」
僕の顔を見るなり、そいつはそう叫んだ。汚らわしいそいつに怒りが湧いてきた。
(こんな穢れた男が、この国境騎士団に入隊するなんて許されない!!)
王都で、沢山の女性を誑かした侯爵家の次男。その姿に自身のあの穢れた兄の面影が重なる。
(ここは、安息地、やっと僕が見つけた……)
僕は元々王都の由緒ある公爵家に生まれた。けれど、生家で良いことがあった記憶なんかない。王族に近い一族のみが有する銀色の髪と蒼い瞳を持つ高貴な女性だった母上。
しかし、母上は体がとても弱く僕を産んでからは伏せがちになり、5歳の頃にこの世を去った。
そんな母から『汚らわしいことは罪です、いつでも清くありなさい』と言われた言葉を守り僕はいつでも清く正しくあろうと決めた。
その死を悼む間もなく、あの穢れた男がやってきた。父がどこかの女性に産ませたその男は何故か僕よりも2つ年上だった。
髪の色も目の色も公爵家の色も高貴な血筋もしていないその男を父は酷く溺愛していた。母上の死を悲しむ僕などには目もくれないくらいに……。
それでも、血筋的に本来なら僕が公爵家の跡を継ぐはずだった。それなのにあの穢れた男に僕はハメられてこの辺境へ追いやられた。
しかも、元従者のひとりで幼馴染のクソ野郎、もとい気に入らないフレディと一緒に……。
全てを失い絶望した僕に、唯一優しくしてくれた方こそ団長だった。
今までの人生、母の最期の教えを守り誰にも晒すことができなかった感情を、その尊い『薔薇の穴』と一緒に受け止めてくださった方。
その日から僕は、この方のためならどんな汚れた仕事だって進んですると誓った。
(だから……)
目の前の穢れた男はなんとしても追い出さないといけない。この方を守るためにそう思ったが……、
「ヒュー、お前に話がある」
神妙な面持ちで団長が口を開いた。その表情には苦し気な色があり、僕がそんな顔をこの方にさせているとい事実が許せなかったが、それ以上に非常事態も起きていたので伝えねばと思った。
「……何かございましたが、その……今は非常事態がおきておりましてもし急ぎでなければ後ほどにしていただきたいのですが……」
そう返事をした時、穢れた男と、団長ばかりに目がいって全体を見ていなかったことに気付いた。そこには、穢れた男の兄でありながら、団長と親友である小侯爵殿とよりによって一番気に入らなフレディがいた。
「話はすぐにすむ。ヒュー、お前がお嫁ちゃんもといルベルスを北の倉庫に追いやったことは知っている」
団長の言葉に思わず目を見開く。
(何故、それを団長が知っている??)
そこで、この場にあの忌々しいフレディも居ることに気付いた。昔から側に居るいけ好かない男。ここに来てからは遠ざけるためにわざと罪をでっち上げて門番にした男……。
「それは……」
「この件に関する沙汰は追って必ず出す」
そう告げられた言葉の強さに体が震えるのが分かった。もしかしたら僕はここからも追い出されてしまうかもしれないそうしたら……頭が真っ白になった。
「ところでぇ、マイマイ、何があった訳??」
まるでそんな僕の気も知らないようにいつもの軽い口調で話しかけるフレディに、一瞬で怒りから正気に戻った。今は自分の今後より、この場所を守らなければいけない。
「王都から、王室の護衛騎士団がやってきたのです、それも王太子殿下とともに……」
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