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43.社畜サラリーマンは真実を知る

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そう叫んだと同時に何故か涙がとめどなく零れた。

(自分が好かれてしないことは分かっていた。けれど、殺したいほど憎まれているなんて思いもしていなかった。それに何より冤罪で殺されたことが、魂を切り裂かれたことが許せない!!)

それは私ではない誰かの感情だった。叫ぶようなその気持ちに涙が止まらない私を竜帝陛下が優しく支えながら涙も優しくハンカチで拭いてくれた。

「よく頑張った、シヅル、そして

竜帝陛下の言葉に何故か胸がとても熱くなるのが分かった。しかし、その理由が分からない私に対し竜帝陛下は静かに語り始める。

「余の番い、ルゼルは、冤罪を着せられてリュカの裁定で処刑された。その際に魂まで引き裂かれこの世界に生まれ変われなくなった。魂を引き裂かれた者は、下級世界に魂が散らばってしまい、それを集め終わるまでこの世界に転生できなくなってしまうのだが、魂が砕かれれば砕かれるほど再生には時間がかかると言われていて今までそうされたものがこの世界に戻ったことは一度もなかった。しかし、シヅルは余の番いの魂のカケラを宿して生まれた存在で、この世界にそこの王妃アナイスによりのだ」

竜帝陛下の言葉に思わず瞳を見開く。つまり私は、竜帝陛下の殺された番いの転生者だったということになる。だとしたら、繰り返し見続けたあの悪夢は前世の記憶だったのだろうか。

そう考えた時、竜帝陛下が額にキスを落としてから答える。

「すまない。冤罪で殺される夢を見続けていたなんて。それについては呪印とこの世界に召喚された際に目覚めたシヅル自体の能力、シヅルの世界風に言うならば異世界チートが混ざり合って起こったもののようだ。シヅルにはどうやら夢の竜、ニャルリュウの力が宿っているようで本来は夢を介して未来を予知する力があるのだが、呪印の力に引きずられて過去の記憶を見ている状態になったようだ」

「……なるほど、そんなことに……」

にわかには信じがたい話だったが、実際体験していたので否定はできなかった。

「しかし、だとしたら、なぜ私は、この人アナイスにそこまで恨まれないといけなかったのです??確かにあまり仲の良い義兄弟ではありませんでした冤罪を着せて惨たらしく殺すほど恨まれることまではしていないはずだ」

その言葉に黙っていたアナイスが反応する。

「だって、そうしないとお兄様が私のものにならなかったからですよ」

この場に不釣り合いな妖艶な笑みを浮かべるその顔に私は正直背筋に寒いものを覚えた。

「私は、その出自から『魂欠け』だったのです。そのせいで番に出会うこともない。この番が絶対的な世界で、私は生まれつき異端だった。そんな私の唯一の希望はお兄様、貴方だった。貴方が私のものになるなら、私のものになるためならなんだって、なんだってできると思ったんですよ。ははは、どうせ幸せに私はなれない。なら、同じにするしかなかった。同じしなければ愛し合えない。だから堕とす必要があった。どうですか竜帝陛下??完全無欠の貴方が愛する人を奪われた気持ちは??」

今まで聞いたことがないほど冷たい声で竜帝陛下が言うが、アナイスに言い放つ。

「呆れたな。確かに『魂欠け』に生まれたのは汝の罪ではない。しかし、不幸な境遇に自身が愛している人を堕とすなどその相手の幸せを考えていない愚かな行為だ。真に愛しているならば一緒に不幸になるのではなく一緒に幸せになる道を探すべきだ」
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