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42.社畜サラリーマンは覚醒する
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「シヅルに呪印を刻んだのは汝であろう??」
竜帝陛下の声が響いた。
先ほどまでは騒がしかった志鶯も何かを感じ取ったのか黙ったこともあり、シンとした中にその声の余韻だけが残っていた。
しばらく誰も口を聞かなかったが、王妃が瞳を潤ませながら答えた。
「まさか、何を根拠にそのようなことをおっしゃっているのです??私は、竜帝陛下より昨日頂いた王妃の座を降りるようにと頂いた書状についてお伺いしたいことがあり伺ったのです。知っての通り、私は複雑な生い立ちゆえ帰ることができる実家に出戻ることも難しいのです」
儚げにそう答える姿は、何も知らない私のような人間からは弱弱しく見えるのだが意外にもヘイズがそれに答えた。
「王妃殿下、そのような演技は不要です。貴方がいかにしたたかな竜人かは私の最愛の番を長年傀儡にされたことで理解しておりますので、その王妃様が帰る場所がないなどの理由でこちらへ訪れるとは到底思えません」
ニコニコと微笑んでいるが、いつものヘイズの間延びしたような穏やかな雰囲気はなく、体から怒りの感情が溢れている気がした。
しかし、そのヘイズに対して王妃はいまだに弱弱しい様子で答えた。
「ヘイズ卿、私は貴方が思うように強くはありませんよ。竜帝陛下もご存じですよね」
瞳に涙を溜めながら弱弱しく伝えるその姿に、先ほどまでは可哀そうだと思っていた気持ちが消えていくのが分かった。
いや、むしろ、その様子に私は夢でしか知らない人のはずなのにデジャヴを覚えたのだ。
「王妃、汝はあくまで余の元へは王妃の座を降りたあとの相談に来たと申すわけだな」
「はい、そうです」
そう答えた時、一瞬弱弱し気に見えた顔の中に何か底知れぬ昏い感情が見えた気がした。その瞬間だった、私の中に何かあたたかい感覚が湧くと同時に自然と言葉が紡がれた。
「騙されなてはいけない!!」
竜帝陛下の腕の中で、おおよそ自分から発したと思えないほど冷たい声色で私は叫んでいた。
そして、王妃に対してあり得ない位の怒りの感情が湧いてきたのだ。それはいままで自身を苦しめた呪印を私に刻んだ犯人が王妃であると本能的に感じ取ったからかもしれない。
そう考えた時、不思議なほど全ての答えが頭の中に浮かび上がった。
「間違いない、この人が私に呪印を刻み、そして、竜帝陛下の番い様を殺すように意図的に仕向けた犯人だ」
そう探偵キャラのように宣言した瞬間、以前一度あったように体が黄金の輝きを放つのが分かった。そしてそれと同時に私は私であり別人の感情と意識が沸き上がるのが分かった。
「アナイス、お前が私を殺したのだ」
竜帝陛下の声が響いた。
先ほどまでは騒がしかった志鶯も何かを感じ取ったのか黙ったこともあり、シンとした中にその声の余韻だけが残っていた。
しばらく誰も口を聞かなかったが、王妃が瞳を潤ませながら答えた。
「まさか、何を根拠にそのようなことをおっしゃっているのです??私は、竜帝陛下より昨日頂いた王妃の座を降りるようにと頂いた書状についてお伺いしたいことがあり伺ったのです。知っての通り、私は複雑な生い立ちゆえ帰ることができる実家に出戻ることも難しいのです」
儚げにそう答える姿は、何も知らない私のような人間からは弱弱しく見えるのだが意外にもヘイズがそれに答えた。
「王妃殿下、そのような演技は不要です。貴方がいかにしたたかな竜人かは私の最愛の番を長年傀儡にされたことで理解しておりますので、その王妃様が帰る場所がないなどの理由でこちらへ訪れるとは到底思えません」
ニコニコと微笑んでいるが、いつものヘイズの間延びしたような穏やかな雰囲気はなく、体から怒りの感情が溢れている気がした。
しかし、そのヘイズに対して王妃はいまだに弱弱しい様子で答えた。
「ヘイズ卿、私は貴方が思うように強くはありませんよ。竜帝陛下もご存じですよね」
瞳に涙を溜めながら弱弱しく伝えるその姿に、先ほどまでは可哀そうだと思っていた気持ちが消えていくのが分かった。
いや、むしろ、その様子に私は夢でしか知らない人のはずなのにデジャヴを覚えたのだ。
「王妃、汝はあくまで余の元へは王妃の座を降りたあとの相談に来たと申すわけだな」
「はい、そうです」
そう答えた時、一瞬弱弱し気に見えた顔の中に何か底知れぬ昏い感情が見えた気がした。その瞬間だった、私の中に何かあたたかい感覚が湧くと同時に自然と言葉が紡がれた。
「騙されなてはいけない!!」
竜帝陛下の腕の中で、おおよそ自分から発したと思えないほど冷たい声色で私は叫んでいた。
そして、王妃に対してあり得ない位の怒りの感情が湧いてきたのだ。それはいままで自身を苦しめた呪印を私に刻んだ犯人が王妃であると本能的に感じ取ったからかもしれない。
そう考えた時、不思議なほど全ての答えが頭の中に浮かび上がった。
「間違いない、この人が私に呪印を刻み、そして、竜帝陛下の番い様を殺すように意図的に仕向けた犯人だ」
そう探偵キャラのように宣言した瞬間、以前一度あったように体が黄金の輝きを放つのが分かった。そしてそれと同時に私は私であり別人の感情と意識が沸き上がるのが分かった。
「アナイス、お前が私を殺したのだ」
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