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第1話 記憶の片隅
記憶の片隅(5)
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5
居間の部屋に繋がるガラスと木で出来た襖の戸を詩暮が静かに開ける。
すると、ライムと観月の二人が喧嘩していた。
「だーから、いちいちここに来るなよ。そんなことで。」
「なら、小言を言われたくなかったら、ちゃんと調理場に足を運んで真面目に仕事をして下さい!
ライムは、観月様の見張り番でも小姓でもなんでもないんですから! ただの仲居担当なんですよ! 厄介な仕事をライムに回さないで下さい! 」
観月は、普通あり得ないがテレビの上に軽々しく上がって、見下すようにライムを見ていた。
テレビは壊れることなくチャンネルはついていた。
「あー、鬱陶しいガキだなあ。」
「観月様っ! テレビの上に乗らないで下さい!」
「自分だってソファーの腰掛ける天辺の上に立っているだろうが。」
観月と向かい合わせのようにライムは、その通り立っていた。背は彼女の方が低めだ。
険悪の雰囲気の中、詩暮は声を低く落として、二人を注意する。
「何やっているのよ! 人様の前で~! 」
詩暮の声で、観月と向かい合わせになっていたライムは、はっとソファーから下りて、すぐに身体を縮こまらせた。
「は、はしたないところをお見せして申し訳ありません。」
観月は鼻をフン。と鳴らし、テレビの上から下りるが未だに機嫌を悪くしていた。
彼はジロッと暇さえあれば詩暮の後ろにいる一を睨み付けている。
「……なんなんだよ。何でやたらと俺に眼付けてくるんだ? 」
聞こえない程度に小声で一は呟く。
詩暮は、近くの棚に立て掛けてある雑誌を手に取り、それを丸めて観月の頭を軽く叩いた。
「これから三ヶ月一緒に暮らす相手に不愉快な行動はしないでちょうだい。」
「痛っ! お前、誰に向かって頭叩いてんだ! 」
「あなたよ。仕事サボリ。」
詩暮は、さっと丸めた雑誌を背後に隠して、ライムと観月を改めて紹介した。
「えっと、彼らは杉浦さんと同じくこの家に下宿している方達です。」
縮こまっていたライムは、背筋ピンとして綺麗にお辞儀して、一に挨拶した。
「壹岐ライムと申します。これから下宿人同士、仲良く致しましょう。杉浦様。よろしくお願いしますわ。」
『様』。彼女は誰に対しても、名前の下には様をつける。見かけによらず礼儀正しい子のようだ。
「杉浦一です。よろしくライム? さん。」
一は改めて挨拶する。
「『さん』だなんて堅苦しいですから、ライムとお呼びください。」
ライムは、しばらくこの古民家で一緒に生活する仲間としてか握手を求め、手を差し出す。
「はぁ……ライム? ですか。珍しい名前ですね。」
一はあまり、女性の人とは握手したことがない。小学校での運動会、中学校で体育祭以来からそういうふれあいはしていない。たじたじしながらも手を差し出した。
「よく言われるんです。これからはそうお呼びください。」
一と互いに握手するとライムは、足から頭の先まで、ぞわぞわっと震えだした。
「ん?」
すると、彼女の頭から何か動物の耳みたいなものが二本飛び出した。
先程まで笑顔で話していたはずなのに、ライムはパッと素早く手を離すと、彼女はすぐに頭の上を両手で覆い隠した。
「な、なんでもございませんわ! 」
ライムの次に、今度は観月が挨拶する。
観月は、皺を寄せながら何とか元の表情に戻し、一に向かい合う。
「……どーも。俺は烏間観月。シクヨロ。家ん中で敬語を使うと息苦しいから普通に接してくれればいいから。」
「よ、よろ……しくな。」
そう言えば、彼とは会って早々、水や塩を撒かれた張本人だったことを一は思い出した。
気を取り直して挨拶してみよう。さっきのは何かの見間違いだろうと思いながら挨拶をして手を出した。けれど観月は、そっけない態度で名を名乗り、軽く一度だけ一の手に平手打ちをして背を向ける。
やっぱり違う民宿に変えようかと、思い始めた。
詩暮達はともかく、観月との雰囲気がよろしくない。
( き、気のせいか? 俺、観月とは本当に初対面なのに、何故敵視して睨むんだよ……? )
何か不愉快な思いを彼にさせてしまったのかと、考えを巡らせる一。
「どうも初めまして、今夜からお世話になります。杉浦一です。よろしく、観月。」
観月の圧倒的威圧感にたじろぐ一だが、やっぱりどうも気になって仕方がない彼の髪の色が気になり、じーっと彼の紫色で微かな赤色が混じる髪を見つめる。
「……ってか、この髪の色、コスプレ? ……とかじゃねぇよな? 」
一は、ぎゅっと観月の髪を強く引っ張ったり毛先を細かく見たり触ってして確かめる。
「ぐわっ! あのな……っ、この髪は生まれつきの地毛でい! 人間臭い手で気安く触れんじゃねぇ!」
観月は、自分の髪を勝手に触られて苛立ち、パシッと手の甲で一の手を弾く。
「地毛なんだ。」
興味津々に、一がまた観月の髪をいじる中、詩暮は外の景色を見た。
いつの間にか夕暮れ時、五時を回っていた。
「ごめんなさい! 杉浦さんっ! 私、五時から用事があり出掛けますのでっ! 」
詩暮は慌てるように居間から飛出し、台所に置いてある自分の分の食事を持って行って去った。
「詩暮さん!? 」
一は彼女を呼び止める暇なく、呆気にとられるようにしばらくそのまま立ち止まっていた。
◆
詩暮は、一階にある表の玄関近くの部屋、自分の自室へと慌てて入った。
入って早々、窓やカーテーン等を閉める。もちろん、出入り口もだ。
「はあ。時間って色々しているとあっという間に経っちゃうのね。ホント。」
出入り口の壁に背を向けて立つ詩暮は、新しい下宿人である杉浦一の顔を脳裏に過る。
「……三ヶ月か。私情は挟まない。簡単に乗りきってみせるわ。」
◆
ところ変わって、少し離れた場所の『灯』旅館ではライムと観月は遠野家を出て旅館仕事に専念していた。
ライムは旅館の宿泊している部屋で食事をするお客様に、板前が作った料理を持っておもてなしをしていた。
「岩手県、遠野で自慢の『じんぎすかん。』でございます! 他にも『金婚漬け。』や『ひっつみ。』、『豆腐田楽。』などお客様が喜ばれるお料理をお持ち致しました! どうぞお召し上がりくださいませ! 」
お客様の部屋係の担当のライムは、お料理を運び終えると彼女は美味しそうに食べるお客様を
眺めながら微笑み、スタスタと、調理場へと向かった。
「お料理お運び致しました! 」
ライムは調理場に辿り着くと、気が抜けたのか人間の耳じゃない動物の耳が頭に立った。その代わりに人間の耳は消えている。
「おい。ライム……なーに気を抜いて安心してんだよ。耳、出てるぞ。」
観月は調理場の板場で料理の品、刺身を盛り付けていた。
ライムが調理場に現れたのを確認すると、舌打ちに溜め息を零しながら彼女へ注意を呼びかけた。
「あわわわっ! ついうっかりと出ちゃいました! 」
「まだ仕事終わってないし、これから忙しいんだぞ。俺達の仕事は、人間達の料理だけじゃなく、妖怪達にも料理をおもてなししなくちゃいけないんだ! しっかりしてくれよ。杉浦の時も出てたぞ。」
ライムは耳を手で隠しながら、むっと不機嫌な顔を観月に向ける。
「分かってますってば! 」
だが観月はそんなライムにはお構いなしだ。刺身の盛り付けを終えると、それを台に置いて次の仕事に向かおうと動いた。
「よしっ、終わりました! じゃあ、こっちは任せます。あとライム、少しの間借りますね。
板長! 」
「おう! わかった。まかせとけ! 」
他の仕事を途中で放棄し、調理場を出て何処へ行くのか。板場の人達に許可を取って観月は
ライムと一緒に出て行った。
「妖街に行くぞ。ライム。」
「はい! 」
二人は旅館内の二階。寝室の間へと足を踏み入れる。
真っ暗で微かに灯篭が付いている。
ここは誰でも静かに眠れる部屋。
宿泊する部屋ではなく、ほんの少しの合間だけ仮眠をとるような場所なのだ。
うとうとしたり、イビキをかく人が数人いる中、観月とライムは壁に立てかけられた掛け軸の絵にの前に立つ。
「ライム。」
観月は小声で隣にいるライムに何かを出すように頼む。
「おまかせあれです。」
ライムは袖から一つの香炉を取り出し、お香『睡眠香。』を取り出した。
その香を香炉に入れて焚き、寝ている人達に行きわたるようにする。
焚かれた香の匂いが寝ている者達に全てに行きわたると、嘘のように皆ぐっすりと全員が眠りに落ちた。
「よし。行くぞ。」
掛け軸の絵の裏をゆっくりはがすと、そこに丸い鏡が立てかけられている。
その鏡から、別の誰かの顔が映し出される。目隠しをした男なのか女なのかはわからない謎の人が、観月とライム、二人の姿を確認すると「妖怪二名様。どうぞ霊道にお通り下さい。」と言って、鏡は消えて霊道が開かれる。
「ライム、誰にも見られてないな? 」
「大丈夫ですってば。先程ここに来てすぐ厳重に術で幻覚を作って何も異常ないように、私達の姿、その妖街に行ける霊道は人間には見えないようにしてありますから心配ご無用です。」
ライムは掌から火の玉を手品のように出して、結界を張っていた。
念の為に時をも止めていた。
厳重に警戒しながら開かれた霊道をくぐる。
その彼の後を追うように、ライムも通る。
二人がくぐり終わると、霊道は消え、鏡も現れることなく、ばさっと掛け軸が何もなかったように立てかけられて戻る。
焚かれていた香の匂いも、結界も何もかもなかったように掻き消えた。
霊道をくぐりぬけ、出るとあっという間に別の世界に出た。
夜空と賑わう街、常世の街が広がるこの世の者達ではない。幽霊や妖怪が入り混じる黄泉の国とも言われている。ここが妖街。生きた人間は決して来れない場所だった。
観月達は妖街のとある煙突のような建物に螺旋階段がある場所に出た。
地が付くのを確認して下りると、螺旋階段を無視して、欄干に足を付けたかと思うと、外へと飛び降りた。
何のことはない。空中に何度か足を着いたり、飛び回ったりして妖街の何処かの歩道に足を
付けて着地する。
「いやー。賑やかですわね。今宵も! 」
ライムは妖街に来ると、うきうきと楽しく駆け走ったり、身体を回転して回っている。
でも、観月は楽しそうな表情はしていない。苛立つ顔をして眉間に皺を寄せて、指を噛んで
歩いていた。
「どうしたんですか? 今夜はあれから仕事上以外の話はしゃべっていませんでしたけど……。」
指を外し、腕組みし直すと観月は急に立ち止まりながらライムに尋ねた。
「あいつ、どう思う? 」
突然、誰のことを問われているのか理解していなかったライムは少し考えて、観月が気になる人物を想像する。
ライムはようやく昼間に来た一のことを思い出した。いきなり「あいつ。」と言われてもすぐに普通は思い出せるはずもない。だが普段は人の事には興味もない観月が、誰かを気にする時は大抵苦手で気に食わない者か、あるいは好意のある者にだけだ。
それを考えて今日、彼が気にかかる人物が一人だけ居たことを悟ったのだ。
「あー、それってもしかして下宿しに来た杉浦様の事ですか? 」
「他に誰が想像出来んだよ。」
何を偉そうにして返答しているんだか。普通、分かるわけない。と腹正しくライムは思いながら溜め息を吐いた。
「良い人そうでしたけど……その人がどうかしたんですか? 」
棒読みのように言葉を発するライム。そんな話に興味がないのか心にもない言葉が出る。
「どうかしたって……似ていただろ? あいつらに……。言いたくはないけど、むなくそ悪ぜ。」
それでもお構いなく観月はライムに語る。
「杉浦を見ていると過去の事が否応なく思い出すんだよ。」
観月は、道に落ちている小さな砕かれた石を見つけるとそこに片足を乗せて更に強く踏みつけ跡形もなくなるまで、ぐりぐりっと砕いて憂さを晴らそうとしていた。
「そうは言いますけど、いくら杉浦様の顔があの方達に似ていても別人ですよ? あんまり考え過ぎない方がよろしいのでは? 」
やれやれ、また始まった。観月の人間差別。
嫌いな人物には何故かいつも敵視することが多いのだ。
まったく初めて会った一になぜ敵視する必要があるのか気がしれない。
いくら自分達が知る人物に顔がそっくりな理由だけで、ここまで嫌うとは器の小さい男だ。とライムは尚更溜め息を吐く。
「それとも何か不満なことでもあるんですか? 杉浦様のことで。」
ライムはとりあえず話を聞いて、相談に乗ってあげようと試みる。
「顔だよ。か・お! ああ! イライラする! 厄介払い用の塩をぶっかけて追い出そうか。」
「まぁまぁ、落ち付いてくださいよ! 別にライムは良いお方だと思いますよ? どっかの誰かさんみたく雰囲気悪くない方ですし。」
観月はライムをじろっと睨み、一の味方をするような口ぶりに苛立しく怒鳴り散らす。
「それはどういう意味でい! まるで俺が不愉快な男みたいな言い方みたいに聞こえるぞ! 」
「どう考えても不愉快ですよ。嫌われますよ。顔がカッコよくても。」
ライムは呆れた顔をして、やれやれと思ったことを観月に伝える。
すると彼は、彼女の言葉で自分の行動を振り返る。頭を掻きながら、しばらく沈黙して深く
考える。
「そう、なのか……? 」
自分自身の取った行動は、不適切なものだったのかと目を点の字にしながら呟いた。
「はぁ……もう観月様は馬鹿なんですか? 」
ライムは妖街にある仕事先の店。居酒屋『うぇるかむ妖霊。』という場所に辿り着き、そこの出入り口、引き戸を開けて入る。
観月もその後を追って中に入ると居酒屋には、うじゃうじゃと妖怪達が溢れていた。
一階から三階まで、どんちゃん騒ぎのように飲食注文して飲み食いしている客。そこを行ったり来たりと働く店員、職人がいる。
ライムと観月の二人は旅館仕事と掛け持ちで、たまにこうしてこの店の手伝い、アルバイトとして働いていた。
ライムはどんちゃん騒ぎしている妖怪に聞こえないように小声で観月の耳元で囁いて話し出す。
「それより、三ヶ月は絶対に杉浦様にばれないように人間として暮らすこと忘れないでくださ
いよ! 私達の正体が妖怪だと明るみにならないように内密にしなければならないですから。」
観月はめんどくさそうな態度で返事を返す。
「それはお前もだろ。」
事の重大さを分かっているのだろうか本当に。ライムは観月がいつ奇妙な行動を起こすか
心配でならない。
「もちろん。特に私達の主の正体だけは内密にしなければならないんです! 」
ライムは強く手を観月の背中を突き飛ばして、一に自分の正体を明かすような行動は慎むようにと口にはしないが念を押す形で彼に言い聞かせた。
観月はライムに突き飛ばされるが、倒れることはなかった。ただ、以上に背中を叩かれた故に背中を擦れずにはいられなかった。
「蕨のことか……。心配しなくても何かあったら俺があいつを護る。汚れた人間の手なんかが触れそうになったらその前に血祭りに上げてやるさ。」
観月の怖い表情にライムは、げしっと足でまた彼の背中を突き飛ばした。
「本性出ていますし、変化しかけていますよ。観月様。」
観月の足元をライムはちらっと目線で訴えると、彼の人間の足が鳥の足の爪先に変化していた。
「悪い……ついな。だがもし、杉浦が俺達とあいつの正体に気付いた時はどうするよ? 」
背中を痛がりながら観月は、ライムに問う。
「さぁ。それをどう下すのかは我らが主、蕨様が決めることでありますから。分かりかねます。」
遠野家に一が三ヶ月の滞在。人探しか何だか知らないが、普通の人間が住む家ではなく、妖怪が住まう危険な場所に来たことは絶好の良い機会であることを観月は余興のように面白がっていた。
「三月か……。俺達の正体に気付かず無事にこの家から出て帰れるか、それとも気付いてしま
ったが最後……永遠に逃げられず、妖怪達に食われるか恐怖するかの二択だ。見ものだな。面白れぇぜ。クカカカッ! 」
そんな会話をし終えると、観月とライムは何もなかったように『うぇるかむ妖霊』居酒屋で働き出した。
居間の部屋に繋がるガラスと木で出来た襖の戸を詩暮が静かに開ける。
すると、ライムと観月の二人が喧嘩していた。
「だーから、いちいちここに来るなよ。そんなことで。」
「なら、小言を言われたくなかったら、ちゃんと調理場に足を運んで真面目に仕事をして下さい!
ライムは、観月様の見張り番でも小姓でもなんでもないんですから! ただの仲居担当なんですよ! 厄介な仕事をライムに回さないで下さい! 」
観月は、普通あり得ないがテレビの上に軽々しく上がって、見下すようにライムを見ていた。
テレビは壊れることなくチャンネルはついていた。
「あー、鬱陶しいガキだなあ。」
「観月様っ! テレビの上に乗らないで下さい!」
「自分だってソファーの腰掛ける天辺の上に立っているだろうが。」
観月と向かい合わせのようにライムは、その通り立っていた。背は彼女の方が低めだ。
険悪の雰囲気の中、詩暮は声を低く落として、二人を注意する。
「何やっているのよ! 人様の前で~! 」
詩暮の声で、観月と向かい合わせになっていたライムは、はっとソファーから下りて、すぐに身体を縮こまらせた。
「は、はしたないところをお見せして申し訳ありません。」
観月は鼻をフン。と鳴らし、テレビの上から下りるが未だに機嫌を悪くしていた。
彼はジロッと暇さえあれば詩暮の後ろにいる一を睨み付けている。
「……なんなんだよ。何でやたらと俺に眼付けてくるんだ? 」
聞こえない程度に小声で一は呟く。
詩暮は、近くの棚に立て掛けてある雑誌を手に取り、それを丸めて観月の頭を軽く叩いた。
「これから三ヶ月一緒に暮らす相手に不愉快な行動はしないでちょうだい。」
「痛っ! お前、誰に向かって頭叩いてんだ! 」
「あなたよ。仕事サボリ。」
詩暮は、さっと丸めた雑誌を背後に隠して、ライムと観月を改めて紹介した。
「えっと、彼らは杉浦さんと同じくこの家に下宿している方達です。」
縮こまっていたライムは、背筋ピンとして綺麗にお辞儀して、一に挨拶した。
「壹岐ライムと申します。これから下宿人同士、仲良く致しましょう。杉浦様。よろしくお願いしますわ。」
『様』。彼女は誰に対しても、名前の下には様をつける。見かけによらず礼儀正しい子のようだ。
「杉浦一です。よろしくライム? さん。」
一は改めて挨拶する。
「『さん』だなんて堅苦しいですから、ライムとお呼びください。」
ライムは、しばらくこの古民家で一緒に生活する仲間としてか握手を求め、手を差し出す。
「はぁ……ライム? ですか。珍しい名前ですね。」
一はあまり、女性の人とは握手したことがない。小学校での運動会、中学校で体育祭以来からそういうふれあいはしていない。たじたじしながらも手を差し出した。
「よく言われるんです。これからはそうお呼びください。」
一と互いに握手するとライムは、足から頭の先まで、ぞわぞわっと震えだした。
「ん?」
すると、彼女の頭から何か動物の耳みたいなものが二本飛び出した。
先程まで笑顔で話していたはずなのに、ライムはパッと素早く手を離すと、彼女はすぐに頭の上を両手で覆い隠した。
「な、なんでもございませんわ! 」
ライムの次に、今度は観月が挨拶する。
観月は、皺を寄せながら何とか元の表情に戻し、一に向かい合う。
「……どーも。俺は烏間観月。シクヨロ。家ん中で敬語を使うと息苦しいから普通に接してくれればいいから。」
「よ、よろ……しくな。」
そう言えば、彼とは会って早々、水や塩を撒かれた張本人だったことを一は思い出した。
気を取り直して挨拶してみよう。さっきのは何かの見間違いだろうと思いながら挨拶をして手を出した。けれど観月は、そっけない態度で名を名乗り、軽く一度だけ一の手に平手打ちをして背を向ける。
やっぱり違う民宿に変えようかと、思い始めた。
詩暮達はともかく、観月との雰囲気がよろしくない。
( き、気のせいか? 俺、観月とは本当に初対面なのに、何故敵視して睨むんだよ……? )
何か不愉快な思いを彼にさせてしまったのかと、考えを巡らせる一。
「どうも初めまして、今夜からお世話になります。杉浦一です。よろしく、観月。」
観月の圧倒的威圧感にたじろぐ一だが、やっぱりどうも気になって仕方がない彼の髪の色が気になり、じーっと彼の紫色で微かな赤色が混じる髪を見つめる。
「……ってか、この髪の色、コスプレ? ……とかじゃねぇよな? 」
一は、ぎゅっと観月の髪を強く引っ張ったり毛先を細かく見たり触ってして確かめる。
「ぐわっ! あのな……っ、この髪は生まれつきの地毛でい! 人間臭い手で気安く触れんじゃねぇ!」
観月は、自分の髪を勝手に触られて苛立ち、パシッと手の甲で一の手を弾く。
「地毛なんだ。」
興味津々に、一がまた観月の髪をいじる中、詩暮は外の景色を見た。
いつの間にか夕暮れ時、五時を回っていた。
「ごめんなさい! 杉浦さんっ! 私、五時から用事があり出掛けますのでっ! 」
詩暮は慌てるように居間から飛出し、台所に置いてある自分の分の食事を持って行って去った。
「詩暮さん!? 」
一は彼女を呼び止める暇なく、呆気にとられるようにしばらくそのまま立ち止まっていた。
◆
詩暮は、一階にある表の玄関近くの部屋、自分の自室へと慌てて入った。
入って早々、窓やカーテーン等を閉める。もちろん、出入り口もだ。
「はあ。時間って色々しているとあっという間に経っちゃうのね。ホント。」
出入り口の壁に背を向けて立つ詩暮は、新しい下宿人である杉浦一の顔を脳裏に過る。
「……三ヶ月か。私情は挟まない。簡単に乗りきってみせるわ。」
◆
ところ変わって、少し離れた場所の『灯』旅館ではライムと観月は遠野家を出て旅館仕事に専念していた。
ライムは旅館の宿泊している部屋で食事をするお客様に、板前が作った料理を持っておもてなしをしていた。
「岩手県、遠野で自慢の『じんぎすかん。』でございます! 他にも『金婚漬け。』や『ひっつみ。』、『豆腐田楽。』などお客様が喜ばれるお料理をお持ち致しました! どうぞお召し上がりくださいませ! 」
お客様の部屋係の担当のライムは、お料理を運び終えると彼女は美味しそうに食べるお客様を
眺めながら微笑み、スタスタと、調理場へと向かった。
「お料理お運び致しました! 」
ライムは調理場に辿り着くと、気が抜けたのか人間の耳じゃない動物の耳が頭に立った。その代わりに人間の耳は消えている。
「おい。ライム……なーに気を抜いて安心してんだよ。耳、出てるぞ。」
観月は調理場の板場で料理の品、刺身を盛り付けていた。
ライムが調理場に現れたのを確認すると、舌打ちに溜め息を零しながら彼女へ注意を呼びかけた。
「あわわわっ! ついうっかりと出ちゃいました! 」
「まだ仕事終わってないし、これから忙しいんだぞ。俺達の仕事は、人間達の料理だけじゃなく、妖怪達にも料理をおもてなししなくちゃいけないんだ! しっかりしてくれよ。杉浦の時も出てたぞ。」
ライムは耳を手で隠しながら、むっと不機嫌な顔を観月に向ける。
「分かってますってば! 」
だが観月はそんなライムにはお構いなしだ。刺身の盛り付けを終えると、それを台に置いて次の仕事に向かおうと動いた。
「よしっ、終わりました! じゃあ、こっちは任せます。あとライム、少しの間借りますね。
板長! 」
「おう! わかった。まかせとけ! 」
他の仕事を途中で放棄し、調理場を出て何処へ行くのか。板場の人達に許可を取って観月は
ライムと一緒に出て行った。
「妖街に行くぞ。ライム。」
「はい! 」
二人は旅館内の二階。寝室の間へと足を踏み入れる。
真っ暗で微かに灯篭が付いている。
ここは誰でも静かに眠れる部屋。
宿泊する部屋ではなく、ほんの少しの合間だけ仮眠をとるような場所なのだ。
うとうとしたり、イビキをかく人が数人いる中、観月とライムは壁に立てかけられた掛け軸の絵にの前に立つ。
「ライム。」
観月は小声で隣にいるライムに何かを出すように頼む。
「おまかせあれです。」
ライムは袖から一つの香炉を取り出し、お香『睡眠香。』を取り出した。
その香を香炉に入れて焚き、寝ている人達に行きわたるようにする。
焚かれた香の匂いが寝ている者達に全てに行きわたると、嘘のように皆ぐっすりと全員が眠りに落ちた。
「よし。行くぞ。」
掛け軸の絵の裏をゆっくりはがすと、そこに丸い鏡が立てかけられている。
その鏡から、別の誰かの顔が映し出される。目隠しをした男なのか女なのかはわからない謎の人が、観月とライム、二人の姿を確認すると「妖怪二名様。どうぞ霊道にお通り下さい。」と言って、鏡は消えて霊道が開かれる。
「ライム、誰にも見られてないな? 」
「大丈夫ですってば。先程ここに来てすぐ厳重に術で幻覚を作って何も異常ないように、私達の姿、その妖街に行ける霊道は人間には見えないようにしてありますから心配ご無用です。」
ライムは掌から火の玉を手品のように出して、結界を張っていた。
念の為に時をも止めていた。
厳重に警戒しながら開かれた霊道をくぐる。
その彼の後を追うように、ライムも通る。
二人がくぐり終わると、霊道は消え、鏡も現れることなく、ばさっと掛け軸が何もなかったように立てかけられて戻る。
焚かれていた香の匂いも、結界も何もかもなかったように掻き消えた。
霊道をくぐりぬけ、出るとあっという間に別の世界に出た。
夜空と賑わう街、常世の街が広がるこの世の者達ではない。幽霊や妖怪が入り混じる黄泉の国とも言われている。ここが妖街。生きた人間は決して来れない場所だった。
観月達は妖街のとある煙突のような建物に螺旋階段がある場所に出た。
地が付くのを確認して下りると、螺旋階段を無視して、欄干に足を付けたかと思うと、外へと飛び降りた。
何のことはない。空中に何度か足を着いたり、飛び回ったりして妖街の何処かの歩道に足を
付けて着地する。
「いやー。賑やかですわね。今宵も! 」
ライムは妖街に来ると、うきうきと楽しく駆け走ったり、身体を回転して回っている。
でも、観月は楽しそうな表情はしていない。苛立つ顔をして眉間に皺を寄せて、指を噛んで
歩いていた。
「どうしたんですか? 今夜はあれから仕事上以外の話はしゃべっていませんでしたけど……。」
指を外し、腕組みし直すと観月は急に立ち止まりながらライムに尋ねた。
「あいつ、どう思う? 」
突然、誰のことを問われているのか理解していなかったライムは少し考えて、観月が気になる人物を想像する。
ライムはようやく昼間に来た一のことを思い出した。いきなり「あいつ。」と言われてもすぐに普通は思い出せるはずもない。だが普段は人の事には興味もない観月が、誰かを気にする時は大抵苦手で気に食わない者か、あるいは好意のある者にだけだ。
それを考えて今日、彼が気にかかる人物が一人だけ居たことを悟ったのだ。
「あー、それってもしかして下宿しに来た杉浦様の事ですか? 」
「他に誰が想像出来んだよ。」
何を偉そうにして返答しているんだか。普通、分かるわけない。と腹正しくライムは思いながら溜め息を吐いた。
「良い人そうでしたけど……その人がどうかしたんですか? 」
棒読みのように言葉を発するライム。そんな話に興味がないのか心にもない言葉が出る。
「どうかしたって……似ていただろ? あいつらに……。言いたくはないけど、むなくそ悪ぜ。」
それでもお構いなく観月はライムに語る。
「杉浦を見ていると過去の事が否応なく思い出すんだよ。」
観月は、道に落ちている小さな砕かれた石を見つけるとそこに片足を乗せて更に強く踏みつけ跡形もなくなるまで、ぐりぐりっと砕いて憂さを晴らそうとしていた。
「そうは言いますけど、いくら杉浦様の顔があの方達に似ていても別人ですよ? あんまり考え過ぎない方がよろしいのでは? 」
やれやれ、また始まった。観月の人間差別。
嫌いな人物には何故かいつも敵視することが多いのだ。
まったく初めて会った一になぜ敵視する必要があるのか気がしれない。
いくら自分達が知る人物に顔がそっくりな理由だけで、ここまで嫌うとは器の小さい男だ。とライムは尚更溜め息を吐く。
「それとも何か不満なことでもあるんですか? 杉浦様のことで。」
ライムはとりあえず話を聞いて、相談に乗ってあげようと試みる。
「顔だよ。か・お! ああ! イライラする! 厄介払い用の塩をぶっかけて追い出そうか。」
「まぁまぁ、落ち付いてくださいよ! 別にライムは良いお方だと思いますよ? どっかの誰かさんみたく雰囲気悪くない方ですし。」
観月はライムをじろっと睨み、一の味方をするような口ぶりに苛立しく怒鳴り散らす。
「それはどういう意味でい! まるで俺が不愉快な男みたいな言い方みたいに聞こえるぞ! 」
「どう考えても不愉快ですよ。嫌われますよ。顔がカッコよくても。」
ライムは呆れた顔をして、やれやれと思ったことを観月に伝える。
すると彼は、彼女の言葉で自分の行動を振り返る。頭を掻きながら、しばらく沈黙して深く
考える。
「そう、なのか……? 」
自分自身の取った行動は、不適切なものだったのかと目を点の字にしながら呟いた。
「はぁ……もう観月様は馬鹿なんですか? 」
ライムは妖街にある仕事先の店。居酒屋『うぇるかむ妖霊。』という場所に辿り着き、そこの出入り口、引き戸を開けて入る。
観月もその後を追って中に入ると居酒屋には、うじゃうじゃと妖怪達が溢れていた。
一階から三階まで、どんちゃん騒ぎのように飲食注文して飲み食いしている客。そこを行ったり来たりと働く店員、職人がいる。
ライムと観月の二人は旅館仕事と掛け持ちで、たまにこうしてこの店の手伝い、アルバイトとして働いていた。
ライムはどんちゃん騒ぎしている妖怪に聞こえないように小声で観月の耳元で囁いて話し出す。
「それより、三ヶ月は絶対に杉浦様にばれないように人間として暮らすこと忘れないでくださ
いよ! 私達の正体が妖怪だと明るみにならないように内密にしなければならないですから。」
観月はめんどくさそうな態度で返事を返す。
「それはお前もだろ。」
事の重大さを分かっているのだろうか本当に。ライムは観月がいつ奇妙な行動を起こすか
心配でならない。
「もちろん。特に私達の主の正体だけは内密にしなければならないんです! 」
ライムは強く手を観月の背中を突き飛ばして、一に自分の正体を明かすような行動は慎むようにと口にはしないが念を押す形で彼に言い聞かせた。
観月はライムに突き飛ばされるが、倒れることはなかった。ただ、以上に背中を叩かれた故に背中を擦れずにはいられなかった。
「蕨のことか……。心配しなくても何かあったら俺があいつを護る。汚れた人間の手なんかが触れそうになったらその前に血祭りに上げてやるさ。」
観月の怖い表情にライムは、げしっと足でまた彼の背中を突き飛ばした。
「本性出ていますし、変化しかけていますよ。観月様。」
観月の足元をライムはちらっと目線で訴えると、彼の人間の足が鳥の足の爪先に変化していた。
「悪い……ついな。だがもし、杉浦が俺達とあいつの正体に気付いた時はどうするよ? 」
背中を痛がりながら観月は、ライムに問う。
「さぁ。それをどう下すのかは我らが主、蕨様が決めることでありますから。分かりかねます。」
遠野家に一が三ヶ月の滞在。人探しか何だか知らないが、普通の人間が住む家ではなく、妖怪が住まう危険な場所に来たことは絶好の良い機会であることを観月は余興のように面白がっていた。
「三月か……。俺達の正体に気付かず無事にこの家から出て帰れるか、それとも気付いてしま
ったが最後……永遠に逃げられず、妖怪達に食われるか恐怖するかの二択だ。見ものだな。面白れぇぜ。クカカカッ! 」
そんな会話をし終えると、観月とライムは何もなかったように『うぇるかむ妖霊』居酒屋で働き出した。
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