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4話 アルケミストと女子会
01.第34回の女子会
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ピンク色の壁紙、甘ったるすぎて頭がボンヤリしてくる匂い、上がる黄色い声――
アルケミスト、メイヴィス・イルドレシアは最近出来たスイーツ食べ放題の店にギルドのメンバーと訪れていた。自由業っぽいところがあるギルド員は好きな日に休みを決められるのが良い所だと言えるだろう。
「じゃあ、第34回、ギルドの女子会を始めるわよ!」
「「おおおっ!!」」
――女子会つったぞコイツ……。
ちら、とメイヴィスは主催者であるグレアム・オレアリーを見やる。そう、彼はシノの彼氏と名高いグレアム氏だ。女子会と声高に言ったが、その声の低さは女性のものではないと断言出来る。
今回は4名しかいないが、人選も個性が光っているのが伺えた。まず自分、彼氏が光の速さで蒸発するナターリア、主催者であり『彼女』という恋人がいるグレアム、死体愛好かのクローサ・アベニュー。
恋バナをする会、とナターリアからは聞いていたが、この面子本当に大丈夫か? 危険な香りしかしないのだが。
メイヴィスが場の状況に混乱している間にも、主催者は会をどんどん進行させる。すでにバイキング形式のケーキやらパイやらは机に並んでおり、後は食べ始めるだけだ。
「まずは意気込みでも語ってもらおうかしら。勿論、アタシはすでに付き合ってる子がいるわ。みんなの事を精一杯サポートするから、そのつもりでいてネ!」
「ふぅん、グレアムまだシノと続いてるんだ……」
「ナターリア、アナタはまず化けの皮を被り直しなさいな! そんなドスの効いた顔をしていちゃダメよ!」
負のオーラを纏っているナターリアは被っていた猫をどこかへ置いて来てしまったようだ。いつもの溌剌とした笑顔も、瑞々しい挙動も無く、ぐったりと机に項垂れている。
対し、ネクロマンサーであるクローサは達観したように肩を竦めた。
「良い人がいないんだよねぇ。いや、私的には顔さえ好みなら何でも良いんだけど。どのみち死体に――あっ、いや、やっぱりいいや!」
――良くないよ、良くない!!
大変危ない闇が見えた気がしたが、関わっては負けだと思い寸前で口を噤む。何て恐ろしい会にお呼ばれしてしまったのだろうか。今すぐ帰りたい。
恐々としていると、グレアムの酷く優しい双眸がこちらを向いた。全ての悩める女性を導く、指導者のような面持ちだ。コイツは何故ギルドで活動しているのだろうか。お悩み相談所とか作ったら倍は儲けられそうだ。
黙り込んだメイヴィスを「何を話せばいいのか分からず困っている」、と判断したらしいグレアムが訊ねる。
「シノから聞いたわよ。メヴィ、いい人がいるんだってね?」
「え? あ、ああ。確かに憧れている人はいますよ」
「そうよね、分かっているわ! 悩める女子の悩みを解決する、それがアタシの生き甲斐なのよ!」
「や、あの、別に恋の悩みって訳じゃないんです。というか、別に現状で満足しているので、悩みは無いです」
恋愛と言えばさ、とクローサがニヤニヤと嗤いながら口を挟む。
「メヴィ、キミが他人に憧れるだなんて珍しいじゃない。それはきっと恋……そう、恋だよ! あたしが上手い事冷凍保存してやろっか?」
「何ソレこわっ!」
「あ、でも相手は騎士――アロイスか。不意討ちとか、寝込みを襲えるぐらいには信頼されているんだよね、メヴィ? なら後は簡単よ。飲み物に睡眠薬を入れるの」
「ちょ、まっ――そんな物騒な話は聞きたくないよ!」
身の毛もよだつ方向へ転がり始めた会話を軌道修正する。何故彼女は物騒な事ばかり言うのか。そもそも、これは恋愛感情なんていうピンク色で甘いものではなく、ただの憧れ。下民が騎士サマに恋するなんて身の程知らずにも程があるというものだ。
それに、自分が彼の隣に立って歩いている姿など天と地が返ってもあり得ないと断言出来る。
アルケミスト、メイヴィス・イルドレシアは最近出来たスイーツ食べ放題の店にギルドのメンバーと訪れていた。自由業っぽいところがあるギルド員は好きな日に休みを決められるのが良い所だと言えるだろう。
「じゃあ、第34回、ギルドの女子会を始めるわよ!」
「「おおおっ!!」」
――女子会つったぞコイツ……。
ちら、とメイヴィスは主催者であるグレアム・オレアリーを見やる。そう、彼はシノの彼氏と名高いグレアム氏だ。女子会と声高に言ったが、その声の低さは女性のものではないと断言出来る。
今回は4名しかいないが、人選も個性が光っているのが伺えた。まず自分、彼氏が光の速さで蒸発するナターリア、主催者であり『彼女』という恋人がいるグレアム、死体愛好かのクローサ・アベニュー。
恋バナをする会、とナターリアからは聞いていたが、この面子本当に大丈夫か? 危険な香りしかしないのだが。
メイヴィスが場の状況に混乱している間にも、主催者は会をどんどん進行させる。すでにバイキング形式のケーキやらパイやらは机に並んでおり、後は食べ始めるだけだ。
「まずは意気込みでも語ってもらおうかしら。勿論、アタシはすでに付き合ってる子がいるわ。みんなの事を精一杯サポートするから、そのつもりでいてネ!」
「ふぅん、グレアムまだシノと続いてるんだ……」
「ナターリア、アナタはまず化けの皮を被り直しなさいな! そんなドスの効いた顔をしていちゃダメよ!」
負のオーラを纏っているナターリアは被っていた猫をどこかへ置いて来てしまったようだ。いつもの溌剌とした笑顔も、瑞々しい挙動も無く、ぐったりと机に項垂れている。
対し、ネクロマンサーであるクローサは達観したように肩を竦めた。
「良い人がいないんだよねぇ。いや、私的には顔さえ好みなら何でも良いんだけど。どのみち死体に――あっ、いや、やっぱりいいや!」
――良くないよ、良くない!!
大変危ない闇が見えた気がしたが、関わっては負けだと思い寸前で口を噤む。何て恐ろしい会にお呼ばれしてしまったのだろうか。今すぐ帰りたい。
恐々としていると、グレアムの酷く優しい双眸がこちらを向いた。全ての悩める女性を導く、指導者のような面持ちだ。コイツは何故ギルドで活動しているのだろうか。お悩み相談所とか作ったら倍は儲けられそうだ。
黙り込んだメイヴィスを「何を話せばいいのか分からず困っている」、と判断したらしいグレアムが訊ねる。
「シノから聞いたわよ。メヴィ、いい人がいるんだってね?」
「え? あ、ああ。確かに憧れている人はいますよ」
「そうよね、分かっているわ! 悩める女子の悩みを解決する、それがアタシの生き甲斐なのよ!」
「や、あの、別に恋の悩みって訳じゃないんです。というか、別に現状で満足しているので、悩みは無いです」
恋愛と言えばさ、とクローサがニヤニヤと嗤いながら口を挟む。
「メヴィ、キミが他人に憧れるだなんて珍しいじゃない。それはきっと恋……そう、恋だよ! あたしが上手い事冷凍保存してやろっか?」
「何ソレこわっ!」
「あ、でも相手は騎士――アロイスか。不意討ちとか、寝込みを襲えるぐらいには信頼されているんだよね、メヴィ? なら後は簡単よ。飲み物に睡眠薬を入れるの」
「ちょ、まっ――そんな物騒な話は聞きたくないよ!」
身の毛もよだつ方向へ転がり始めた会話を軌道修正する。何故彼女は物騒な事ばかり言うのか。そもそも、これは恋愛感情なんていうピンク色で甘いものではなく、ただの憧れ。下民が騎士サマに恋するなんて身の程知らずにも程があるというものだ。
それに、自分が彼の隣に立って歩いている姿など天と地が返ってもあり得ないと断言出来る。
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