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8話 魔道士の国
06.アルケミストのお部屋
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先に2階へ寄り、荷物を下ろした上で地下の工房へと案内してもらった。
なかなかに小綺麗だ。ギルドは無骨な職人の工房、という体だったがここはきちんと手入れがされている。床は板張りだし、カーペットのようなものまで敷いてあった。机もお洒落でこんな場所で錬金術して大丈夫? という気分になってくる。
工房は一目で気に入ったが当然ながらかつての工房と同じように自分が使いやすいように調整してあるわけではない。何度も足を運び、ベストな素材の収納を見出さなければ。
もうすでに上機嫌だった。こんな小部屋みたいな場所で錬金術に打ち込めるなんて。ウィルドレディアが言っていた事は大当たりだ。ここの方が、環境自体は良い。
勝手に感動していると、ユリアナが薄く笑って呟いた。
「ヴァレンディアの国土は狭いので~、こうやって工房の類は、み~んな地下にあるんですよぅ」
「道理だな。メヴィ、早速その錬金釜を使ってみるか?」
「はい! 使ってみます!」
分かりました~、とユリアナは首を縦に振った。
「それじゃあ~、私は店に戻りますね~。何かあれば~、行って来てくださぁい」
「ありがとうございます、ユリアナさん!」
軽く手を振ったユリアナは階段を上って1階へ行ってしまった。代わり、メイヴィスは部屋の中心に鎮座している錬金釜に視線を移す。使われていないのだろうか、見るからに新品だ。
「早速リストを消費します! アロイスさんは、えぇっと、その、どうしますか?」
「数時間と掛かるのならば、少し外を見て来ようと思う。すぐに終わりそうならお前を待つよ」
「えーっと、材料があれば30分くらいで……リスト2つくらいは消化出来そうです」
もう明日やれ、と自分でも思ったが湧き上がる好奇心が抑えられない。それに、折角ブースを作ってもらったのだ。今日中にあの空っぽの棚に何か並べてみたい。
そんなメイヴィスの向上心やら好奇心を汲んだのか、アロイスは爽やかな笑みを浮かべた。
「なら待とう。ふふ、何が出来るか楽しみだな」
「えぇ、いや、そんな大層なものじゃ……。あっ、アロイスさん、その椅子に座っていて下さいね」
「悪いな」
机に備え付けられていた椅子にアロイスを座らせ、リストに目を落とす。その中から2つをピックアップした。冬の内に納品してしまわなければ、需要が無くなってしまいそうだったからだ。
1つは防寒グッズ。ポケットに入るサイズで熱を放つ物、という謎のアイテムを所望のようだが、言いたい事は分かる。身体が芯から温まる訳では無いが、手先を温めるには丁度良い、そんなアイテムだろう。
これに関してはギルドで毎年作っていたし、今年も作る予定だったので材料がある。その名も『子猫の暖炉』、手早く作成するとしよう。
烏のローブ――例の超収納ローブから赤見ススキを取り出す。黄金色をしている秋の草花であるススキ。これは魔力を過剰に含んだ土から生えたススキで夕焼け色のように赤く染まっている。
その素材をまずは釜に投入した。続いて取り出したのは小春石。苔むしているように見える石で、手の平に収まるサイズだ。ルーペで見れば分かるが、肉眼では捉えられない小さな手の平サイズの庭園こそがこの石。春のエネルギーを蓄えているのだが、如何せん寒さに弱いので管理には要注意である。
「変わった石だな」
「あ、これ凄いんですよ。見て下さい! 小さな春の庭なんです!」
「……?」
疑問顔をしたアロイスは小さな庭、という文言に僅かながら心を動かされたらしい。メイヴィスが渡したルーペと石を受け取り素材を覗き込む。ややあって、得心したように頷いた。
「確かに庭と言えるな。可愛らしいものだ」
気に入ったのだろうか。しきりにアロイスは石を覗き込んでいる。
――回収するタイミングを失ってしまった。
なかなかに小綺麗だ。ギルドは無骨な職人の工房、という体だったがここはきちんと手入れがされている。床は板張りだし、カーペットのようなものまで敷いてあった。机もお洒落でこんな場所で錬金術して大丈夫? という気分になってくる。
工房は一目で気に入ったが当然ながらかつての工房と同じように自分が使いやすいように調整してあるわけではない。何度も足を運び、ベストな素材の収納を見出さなければ。
もうすでに上機嫌だった。こんな小部屋みたいな場所で錬金術に打ち込めるなんて。ウィルドレディアが言っていた事は大当たりだ。ここの方が、環境自体は良い。
勝手に感動していると、ユリアナが薄く笑って呟いた。
「ヴァレンディアの国土は狭いので~、こうやって工房の類は、み~んな地下にあるんですよぅ」
「道理だな。メヴィ、早速その錬金釜を使ってみるか?」
「はい! 使ってみます!」
分かりました~、とユリアナは首を縦に振った。
「それじゃあ~、私は店に戻りますね~。何かあれば~、行って来てくださぁい」
「ありがとうございます、ユリアナさん!」
軽く手を振ったユリアナは階段を上って1階へ行ってしまった。代わり、メイヴィスは部屋の中心に鎮座している錬金釜に視線を移す。使われていないのだろうか、見るからに新品だ。
「早速リストを消費します! アロイスさんは、えぇっと、その、どうしますか?」
「数時間と掛かるのならば、少し外を見て来ようと思う。すぐに終わりそうならお前を待つよ」
「えーっと、材料があれば30分くらいで……リスト2つくらいは消化出来そうです」
もう明日やれ、と自分でも思ったが湧き上がる好奇心が抑えられない。それに、折角ブースを作ってもらったのだ。今日中にあの空っぽの棚に何か並べてみたい。
そんなメイヴィスの向上心やら好奇心を汲んだのか、アロイスは爽やかな笑みを浮かべた。
「なら待とう。ふふ、何が出来るか楽しみだな」
「えぇ、いや、そんな大層なものじゃ……。あっ、アロイスさん、その椅子に座っていて下さいね」
「悪いな」
机に備え付けられていた椅子にアロイスを座らせ、リストに目を落とす。その中から2つをピックアップした。冬の内に納品してしまわなければ、需要が無くなってしまいそうだったからだ。
1つは防寒グッズ。ポケットに入るサイズで熱を放つ物、という謎のアイテムを所望のようだが、言いたい事は分かる。身体が芯から温まる訳では無いが、手先を温めるには丁度良い、そんなアイテムだろう。
これに関してはギルドで毎年作っていたし、今年も作る予定だったので材料がある。その名も『子猫の暖炉』、手早く作成するとしよう。
烏のローブ――例の超収納ローブから赤見ススキを取り出す。黄金色をしている秋の草花であるススキ。これは魔力を過剰に含んだ土から生えたススキで夕焼け色のように赤く染まっている。
その素材をまずは釜に投入した。続いて取り出したのは小春石。苔むしているように見える石で、手の平に収まるサイズだ。ルーペで見れば分かるが、肉眼では捉えられない小さな手の平サイズの庭園こそがこの石。春のエネルギーを蓄えているのだが、如何せん寒さに弱いので管理には要注意である。
「変わった石だな」
「あ、これ凄いんですよ。見て下さい! 小さな春の庭なんです!」
「……?」
疑問顔をしたアロイスは小さな庭、という文言に僅かながら心を動かされたらしい。メイヴィスが渡したルーペと石を受け取り素材を覗き込む。ややあって、得心したように頷いた。
「確かに庭と言えるな。可愛らしいものだ」
気に入ったのだろうか。しきりにアロイスは石を覗き込んでいる。
――回収するタイミングを失ってしまった。
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