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2話:悪意蔓延る町
34.報告会
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***
酷く久しぶりに社へ帰って来た気がする。
烏羽と手を振って別れた花実は真っ先に自室へ飛込み、中から鍵を掛けた。今からやる事が盛り沢山だ。まずはチャット。例のルームで2話終了の報告をし、長時間ゲームをし続けていたので一旦ログアウト。現実世界へ帰らなければ。
端末を操作し、唯一お気に入り登録しているチャットルームへ入る。変な時間だし誰もいない可能性だってあったが、報告だけしておいて後からもう一度確認すればいい。
どうやら、自分がいない間もちょこちょこ人が出入りして何事かを話していたようだ。ログを確認する暇はないので、一旦後回しにするけれど。
『黒桐12:お久しぶりです、2話クリアしました!』
詳細はまた後で、と打とうとしたがすぐさま反応が返ってくる。この人達、常にチャットにいるのだろうか? もしかすると、配信されているストーリーまで全てクリアしてしまった猛者達なのかもしれない。
『赤鳥6:おめでとうございます! 着々と進んでいるようで、なによりです!』
『黒桐12:いやあ、今回は結構苦戦しました』
赤鳥6の返信を皮切りに、わらわらと会話が始まる。白星1、青水2もいるので全員集合状態らしい。
『白星1:無事にクリア出来たようで良かった』
『青水2:丁度良かったわ、黒桐ちゃん。このルームに新しい子が来たの! 赤鳥ちゃんの紹介でね!』
――新しいメンバー?
どんな人だろうか、ワクワクしていると話を振られた新メンバーの文字が打ち込まれる。
『赤日7:どうも、よろしく! 黒適応とかいたんだね、ビックリだわ!』
『赤鳥6:リアルフレンドだけど良い子だから、大丈夫だと思います。ごめんね、急に友達呼んじゃって』
リアルフレンドで思い出したが、自分と同じようにこのβ版をプレイしているバイト戦士である親友は最近どうしているのだろうか。ゲームのし過ぎでリアルの交友が疎かになっている。今日はログアウトしたら、彼女に連絡を取ってみよう。
などと考えていると、早速高度な順応力を見せ付けてくる赤日7。目の前で喋っているので確信は出来ないが、学校のクラスに一人はいる人気者リーダーみたいなタイプなのか。
『赤日7:それでそれで? 黒桐さんの報告を聞いて、自分の時はああだったっていう会なんだよねココ!?』
『青水2:そうよ。それで、2話はどうだったのかしら? 途中で困って、チャットに相談しに来てたわよね』
『黒桐12:はい、報告します』
事のあらましをザックリ説明した。一番に反応を見せたのは、陽キャパリピっぽい赤日7だった。
『赤日7:え? 何で褐返そんなに疑ったの? ウケるんだけど』
『黒桐12:いやホント、リアルで絶対にここにいる人達と会わないと思うから言うんですけど、目の前の相手が嘘吐いてたら分かるんですよね』
『赤日7:ホント? 何それ便利じゃん。今あたしが嘘吐いてる、とかも分かるの?』
『黒桐12:文字媒体は分からないんですよ。目の前に来て同じ事を言ってくれたら分かります。まあ! ネット上での付き合いはリアルに持ち込まない主義なんですけど』
『赤日7:そうだよね、分かる。オフ会とかはあたしも参加しないわ』
赤日7の人の良さというか、コミュニケーション能力が高めなのは本当に助かる。一方で会話の速度に着いてこれていなかったメンバーが少し間を開けて参戦してきた。
『青水2:なんというか、難儀な特技? というか、アナタも苦労してそうねぇ』
『黒桐12:私はなんというか、自前チートみたいな方法で攻略しちゃいましたけど、他の皆さんはどうでした?』
『青水2:本当なら2話ってかなりボリューミィだったのよね。褐返はそんなに何度も汚泥のトラブルを発生させたりはしなかったし、ゆっくりフラグを拾っていずれは褐返に辿り着くストーリーだったわ』
『黒桐12:そうなんですか? 私が褐返を疑う度に汚泥がどうの、ってトラブル起きてたんですけど……』
『赤鳥6:余程、焦ってたんでしょうね。一人を糾弾するスタイルで話を進めると、こういう細かいイベントが起きる仕様なんでしょうか』
『青水2:そういう隠しイベント的なモノはありそうね。だって、取り敢えず一人を疑って掛かって進めるってプレイヤーもいるだろうし……』
話を聞く限り、一人を敢えて疑うプレイスタイルで行ったのは自分だけのようだ。皆はきちんと現地の神使と和解し、月城町で調査を行った後に褐返に辿り着いてる模様。色々と端折ってしまったようだ。
『赤日7:そういえば、白星さんは? 落ちた?』
――あれ、さっきから発言がないな。
急用でログアウトしてしまったのかもしれない。コメントがないので、かなり急ぎだったのだろう。
と思っていたら件の白星1が浮上した。
『白星1:悪い、ちょtと色々あって』
『赤日7:いや、誤字誤字! 落ち着いてよ』
『白星1:指が滑った。黒桐は烏羽にこう、嫌味的な事は言われたりしていないのか?』
『黒桐12:嫌味ですか? えーっと、それはどういう? 常に嫌味を言ってくるんですけど』
『赤日7:何それ、あたしだったら殴り合いの喧嘩になってるわ』
『白星1:ああいや、ネタバレした状態での攻略みたいな動きをするとメタ発言台詞が聞けるらしいんだ。チートとかも同じく。客観的に見てかなり怪しいプレイになっただろうし、何か面白い台詞でも聞けていないかと思って』
そんな台詞まであるのか。関心しつつ、心当たりがあったのでそれを伝える。
『黒桐12:ネタバレ拾ってますか、みたいな発言は頂きましたね。ビックリしたので否定はしておきましたけど』
『白星1:そうか、それならいいんだ』
『黒桐12:えっ、そういうの聞いたら悪い事でも起こるんですか!? 恐い恐い恐い』
『白星1:報告がたくさん上がっている訳ではないから何とも言えないな。だが、ちゃんと否定しておいた方がいいかもしれない。その、好感度的なものが』
白星1は情報通のイメージがあるが、今のコメントはかなり歯切れが悪い。面と向かって会話をしている訳ではないので分からないが、挙動が怪し過ぎだ。何か嘘でも吐いているのだろうか。
ともあれ、この内容を皮切りに話題は小ネタだの自身の所持している神使がどうの、と平和的な話題へ移っていき1時間程、チャット内に滞在する事となった。
酷く久しぶりに社へ帰って来た気がする。
烏羽と手を振って別れた花実は真っ先に自室へ飛込み、中から鍵を掛けた。今からやる事が盛り沢山だ。まずはチャット。例のルームで2話終了の報告をし、長時間ゲームをし続けていたので一旦ログアウト。現実世界へ帰らなければ。
端末を操作し、唯一お気に入り登録しているチャットルームへ入る。変な時間だし誰もいない可能性だってあったが、報告だけしておいて後からもう一度確認すればいい。
どうやら、自分がいない間もちょこちょこ人が出入りして何事かを話していたようだ。ログを確認する暇はないので、一旦後回しにするけれど。
『黒桐12:お久しぶりです、2話クリアしました!』
詳細はまた後で、と打とうとしたがすぐさま反応が返ってくる。この人達、常にチャットにいるのだろうか? もしかすると、配信されているストーリーまで全てクリアしてしまった猛者達なのかもしれない。
『赤鳥6:おめでとうございます! 着々と進んでいるようで、なによりです!』
『黒桐12:いやあ、今回は結構苦戦しました』
赤鳥6の返信を皮切りに、わらわらと会話が始まる。白星1、青水2もいるので全員集合状態らしい。
『白星1:無事にクリア出来たようで良かった』
『青水2:丁度良かったわ、黒桐ちゃん。このルームに新しい子が来たの! 赤鳥ちゃんの紹介でね!』
――新しいメンバー?
どんな人だろうか、ワクワクしていると話を振られた新メンバーの文字が打ち込まれる。
『赤日7:どうも、よろしく! 黒適応とかいたんだね、ビックリだわ!』
『赤鳥6:リアルフレンドだけど良い子だから、大丈夫だと思います。ごめんね、急に友達呼んじゃって』
リアルフレンドで思い出したが、自分と同じようにこのβ版をプレイしているバイト戦士である親友は最近どうしているのだろうか。ゲームのし過ぎでリアルの交友が疎かになっている。今日はログアウトしたら、彼女に連絡を取ってみよう。
などと考えていると、早速高度な順応力を見せ付けてくる赤日7。目の前で喋っているので確信は出来ないが、学校のクラスに一人はいる人気者リーダーみたいなタイプなのか。
『赤日7:それでそれで? 黒桐さんの報告を聞いて、自分の時はああだったっていう会なんだよねココ!?』
『青水2:そうよ。それで、2話はどうだったのかしら? 途中で困って、チャットに相談しに来てたわよね』
『黒桐12:はい、報告します』
事のあらましをザックリ説明した。一番に反応を見せたのは、陽キャパリピっぽい赤日7だった。
『赤日7:え? 何で褐返そんなに疑ったの? ウケるんだけど』
『黒桐12:いやホント、リアルで絶対にここにいる人達と会わないと思うから言うんですけど、目の前の相手が嘘吐いてたら分かるんですよね』
『赤日7:ホント? 何それ便利じゃん。今あたしが嘘吐いてる、とかも分かるの?』
『黒桐12:文字媒体は分からないんですよ。目の前に来て同じ事を言ってくれたら分かります。まあ! ネット上での付き合いはリアルに持ち込まない主義なんですけど』
『赤日7:そうだよね、分かる。オフ会とかはあたしも参加しないわ』
赤日7の人の良さというか、コミュニケーション能力が高めなのは本当に助かる。一方で会話の速度に着いてこれていなかったメンバーが少し間を開けて参戦してきた。
『青水2:なんというか、難儀な特技? というか、アナタも苦労してそうねぇ』
『黒桐12:私はなんというか、自前チートみたいな方法で攻略しちゃいましたけど、他の皆さんはどうでした?』
『青水2:本当なら2話ってかなりボリューミィだったのよね。褐返はそんなに何度も汚泥のトラブルを発生させたりはしなかったし、ゆっくりフラグを拾っていずれは褐返に辿り着くストーリーだったわ』
『黒桐12:そうなんですか? 私が褐返を疑う度に汚泥がどうの、ってトラブル起きてたんですけど……』
『赤鳥6:余程、焦ってたんでしょうね。一人を糾弾するスタイルで話を進めると、こういう細かいイベントが起きる仕様なんでしょうか』
『青水2:そういう隠しイベント的なモノはありそうね。だって、取り敢えず一人を疑って掛かって進めるってプレイヤーもいるだろうし……』
話を聞く限り、一人を敢えて疑うプレイスタイルで行ったのは自分だけのようだ。皆はきちんと現地の神使と和解し、月城町で調査を行った後に褐返に辿り着いてる模様。色々と端折ってしまったようだ。
『赤日7:そういえば、白星さんは? 落ちた?』
――あれ、さっきから発言がないな。
急用でログアウトしてしまったのかもしれない。コメントがないので、かなり急ぎだったのだろう。
と思っていたら件の白星1が浮上した。
『白星1:悪い、ちょtと色々あって』
『赤日7:いや、誤字誤字! 落ち着いてよ』
『白星1:指が滑った。黒桐は烏羽にこう、嫌味的な事は言われたりしていないのか?』
『黒桐12:嫌味ですか? えーっと、それはどういう? 常に嫌味を言ってくるんですけど』
『赤日7:何それ、あたしだったら殴り合いの喧嘩になってるわ』
『白星1:ああいや、ネタバレした状態での攻略みたいな動きをするとメタ発言台詞が聞けるらしいんだ。チートとかも同じく。客観的に見てかなり怪しいプレイになっただろうし、何か面白い台詞でも聞けていないかと思って』
そんな台詞まであるのか。関心しつつ、心当たりがあったのでそれを伝える。
『黒桐12:ネタバレ拾ってますか、みたいな発言は頂きましたね。ビックリしたので否定はしておきましたけど』
『白星1:そうか、それならいいんだ』
『黒桐12:えっ、そういうの聞いたら悪い事でも起こるんですか!? 恐い恐い恐い』
『白星1:報告がたくさん上がっている訳ではないから何とも言えないな。だが、ちゃんと否定しておいた方がいいかもしれない。その、好感度的なものが』
白星1は情報通のイメージがあるが、今のコメントはかなり歯切れが悪い。面と向かって会話をしている訳ではないので分からないが、挙動が怪し過ぎだ。何か嘘でも吐いているのだろうか。
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