ガチャから不穏なキャラしか出てきません

ねんねこ

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3話:都での流行病

03.強化チュートリアル(1)

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 ***

 自室に戻ってきた花実は早速、端末を手にしていつものチャットルームへ入る。ログを一瞬だけ確認すると、今まさに数名がログインして会話中のようだった。人数はそう多くないのに、いつも誰かいるなと感心してしまう。

『黒桐12:こんにちは』

 挨拶をすると、案の定すぐに反応があった。

『白星1:こんにちは。丁度良い所に。このルームに新しいメンバーが来た』
『黒桐12:またですか!? この間も赤日さんが来ましたよね』

 こんな専門的過ぎるルームへ立て続けに新規加入者とは。勿論、花実自身は誰も勧誘していないので、自然とここへ辿り着いたか別の誰かの紹介という事になる。
 どんな人だろうか、とドキドキしながら待つ。ややあって、その新規さんとやらが返信してきた。

『黄月12:どーも。何か面白い事やってるんだって? 俺もゲーム始めたばっかだし、全然進んでないけどよろしく』
『黒桐12:よろしくお願いします。というか、私と同じサーバなんですね。ネタバレとかメチャクチャしちゃいますけど、大丈夫ですか?』
『黄月12:あー、いーのいーの。俺さあ、紹介されてここに来たんだけど、敢えて進めないプレイでやれって指示出されてんだよね。まあだから、1ミリも進んでねーし、今更だから気にしなくていーよ』

 ――どんな指示だよ……。
 疑問は尽きないが、まさかバイトで放置プレイだなんてあり得ないので、運営からの指示なのだろう。一体、彼だけ何の作業をさせられているのかは謎だが。

『白星1:まあ……。本人がそれで良いと言うんだったら止めはしないが……』
『黒桐12:そうですね……』
『白星1:ところで、黒桐は次は3話だったか?』
『黒桐12:そうですね』
『白星1:そうか。なら、フレンド機能が解放されるはずだ。このチャット内にいるメンバーでフレンド申請でもしておいた方が良いかもしれない』
『黒桐12:えっ、そういう機能あるんですね!』

 ここで、今現在ストーリーのどこにいるのか不明瞭な黄月12が不意に返信してくる。

『黄月12:俺はまだ1話すら始まってないけど、それでもフレンド機能って使えるのかな?』
『白星1:フレンド登録だけなら出来るんじゃないのか? まあ、フレンドから借りた神使は3話からしか使えなかったはずだけど』
『黄月12:ふーん。じゃあ俺も、自分のID貼って良いか確認しとこーっと』

 フレンド機能、というのは従来のソシャゲと同じく所持キャラクターの貸し出し形式のようだ。うちには神使が2人しかいないので、どういう形であれ他の神使を拝めるのは有り難い。
 などと考えてると、一番に白星1が自身のIDを貼り付けた。流石、仕事が早い。かなり的確なアドバイスもくれるし、この人はもしかしたら運営の一人なのかもしれないなとたまに思う。

『黒桐12:フレ申請送っときますね!』
『白星1:ああ、そうしてくれ。誰が使ってもある程度活躍できるように、月白を置いておこう。まあ、黒桐はまだ月白には会った事が無さそうだが』
『黒桐12:え、月白!? 気になってたんですよねー、割と烏羽が話題に上げるので』
『白星1:そうなのか? やっぱり対神って事か……』

 烏羽の対神である、月白。唯一奴が分かりやすく嫌悪の表情を浮かべる相手だ。これは面白くなってきた。
 黄月12に対神の説明をしている白星1を眺めながらニヤニヤと笑ってしまう。月白をフレンドから借りたら、多分烏羽の面白い顔が見られるだろう。楽しみだ。
 何はともあれ、ストーリー挑戦への意欲が高まった。フリースペースで運営の彼が言っていた事なども実戦したいし、そろそろゲームに戻ろう。

 ***

 チャットを終えた花実は社の廊下をウロウロと行ったり来たりしていた。
 どちらでもいいので神使を探していたが、こういう時に限って誰とも会わない。そもそもの話、2人しか仲間がいないのにこの社は広すぎる。人口密度低すぎ。烏羽に至っては、もう一時姿を見ていない。
 かなり不審な挙動をしていたのだろう、不意に背後からおっかなびっくりと言った調子で声を掛けられた。

「主サン? さっきから何をうろうろしてんスか? 大分、挙動不審ッスけど……」
「あ、丁度良かった。誰でも良いから捜してたんだよね」
「そうですか。チャットはもう良いんで? 熱心にポチポチしてたみたいッスけど」
「それはもう終わったから平気」

 薄群青だ。
 どうしても比較対象が烏羽になってしまうが、彼は本当に礼儀正しい。粗野な言葉遣いをする事もあるが、積極的に他者を傷付けようという理不尽さは無い存在である。それが普通ではあるのだが、初期神使が異常性の塊だったので普通にしているだけで感動ものだ。
 既にかなり優しい部類の彼だが、運営が言っていた好感度が上がればもっとマイルドな対応になるのだろうか。それとも、表面的には丁寧に接してくれているが、所詮は人間という設定の召喚士を心中ではまだ受入れていないのか。そういう闇の設定が普通に転がっていそうで困る。

「用事が済んだのなら、次は俺の用事もいッスか? まさか、ストーリーを2話まで進めておいて薄色シリーズが初めてとか、思いもしませんでしたよ」
「え?」
「チュートリアルの時間ッスね」

 ――どうやら、何か新しい機能を教えてくれるらしい。
 花実は微笑んでそれに従った。
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