63 / 74
3話:都での流行病
07.フレンド神使(2)
しおりを挟む
ストーリー出発用の門の前にまでやって来た。端末を取り出し、行き先を確認する。前回、2話を攻略したので新しいバナーが表示されていた。新しい目的地は――
「黄都?」
おや、と反応を示したのは烏羽だ。常日頃から浮かべている、何かを企んでいるような笑みだ。ただ、常々そんな表情なので実際は何も企んでなどいないのかもしれないが。
「とうとう目的地が都になりましたか。ええ! これまでの村や町に比べると、かなり広いまっぷとなるでしょう! ふふふ、楽しみですねぇ、召喚士殿」
「へー、マップ作り込まれてるのかなあ。かなりリアルだし、ちょっと楽しみかも」
「はい? そういう事を言っている訳ではないのですが。ええ」
「このグラフィックで海とか行きたいな……。まあ、正式リリースしたら夏イベもあるだろうし、海楽しみだなぁ」
烏羽は沈黙した。イベントに関する台詞は用意されていないのだろう。そもそも、イベントを開催した所で何を景品にするのか、という話だが。期間限定の神使が景品だったりするのかもしれない。
色の名前が付けられている彼等だし、外国産でバイオレットとか。ありそう。
そんな事に思いを馳せながら、バナーをタップする。いつもならば門が荘厳な感じで開け放たれるのだが、今日はその前にワンクッションが挟まる。
そう、本日二度目のチュートリアル。フレンド神使の同行についての説明だ。強化のチュートリアルは薄群青がやってくれたが、フレンドのチュートリアルは端末が行うらしい。この違いは一体何なのか。
『同行させるフレンドの神使について
以降のストーリーでは、フレンドの設定する神使を同行させる事が出来ます。まずはフレンドの中から好きな神使を選びましょう。フレンドがいない召喚士様の為に、此方でフレンドを用意しております。』
タップしてチュートリアルを消す。運営が用意したフレンドが一番上に表示されてはいたが、その下にチャットルームの面子が並んでいた。試しに白星1の『月白』を選択してみたが、特に問題は発生しない。
しかし次の瞬間、確認画面で赤文字の注意書きが表示される。
『※注意!
お連れの神使と相性の悪いフレンド神使が設定されています。このまま同行させますか?』
「えっ、何この恐い注意は……」
「大丈夫ですか、主サン? トラブってます?」
薄群青がやや心配そうにそう訊ねてきたが、「大丈夫」と返し端末に視線を落とす。「はい」か「いいえ」を選ぶボタンが出現していた。ここで「はい」を選べば同行者に月白を設定できると思われる。
こう書かれているという事は、ストーリーとは別に神使のサブストーリー的なモノが展開されるのかもしれない。あわよくばレアシーンとかありそう。この注意文も裏を返せばイベントの伏線で、実際には本当の意味でのトラブルなど無いはず。あったら困るけれど。
この文字が何を意図して出て来たのか、それらしいフェイクなのかは判断する術がない。字は真偽の判断が出来ないからだ。
――いいや、連れて行ってみよう。
所詮はゲーム。面白いトラブルが起これば、それはトラブルではなく儲けもの。神使同士の相性が設定されているなんて作り込まれているな、とそれくらいだ。
考えた結果、花実は「はい」をタップして白星1の月白を同行者に選んだ。まだ月白とやらの外見は確認出来ていないが、同行者欄が名前だけだと見づらいという要望を運営に送った方がいいのかもしれない。
チュートリアルが再び進む。フレンドの神使はどういう扱いになるのかと思えば、どうやら必要時に助っ人としてプレイヤーが喚び出す形式のようだった。
『フレンドの神使はストーリー中、端末に表示されるバナーのタップで行えます。ストーリー1話につき、1度しか喚び出せませんので使用時はお気をつけ下さい』
――強いフレンドがいたら、ヌルゲーになっちゃうもんね。了解。
心中で頷く。ストーリー中に1回か。ゲームを円滑に進める、と言うより詰み防止の意味合いが強い。ガチャ運が奇跡的に悪いプレイヤーの為の処置、と言ったところか。
納得してチュートリアルを終える。大変な事になってきたら、迷い無く白星1から借りた神使を喚び出す。それだけだ。
端末から顔を上げると、心底退屈そうな表情に変わった烏羽と目が合う。しかも、嘆息された。
「終わりましたか? ええ、我々を平気で待たせる召喚士殿に嫌味を言いたい訳ではありませんとも」
「それが嫌味なのでは……?」
「反抗的ですねえ、ええ。構いませんけれど」
キャラクターと会話を試みるようになってから、烏羽を不機嫌にさせてばかりのような気がする。ただ、彼の吐き出す嫌味な発言は全て真実なので、嘘を吐かれるよりは精神的に楽ではあるが。
肩を竦めて初期神使の視線を受け流し、ストーリーに入る為のバナーを再度タップする。フレンド同行のチュートリアルが挟まったので、処置がやり直しになっていたようだ。
余裕があるのなら、別のフレンドからも神使を借りたいな、などと考えていると門が開け放たれた。次の目的地は都らしい。このグラフィックで広いマップに出られるのは楽しみだ。
花実は意気揚々とその足を踏み出した。
「黄都?」
おや、と反応を示したのは烏羽だ。常日頃から浮かべている、何かを企んでいるような笑みだ。ただ、常々そんな表情なので実際は何も企んでなどいないのかもしれないが。
「とうとう目的地が都になりましたか。ええ! これまでの村や町に比べると、かなり広いまっぷとなるでしょう! ふふふ、楽しみですねぇ、召喚士殿」
「へー、マップ作り込まれてるのかなあ。かなりリアルだし、ちょっと楽しみかも」
「はい? そういう事を言っている訳ではないのですが。ええ」
「このグラフィックで海とか行きたいな……。まあ、正式リリースしたら夏イベもあるだろうし、海楽しみだなぁ」
烏羽は沈黙した。イベントに関する台詞は用意されていないのだろう。そもそも、イベントを開催した所で何を景品にするのか、という話だが。期間限定の神使が景品だったりするのかもしれない。
色の名前が付けられている彼等だし、外国産でバイオレットとか。ありそう。
そんな事に思いを馳せながら、バナーをタップする。いつもならば門が荘厳な感じで開け放たれるのだが、今日はその前にワンクッションが挟まる。
そう、本日二度目のチュートリアル。フレンド神使の同行についての説明だ。強化のチュートリアルは薄群青がやってくれたが、フレンドのチュートリアルは端末が行うらしい。この違いは一体何なのか。
『同行させるフレンドの神使について
以降のストーリーでは、フレンドの設定する神使を同行させる事が出来ます。まずはフレンドの中から好きな神使を選びましょう。フレンドがいない召喚士様の為に、此方でフレンドを用意しております。』
タップしてチュートリアルを消す。運営が用意したフレンドが一番上に表示されてはいたが、その下にチャットルームの面子が並んでいた。試しに白星1の『月白』を選択してみたが、特に問題は発生しない。
しかし次の瞬間、確認画面で赤文字の注意書きが表示される。
『※注意!
お連れの神使と相性の悪いフレンド神使が設定されています。このまま同行させますか?』
「えっ、何この恐い注意は……」
「大丈夫ですか、主サン? トラブってます?」
薄群青がやや心配そうにそう訊ねてきたが、「大丈夫」と返し端末に視線を落とす。「はい」か「いいえ」を選ぶボタンが出現していた。ここで「はい」を選べば同行者に月白を設定できると思われる。
こう書かれているという事は、ストーリーとは別に神使のサブストーリー的なモノが展開されるのかもしれない。あわよくばレアシーンとかありそう。この注意文も裏を返せばイベントの伏線で、実際には本当の意味でのトラブルなど無いはず。あったら困るけれど。
この文字が何を意図して出て来たのか、それらしいフェイクなのかは判断する術がない。字は真偽の判断が出来ないからだ。
――いいや、連れて行ってみよう。
所詮はゲーム。面白いトラブルが起これば、それはトラブルではなく儲けもの。神使同士の相性が設定されているなんて作り込まれているな、とそれくらいだ。
考えた結果、花実は「はい」をタップして白星1の月白を同行者に選んだ。まだ月白とやらの外見は確認出来ていないが、同行者欄が名前だけだと見づらいという要望を運営に送った方がいいのかもしれない。
チュートリアルが再び進む。フレンドの神使はどういう扱いになるのかと思えば、どうやら必要時に助っ人としてプレイヤーが喚び出す形式のようだった。
『フレンドの神使はストーリー中、端末に表示されるバナーのタップで行えます。ストーリー1話につき、1度しか喚び出せませんので使用時はお気をつけ下さい』
――強いフレンドがいたら、ヌルゲーになっちゃうもんね。了解。
心中で頷く。ストーリー中に1回か。ゲームを円滑に進める、と言うより詰み防止の意味合いが強い。ガチャ運が奇跡的に悪いプレイヤーの為の処置、と言ったところか。
納得してチュートリアルを終える。大変な事になってきたら、迷い無く白星1から借りた神使を喚び出す。それだけだ。
端末から顔を上げると、心底退屈そうな表情に変わった烏羽と目が合う。しかも、嘆息された。
「終わりましたか? ええ、我々を平気で待たせる召喚士殿に嫌味を言いたい訳ではありませんとも」
「それが嫌味なのでは……?」
「反抗的ですねえ、ええ。構いませんけれど」
キャラクターと会話を試みるようになってから、烏羽を不機嫌にさせてばかりのような気がする。ただ、彼の吐き出す嫌味な発言は全て真実なので、嘘を吐かれるよりは精神的に楽ではあるが。
肩を竦めて初期神使の視線を受け流し、ストーリーに入る為のバナーを再度タップする。フレンド同行のチュートリアルが挟まったので、処置がやり直しになっていたようだ。
余裕があるのなら、別のフレンドからも神使を借りたいな、などと考えていると門が開け放たれた。次の目的地は都らしい。このグラフィックで広いマップに出られるのは楽しみだ。
花実は意気揚々とその足を踏み出した。
0
あなたにおすすめの小説
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
暗殺者の少女、四大精霊に懐かれる。〜異世界に渡ったので、流浪の旅人になります〜
赤海 梓
ファンタジー
「…ここは、どこ?」
…私、そうだ。そういえば…
「貴女、ここで何をしておる」
「わっ」
シュバッ
「…!?」
しまった、つい癖で回り込んで首に手刀を当ててしまった。
「あっ、ごめんなさい、敵意は無くて…その…」
急いで手を離す。
私が手刀をかけた相手は老人で、人…であはるが、人じゃない…?
「ふははは! よかろう、気に入ったぞ!」
「…え?」
これは暗殺者として頂点を飾る暗殺者が転生し、四大精霊に好かれ、冒険者として日銭を稼ぎ、時に人を守り、時に殺め、時に世界をも救う…。そんな物語である…!
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
悪役令嬢の騎士
コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。
異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。
少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。
そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。
少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。
無能勇者の黙示録~勝手に召喚されて勝手に追放されたので勝手に旅に出ます~
枯井戸
ファンタジー
力も強くない、足も速くない、魔法も使えないし、頭も大してよくない、どこにでもいるちょっとオタク趣味の主人公・東雲真緒が白雉国に勇者として転生する。
同期の勇者はそれぞれ力が強かったり、魔法が使えたり、回復ができたりと各々の才能を開花させ頭角を現していくのだが、真緒に与えられた才能は異世界転生モノでよく見る〝ステータスオープン〟のみだった。
仲間には使えないと蔑まれ、ギルドには落第勇者の烙印を押され、現地人には殺害されかけ、挙句の果てに大事な人を亡くし、見ず知らずの土地の最底辺で生きていくことになった真緒だったが、彼女はまだ〝ステータスオープン〟の可能性に気づいていないだけだった。
─────────────
※投稿時間は多少前後しますが毎日投稿は続けていくつもりです。
※タイトルは予告なしにガラリと変わる場合があるのでご了承ください。
※表紙は現在の主人公のイメージ図です。もしまた別の国へ行く場合、彼女の装いも変化するかもしれません。
神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません!
神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜
と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます!
3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。
ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです!
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎
非常に申し訳ない…
と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか?
色々手違いがあって…
と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ?
代わりにといってはなんだけど…
と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン?
私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。
なんの謝罪だっけ?
そして、最後に言われた言葉
どうか、幸せになって(くれ)
んん?
弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。
※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします
完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる