ガチャから不穏なキャラしか出てきません

ねんねこ

文字の大きさ
62 / 74
3話:都での流行病

06.フレンド神使(1)

しおりを挟む
「そろそろ……ストーリーを進めようと思うんだよね」

 何かを言われた訳ではないが、不意に花実はそう呟きを溢した。2人の神使がそれぞれ反応を示す。

「お好きになさっては? ええ、我々は召喚士殿の手駒に過ぎませぬ故!」
「烏羽サンの能力を一つくらい解禁してから行くのかと思ってたッス」

 烏羽の嫌味はともかく、薄群青の的確な返しに関しては返事をする。彼の言うとおり、自分の発言は矛盾しているからだ。

「そう思ったんだけど、ストーリー中でも社に戻ってこられるから、新しい結晶が出来た所で一度戻ればいいかなって。どうせ、そんなにすぐには戦闘なんて無いだろうし」
「おやおや! ええ、随分と楽観的な意見ではありませんか。何が起きるかなぞ、現地へ行ってみなければ分からないでしょうに。ええ、ええ」
「それはそうだけど、でも、空いている日があんまり無いんだよね。ぶっちゃけ、大学生活ももうそろそろ始まるし……」

 大学? と烏羽が首を傾げている。説明するのも億劫だったので、そのまま放置した。それに然したる問題でもないし。

「そういえば、ストーリーに神使って何人連れて行けるの? まさか、一人しか連れて行けないなんて事はないよね」

 一人しか連れて行けなかった場合、必然的に烏羽を同行させる。このアカウントには神使が2人しかいないので、残された方は暇だろう。尤も、データなので暇もクソもないはずなのだが。
 そう思って訊ねてみると、レスポンスが早い薄群青が的確な回答を述べた。

「3人まで同行できるッス。ま、うちには2人しか神使がいないから交代要員もいないし、このまま出発する事になりますね」
「そうなんだ……。3人プラス、フレンドって感じなのかな」

 ――こういう所はビックリする程、ソーシャルゲームなんだよね……。
 物量で推す、という事は不可能らしい。それをやっちゃうと物語が破綻するから致し方ないのだが。それとも、3人という数字に何か意味があるのだろうか。大抵のソーシャルゲームにはパーティ人数の制限になぞ、意味はないけれど。もしかしたら、なんて事もありそうだ。
 それはおいおい考えるとして、ストーリーへ行く際、フレンドの助っ人はどうやって借りるのだろうか? 今までプレイしてきて、それらしい何かが表示された事は無い。門の前にまで移動して、何とも無かったら一旦止まって考えてみるとしよう。

 ストーリーを開始するべく、その場に立ち上がる。門の前からしか、ストーリーに参加できないのが地味に不便だ。没入型、を掲げている以上、そんな見当違いのクレームは付けられないけれど。
 廊下に視線をやると、心底面倒臭そうな口調で烏羽がブツブツと文句を言い始める。少しばかり珍しい上、実に子供っぽい挙動に困惑する。

「本当に今から物語を進められるので? ええ、何の通告もなかったのでやる気が出ないのですが」
「ハッキリ言いすぎでしょ……。やる気が無いとか、そんな理由ある?」
「ありますとも。ええ、私とて心がありますので」

 烏羽に嘘を吐いている様子は無い。紛れもなく本心なのだが、そうであるが故に本気で動きたくないと思っているのだと、ダイレクトに伝わってくる。
 一方で不満の一つも漏らさない薄群青は、既に花実について来る気満々のようで、無感情に駄々をこねる同業者を眺めている。

「さあ、立って立って! レベリングの必要がないっぽいゲームなんだから、暇があったらストーリーを進めるのは当然の事だからね」
「本当に今日はお喋りですねえ、召喚士殿。私と違って、機嫌がよろしいのでしょうか? ええ、それはそれは、大変喜ばしい事ですねえ」

 全然喜ばしいと思っていないようだ。常々、思っている事と正反対の事をほざくので嘘カウンターが回りまくっている。
 しかし、そこはゲーム内のデータ。文句を言いつつも烏羽は立ち上がった。やはり反抗的な性格のキャラクターも、ゲームシステムには勝てないという事か。無情である。そんな初期神使は刺々しい息を肺から押し出すように吐き出した。随分と苛ついている。機嫌の悪い時間が長い。多分、薄群青を召喚してからこっち、ずっとだ。

 最初は神使同士に相性なる隠しパラメーターがあるのかと思ったが、どうやら違うらしいと気付いたのは最近。薄群青は烏羽がいようがいまいが、特に気にせず日常を送っているからだ。
 恐らく裏設定で烏羽に「自分以外の神使がいると不機嫌になる」などがあるのではないかと推察している。薄群青召喚時、連れている自アカウントの神使に対してコメントが付いていたので、そういう調整はありそうだ。莫大な仕事量になるだろうから、普通ならばあり得ないけれども。

 考えながら玄関を目指す。召喚した神使達は嫌味な会話を繰り広げながらも、途中で離脱すること無くプレイヤーに付いてきていた。
 それにしても、早急にあと1人、神使が欲しい。3人連れて行く枠があるのに、2人しかいないというのはどうにも損をしている気分だ。枠が勿体ないとも言うが、ともかく少しだけ気持ちが悪い。
 ――ストーリーが終わる頃には、3回目のガチャが回せるようになっていますように!
 そう祈りながら、花実は社の外へと出た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

神託が下りまして、今日から神の愛し子です! 最強チート承りました。では、我慢はいたしません!

しののめ あき
ファンタジー
旧題:最強チート承りました。では、我慢はいたしません! 神託が下りまして、今日から神の愛し子です!〜最強チート承りました!では、我慢はいたしません!〜 と、いうタイトルで12月8日にアルファポリス様より書籍発売されます! 3万字程の加筆と修正をさせて頂いております。 ぜひ、読んで頂ければ嬉しいです! ⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 非常に申し訳ない… と、言ったのは、立派な白髭の仙人みたいな人だろうか? 色々手違いがあって… と、目を逸らしたのは、そちらのピンク色の髪の女の人だっけ? 代わりにといってはなんだけど… と、眉を下げながら申し訳なさそうな顔をしたのは、手前の黒髪イケメン? 私の周りをぐるっと8人に囲まれて、謝罪を受けている事は分かった。 なんの謝罪だっけ? そして、最後に言われた言葉 どうか、幸せになって(くれ) んん? 弩級最強チート公爵令嬢が爆誕致します。 ※同タイトルの掲載不可との事で、1.2.番外編をまとめる作業をします 完了後、更新開始致しますのでよろしくお願いします

ブラック企業でポイントを極めた俺、異世界で最強の農民になります

はぶさん
ファンタジー
ブラック企業で心をすり減らし過労死した俺が、異世界で手にしたのは『ポイント』を貯めてあらゆるものと交換できるスキルだった。 「今度こそ、誰にも搾取されないスローライフを送る!」 そう誓い、辺境の村で農業を始めたはずが、飢饉に苦しむ人々を見過ごせない。前世の知識とポイントで交換した現代の調味料で「奇跡のプリン」を生み出し、村を救った功績は、やがて王都の知るところとなる。 これは、ポイント稼ぎに執着する元社畜が、温かい食卓を夢見るうちに、うっかり世界の謎と巨大な悪意に立ち向かってしまう物語。最強農民の異世界改革、ここに開幕! 毎日二話更新できるよう頑張ります!

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※基本週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...