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お師匠様と初仕事
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こんにちは、ミリーです。先日晴れて昇格し、正式に仕事を請け負うことになりました! 嬉しい限りです!
とはいっても初依頼はお師匠様のツテで行われたので、共同依頼という部類になります。それでも仕事は仕事なので気合いを入れます。ちなみに内容は魔法薬草の納品です。本来は薬師の仕事なのだと伺いましたが、何故こちらにきたのでしょう?
素直に疑問を話せば簡単なことだとお師匠様は肩を竦めました。
「魔法士の腕を見るには薬草への扱いを見るのが一番だからだ」
確かに、と思わず頷きます。あの破天荒なお師匠様も、薬草に関しては繊細かつ丁寧、決して妥協は許さないお方です。摘む時もそれは変わりません。
土から掘り起こすように行っていくそれは、まるで宝物を壊さぬように触れる子どものようです。慈しみの顔に見えなくもありません。……後ほど高い薬草で売るとこれくらいになると知り、あの顔は悪どい顔だと分かりました。ええ。流石お師匠様です。
量は特に指定されておりませんが、取り過ぎても次が生えてきません。これくらいにしようということで家に帰り、依頼向けに取ったものと個別で使うもの、生活費として売るものを分けていきます。
私の取ったものはほとんどが依頼用になるのですが、お師匠様が摘んだものも勿論あります。その差は摘まれた繊維部分を見れば一目瞭然です。
私のものはジグザグといいますか、大事な葉を傷つけまいとしているゆえに根元は重要視していません。反面お師匠様のものは全てを大事にしようとしている為なのか、勢いよく切るようになっています。まっすぐです。どうやったらそうなるのでしょうか。風魔法を使ったのでしょうか。
「お師匠様、どうしたらこのように摘むことが出来ますか?」
「ブチっと全体を抜くようにやるんじゃなく、一番太い脈を爪で切るようにやれば良いと俺は教わった」
なるほど爪で。今度適当な雑草で練習してみましょう。
黙々と薬草を分けて粗方終えた頃、扉が叩かれました。そっと開けると、夕暮れから顔を覗かせたのは依頼者のサルカさん、のお爺様です。
「こんばんは、お若い魔法士さん。依頼の品を取りに来ました」
「ありがとうございます、丁度仕分けが終わったところです」
どうぞ、とお渡しすると細い目を開いて薬草を見ました。緊張しますね、これは。
しばらく見ていたかと思えば、ありがとうございますとお辞儀をされました。
「いえ、こちらこそご依頼ありがとうございます。あの……ご満足いただけましたでしょうか」
「そうですな。必要としている者達からすれば及第点といったところでしょう。ですが貴方はまだ若い。これからの成長に期待させていただきましょう」
それではこれで。と離れていく後ろ姿を見つつしょげていると、お師匠様から気にするなと声をかけられました。
「あの人の目は厳しい。及第点なら悪くはないさ。これから経験を積めば良い」
「そう、ですかね」
依頼をもらえたことで張り切っていましたが、結果は良くも悪くも普通。それが良いのかどうかは私には分かりません。
お師匠様にそう吐露するとそんなものだと言われました。そうなのでしょうか。もやもやします。
すると翌日、お爺様がお見えになりました。新しい依頼を私個人に正式にしたいという形で。
とはいっても初依頼はお師匠様のツテで行われたので、共同依頼という部類になります。それでも仕事は仕事なので気合いを入れます。ちなみに内容は魔法薬草の納品です。本来は薬師の仕事なのだと伺いましたが、何故こちらにきたのでしょう?
素直に疑問を話せば簡単なことだとお師匠様は肩を竦めました。
「魔法士の腕を見るには薬草への扱いを見るのが一番だからだ」
確かに、と思わず頷きます。あの破天荒なお師匠様も、薬草に関しては繊細かつ丁寧、決して妥協は許さないお方です。摘む時もそれは変わりません。
土から掘り起こすように行っていくそれは、まるで宝物を壊さぬように触れる子どものようです。慈しみの顔に見えなくもありません。……後ほど高い薬草で売るとこれくらいになると知り、あの顔は悪どい顔だと分かりました。ええ。流石お師匠様です。
量は特に指定されておりませんが、取り過ぎても次が生えてきません。これくらいにしようということで家に帰り、依頼向けに取ったものと個別で使うもの、生活費として売るものを分けていきます。
私の取ったものはほとんどが依頼用になるのですが、お師匠様が摘んだものも勿論あります。その差は摘まれた繊維部分を見れば一目瞭然です。
私のものはジグザグといいますか、大事な葉を傷つけまいとしているゆえに根元は重要視していません。反面お師匠様のものは全てを大事にしようとしている為なのか、勢いよく切るようになっています。まっすぐです。どうやったらそうなるのでしょうか。風魔法を使ったのでしょうか。
「お師匠様、どうしたらこのように摘むことが出来ますか?」
「ブチっと全体を抜くようにやるんじゃなく、一番太い脈を爪で切るようにやれば良いと俺は教わった」
なるほど爪で。今度適当な雑草で練習してみましょう。
黙々と薬草を分けて粗方終えた頃、扉が叩かれました。そっと開けると、夕暮れから顔を覗かせたのは依頼者のサルカさん、のお爺様です。
「こんばんは、お若い魔法士さん。依頼の品を取りに来ました」
「ありがとうございます、丁度仕分けが終わったところです」
どうぞ、とお渡しすると細い目を開いて薬草を見ました。緊張しますね、これは。
しばらく見ていたかと思えば、ありがとうございますとお辞儀をされました。
「いえ、こちらこそご依頼ありがとうございます。あの……ご満足いただけましたでしょうか」
「そうですな。必要としている者達からすれば及第点といったところでしょう。ですが貴方はまだ若い。これからの成長に期待させていただきましょう」
それではこれで。と離れていく後ろ姿を見つつしょげていると、お師匠様から気にするなと声をかけられました。
「あの人の目は厳しい。及第点なら悪くはないさ。これから経験を積めば良い」
「そう、ですかね」
依頼をもらえたことで張り切っていましたが、結果は良くも悪くも普通。それが良いのかどうかは私には分かりません。
お師匠様にそう吐露するとそんなものだと言われました。そうなのでしょうか。もやもやします。
すると翌日、お爺様がお見えになりました。新しい依頼を私個人に正式にしたいという形で。
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